10月になったら、十日町市に講演に伺います。
十日町は、川西、中里、松代、松之山が合併しましたから、実はもうそれぞれの地区に行ってお話をしています。
川西には7年前に伺っていますから、少し工夫をしなくてはと思ったのです。
考えるほどのこともなく、T村さんのお顔が浮かんできました。
7年前の講演が終わった時、ちょっと紅潮した感じで、私に会いに来てくださいました。そして
「とってもよくわかりました。何だかボケないでやっていけそうです」と言われました。
続けて「みんなで集まって楽しくやればいいんですね」と言われた時の笑顔が浮かんできたのです。
異空間カフェJ-garden(ipadに変えたのに写真の向きはアチラコチラ。困ったものです)
「あの教室は続いているかしら?」
続いてさえいれば、皆さんはお元気なのです!
なぜこれほど断定的にいえるかというと、エイジングライフ研究所が指導して認知症予防教室を継続しているところの結果を見ると、必ず効果があるからです。
担当のM田保健師さんから連絡を取ってもらって、電話しました。
私「教室は続いているのですか?」
T村さん「はい!もちろん」いかにも当たり前のようなその声に、幸先のよさを感じました。
私「教室の皆さんの脳は、お元気ですか?ボケ始めている人はいませんか?」
T村さん「もちろん、皆さんお元気ですよ」答えながら、T村さんは笑っていました。
私「今度の講演会の時、話の前に皆さんで発表をしていただきたいんですけど…」とちょっと遠慮しながら話してみると
T村さん「2~3年前だかの十日町市民会館での講演の時、私たち発表したんですよ。
(ごめんなさい。忘れていました)
その時の皆さんの感想を言いましょうか?
・自分の人生で、市民会館のステージに上がることなんかないと思っていたので、それが実現しちゃってうれしかった。
・みんなの前で歌うなんで60~70年ぶりだったけど楽しかった。
・冥途の土産ができてしまった!
26日に教室があるので、皆さんに聞いてみますが、断る理由なんかないと思いますよ」
講演前に10分間程度自由に発表していただくということで、この件はこれですんなり落着。
続いてのT村さんの話が面白かった。
そしてここに認知症予防活動を地域で自主的に継続していくコツがあると思いました。
その一つは
「皆さんが脳チェックを楽しみにしているんです。去年と比べて一喜一憂。それをまたみんなで話し合うんですよ」
(憂はちょっと問題。脳機能が低下した場合は、生活を見直して改善できるところを一緒に考え、生活改善指導をするところまでが関わり方ですから憂のままはありません。
いずれにしても脳チェックがないと単なるお楽しみ教室にしかなりませんよね?脳機能テストなしでは、参加者の方々が確実に認知症予防ができているという自信につながりません)
次の点として強調されたのは「自分は一番若いので、代表や連絡係りを務めていますが、みんな平らで、指示する人などいません。それぞれが得意な分野、好きな分野の時、リーダーシップをとって、歌ったり話したり運動したりしてるだけ」
(そういわれましたが、活動の趣旨をよく理解してくれているT村さんのような世話人は必要です。T村さんの役割は次の言葉に表現されています)
「最初のころは、知らない人が多かったのですが、続けていくうちにお互いに仲良しになりました。
頼りにしてくれているし、『この教室が生きる支えになっている』という言葉を聞くと私が感動してしまいます」
さらに大切なことを言われました。
「最年長は89?90になっているかも?
とにかく皆さんお元気で、一番若い私が皆さんのパワーに圧倒されるほどです」
教室を続けるうちにお元気になって行かれた方ももちろんいらっしゃるでしょうが、ここまでお元気な方たちはもともとお元気だったはずなのです。より元気に、若々しい脳になられたということでしょう。
なぜこれが大切かというと、地域で自主活動として継続していくためには脳機能のよい人たちを中心に据えなければ無理なのです。
かくしゃく高齢者を含め、脳機能が正常な方たちが2/3。小ボケの方は1/3どまりにすることを勧めています。
とにかく認知症予防は、脳機能が正常な時に始める方が効果的です。
他の生活習慣病と同じなのです。
中ボケになったら、カリキュラムに付いて行けませんし、地域の自主活動に任せるのは負担が大きすぎます。
専門スタッフによるもう少し濃密なかかわりや家族の熱意ある対応が必要不可欠になってきます。
エイジングライフ研究所では、認知症に対してはこのように脳機能レベルに応じた施策をと主張しています。
教室の皆さんの脳機能はまだ見ていませんが、きっとお元気な方たちがもっとお元気になられたはずと期待しています。