新聞記事ですが、「あれっ?」と思いましたので、ちょっと書いておきます。
軽度認知障害(MCI)についてネット検索をかけてみてください。
「記憶障害があるけれども認知症ではない」「正常と認知症の境界域の状態」と説明されていることがほとんどです。
まあ、いろいろな意見が繰り広げられています。
「半数が認知症に移行するらしい。認知症に死ぬまでならないことも考えられる」???
半数というところがミソですね!
「外国の調査では10~15%がその後1年間で認知症に移行すると言われている。いっぽう、施設で追跡調査をしたら、3年たってもMCIのままの人がいた」 山本泰司:軽度認知障害における最近の話題
カヒりジンジャー
いろいろ読んでみても、MCIがどういう状態であるのか、具体的な行動がどういう状態になるのか、はっきりしていないような気がします。
MCIの説明を受けると、二段階方式を学んだ人たちは「あっ。まさに小ボケのこと」と思いますよね。
「前頭葉機能が正常老化をはるかに超えた機能低下を起こしている。その他の認知機能は正常域。但し直後には記銘力障害が出てくる」
「日常生活はこなせるが社会生活ができない状態」
「指示待ち人。言われたらできる。自分からはやらない」
前頭葉機能という着眼点がないと、「物忘れはあるが、認知機能は正常で、日常生活ができ、認知症はない」という通り一遍のMCIの説明になってしまいますが、MCIの説明に前頭葉機能の状態が加味されていたら、もっともっとわかりやすかったのにと思います。
もう20年以上も前になるでしょうか 、厚生省(当時)主催の「痴呆性老人処遇指導者養成講座(正式な名前を忘れてしまいました・・・)」に参加したことがあります。その時、とってもびっくりしました。講師陣は当時の日本のトップスラスの先生方でした。
MCIの説明を受けた後で「もう少し具体的にお教えください」と質問をしました。
「と、文献上に書かれています。確かに正常と痴呆症との間にMCIがあってもおかしくはありません。
但し、僕は見たことも会ったこともありません」とおっしゃるのです。
「痴呆症の専門家になればなるほど、重度の人や珍しいタイプの人たちに会うことになるので仕方がないのかなあ。
ここで小ボケの説明をするのも、変だし・・・」と妙に落ち着かなかったことを思い出します。
あの時から、あんまり変わってないようです。
記事は「訪問看護を手掛ける会社が、認知症になる可能性がある軽度認知障害かどうかを電話で検査できるサービスを月内にも始める」というものでした。
「10個の単語を覚えて一定時間後に答えさせるテストで、干渉時間に年齢や人種(?日本で!)
性別を加えて判定する。所要時間は10分間」
テストの詳細はわかりませんでしたが、 肝心のMCIの理解が今一つではないかと思いますよ。というか最もふつうのアルツハイマー型認知症 の正体を知っておかなくては、MCIの理解も的が外れてしまう危険性をはらんでしまいます。
MCIの疑いがあることになったら、次はどうすればいいのでしょうか?
この会社は次のように続くそうです。
1.MCI についての説明。認知症ではないが年齢よりも認知機能が低下しているグレーゾーンという説明。
2.発症予防効果が期待される生活習慣病に対する指導や治療
3.非薬物的治療
(これは何をするのでしょう?2と違うのでしょうか?)
私たちが使っている二段階方式は、やっぱり優れものです!
A.:脳機能検査
B:生活実態
C:生活歴
普通のアルツハイマー型認知症の方に対して、この三つを三位一体の情報として生活改善指導まで図れるわけですから。
40分間のセッションで、小ボケの方の半数は涙を流して納得してくださいます。すごいなあ・・・
二段階方式の手技を持っている皆さんは、少しがんばってください。
正常な方には正常と説明して安心させてあげ、小ボケ(軽度認知症)の方にはきちんとした生活指導をして正常に引き戻す手伝いをしてあげられるのですから。