まさに注意集中分配力を発揮しなくてはいけません。もちろん話の趣旨を伝えることは最大のテーマですね。これこそ、前頭葉を鍛える場をいただいたと感謝しなくては。
私「コロナでお年寄りは元気がなくなったのではないですか?」
だいたい私の講演後は、ニコニコしながら会場を出る方が多いのです。「どういう生き方をすればボケないのか納得できた」ということだと思います。
お二人とも、若い人たちを育てることにこれからの目標や生きがいを定めていらっしゃると思いました。
小布施町での認知症予防講演会で何度お話ししたでしょうか?もともと「脳のリフレッシュ教室」を各地区で展開していくための講演会でした。「正常な高齢者が、認知症にならずに正常なままでいるための教室」を一年間は行政指導で、その後は各地区の自主活動で継続していくというのがこの事業の骨子です。
各地区一巡しましたので、今回は少しお話を変えようかと思っていました。
一応パワーポイントも出来上がり、最後の確認をしていた時に、世界保健機構による2019年版の「認知症予防の生活習慣」が5月に発表されたという記事が目に留まりました。
ちょっとびっくり!あまりの旧態依然さに。
最近になって、スエ―デンのカロリンスカ研究所などを筆頭に「生き方としての生活習慣」が認知症の発症に影響しているのではないかといわれ始めてます。
にもかかわらず、これは何でしょう?
「脳」という視点がゼロなのです。
小布施町の皆さんが、WHOが提唱するこの生活習慣を守れば認知症にならないと賛同されるかどうか。そこから話を進めることにしました。
講演が始まる前の様子です。いつものように和気あいあいとしたいい雰囲気です。
最初に、上のスライドを出しました。
あまりにも左脳的なアプローチですから、イラストにしたスライドを続けて提示しました。
「脳の中でイメージ化してみてください。どんな運動かはわかりませんが定期的な運動はしています。そしてたばこは吸わない。休肝日は守る。ヘルシーな食事をして、体重が増えないように気を付けてる。もちろん血圧、コレステロール、血糖値のコントロールもばっちり。それを家の中で『一人で』してるんです。趣味も楽しみごとも友だちも必要とは一言もいってません。どう思いますか?」
会場の様子を一言で表現すれば、失笑という言葉が一番近かったと思います。よかった…
エイジングライフ研究所では、認知症予防はまず脳の働きの説明から始まります。
もちろん仕事や勉強の時に発揮される左脳の能力、趣味や遊びや人付き合いを楽しむ右脳の働きを解説するのです。そして人が生きていくときの前頭葉の大切さを強調します。
認知症の本体は、体に起きるほかの老化と同じように、だれでも加齢とともに老化していく脳の能力が、そのスピードを速めること。その原因は脳を使わないために老化が加速するというごく単純なことなのです。
「それでは、脳を使うことってどんなことですか?」と質問タイムに入ります。普通だと「読む・書く」という回答が必ず出るのですが、今回の小布施の皆さんは「楽しいことをする」「チャレンジする」など正答続き。
三頭立ての馬車の説明が結構功を奏したのでしょうか!
いつものように小ボケ―中ボケ―大ボケという認知症の三段階も納得してくれました。
だから、脳機能検査を受けることで早期発見が可能なこと、早く見つけることができると改善できることも言いました。
最後の質問時間に、女性の方が「今日は目からウロコ。いろいろ気弱にもなったりしてたけど、お話を聞いて自信が持てました」とわざわざ挙手して言ってくださいました。講師冥利につきます。
ちょっとだけ質問しました。
「ということは、楽しみごとがたくさんあるでしょう?」待ってましたとばかりに
「コーラスに太極拳に。他にもいくつもあって、忙しいんですよ」
一番前で聞いてくださった山下さん。講演の後で「とても納得。よくわかった。思ってた通りだな」
右脳の説明の時に、紺色のポケットチーフをお借りしました。白と青のストライブのシャツに、薄い青色のジャケット、胸に罹っているひもも青系統のものととてもおしゃれに決めていらっしゃいます。
「ボクはデザイナーなんだよ。色は三色以内、同系統でそろえるといいんだよ」
皆さんが、元気になってお帰りになったことがうれしかったです。
講演前のおしゃべりタイム。
小布施町で新しく、松村地区で地区の皆さんの賛同を得て「子ども食堂」のお話しが進んでいるそうです。
長田会長。「活動を松ぼっくりって言うんだけど、松は漢字だけどあとはひらがな。会長よりも準備段階だから岡埜事務局長が大変なんだよ」そう言われましたが、なんとも言われない優しさが伝わってきました。
その岡埜事務局長。岡埜というお名前から「東京に岡埜栄泉がありますね?」という質問は大当たりでその流れの方でした!定年後奥様のご縁はあるようですが小布施にお住まいになったとのことです。
「この活動は、子供たちの育成でもあるし、地域の活性化にもなるし、何よりかかわる人たちのボケ予防だよね」そうおっしゃっいました。
「まさにその通り!今日の話で納得なさるでしょう」とお話ししました。きっと納得なさいましたよね。そして松村地区松ぼっくりの活動がどのように展開されるかを楽しみにしています。
私の本当の気持ちをお話しておきます。
高齢者の皆さんの脳機能が、活動しているとより元気になるということは目に見えるようです。その時に小布施町で使っている脳のイキイキ度チェックでその事実を客観的に測定できたら素晴らしいと思うのです。そうすると、これからの少子高齢化の日本を救う素晴らしい「高齢者の力で子どもを育成し認知症予防をも図ることができる地域活動のモデル誕生」ということになります。
そういうことにつながる活動が始まろうとしているのですよ。
がんばれ。松村の皆さんたち!
ロビーには、先日のレインボーランタンを楽しむ会の展示がありました。写真と作品から、参加された方はまた楽しさがよみがえったでしょうし、いらっしゃらなかった方々は興味津々だったのではと思いました。
いつも駅にお見送りくださる、林中扇地区の女性陣。イキイキして皆さんキレイです💗
また来年の2月を楽しみに。それまで体も脳も元気にしておきましょうね。
付録です。
レインボーランタンを楽しむ会の最後に講師の久保さんのリクエストで「みかんの花咲く丘」と「信濃の国」を合唱しました。「みかんの花咲く丘」は久保さんと私の住んでいる伊東市でできた歌なのです。
「碑があるのですよ。写真が撮れたら今度の講演会の時にお見せします」といったのに、お見せできませんでした。
亀石峠に向かう坂道の途中にあるのです。
石碑から見える伊豆の海です。手前の町が伊東市街、右奥にかすんでいるのが伊豆大島です。
この写真を目にしたら、メロディがうかんできますよね。
小布施講演会ー若返りは脳が決め手!で小布施での講演会報告をしました。
その最後に岩井茂松さんご夫妻の写真を掲げておきましたが、その岩井さんの記事が掲載されている「人生、これから 秋号」という雑誌が手に入りました。岩井さんは88歳でした!
この雑誌は、長野市にあるアスクという会社が発行しています。HPを拝見すると「私たちは、暮らしの中で出会う人々や、その人々が日々営む事業や活動に良い影響を与えつつ、共に生きるパートナーとなって、互いに生かし合い支え合う、生きがいのあるコミュニティーのコーディネーターです」と自己紹介されていました。
表紙からもうかがえるように多方面にわたって、高齢者が健康に生きるための情報が盛り込まれています。
さて、岩井茂松さんの記事です。(アスク制作部の許可をいただいて掲載します)
ぴんころ地蔵やボケ封じ観音などは全国に見られるものですが、どこかのお寺に安置してあって、「ボケたくない人、拝みましょう」という印象が強く、「ここでお参りするよりも、もっと自分らしい楽しみを積極的に見つけたほうがボケ予防になるのに」と苦笑するのが常でした。
岩井さんの考え方は、さすがに小布施町で一番最初に脳のリフレッシュ教室を立ち上げた山王島地区の会長さんだけあって、ちょっと違います。岩井さんが話されたことを中心に記事から抜粋します。
「『3年前、佐久のぴんころ地蔵さんに参拝に行った際、近くにもこのようなお地蔵さんがあれば…と思ったのが始まりです』
『年寄りになると、健康で、人様の手を煩わせることなく長生きしたいと願いは一つ。散歩の途中や畑の行き帰りに、気軽にお参りできる健康長寿地蔵があれば、地域の皆さんの心のよりどころになるはず』そこで地区の老人会に『長寿講を立ち上げて、地蔵尊を建立したい』と提案。区民だけでなく町内外から寄付が集まり今年の3月27日、お魂入れが行われました。」
ここまでで、私は小布施町の「脳のリフレッシュ教室」にかかわることができたしあわせを十分に感じていました。なぜなら、この山王島にお祀りされたぴんころ地蔵さんは、そこにあるお地蔵さんに手を合わせるといういわばあなた任せのものではなく、地域の皆さんが思いを一つにして自分たちの手で建立したものです。お寺さんでもなく企業でもなくもちろん行政の力でもなく、発起人は山王島地区の7名。そして皆さんが協力してぴんころ地蔵さん建立が実現したわけです。こういう積極的な、前向きな生き方こそが認知症予防そのものなのですから。地域が一体になったというところにとても惹かれました。
何度も伺ううちに、ほんとに親戚のように親しくなった小布施町の方々…岩井さんはボケない生き方がどういうものなのかを深く理解してくださっているのですね。
この次のお話に私はさらに感動しました。岩井さんのお話はさらに続きます。
「地元の方はもとより、近隣市町村からもお参りに来られる方が増えていて嬉しいですね。今後は、上屋を立てたり、ちょっと休めるようなベンチも置いて、皆さんに愛していただけたらと願っています」
どこかに祀られているぴんころ地蔵さんにお参りするのと、脳の使い方が全く違うことがわかっていただけますか?
「人生、これから」の記事は続けて岩井さんの日常生活を紹介してくださってます。
りんご畑の仕事
仕事がない時は1日4km歩くこと
寄付をしていただいた方々への返礼にお地蔵さんの水墨画短冊を夢中で描いていること。
趣味の水墨画!
2009年には岩井さん80歳記念の個展をなさいましたよね。2009年5月の私の記事です。
岩井さんおめでとうございます
「いくつになっても社会とのかかわりを持ち続ける事は、健康長寿の秘訣の一つなのかもしれません」とこの記事はまとめられていました。
小布施町の高齢者の皆さんなら、きっとこういうでしょう。
「こういうことが『脳の健康』を守る秘訣だな。つまりこういうふうに生きていれば三頭建馬車の御者の前頭葉は元気でいられるから、ボケとは無縁」
そう!
「ボケずに長生きしたいなら、体の健康だけでなく脳の健康」にも注意しなくてはいけません。「体の健康・脳の健康」ともに守り抜こうと思ってらっしゃいますよね。
やはりブログでご紹介した林・中扇地区脳のリフレッシュ教室10周年記念お茶会の余波もありました。
中扇のH間さんから、写真をお送りしたお礼にと絵手紙が届きました。
コスモスは楚々として可憐な印象が強い花ですが、茎を見るとその根元のたくましさに圧倒されます。楽しく、たくましく、仲間と笑いあいながらお過ごしください。
去年の絵手紙もご紹介。「夢」という言葉も「絆」という言葉もやさしさがある。そして「いさぎよく」という言葉は何だか元気が出そうです。どうぞ皆様お元気で。
小布施町にはもう10年以上も通っています。
今回初めて「演題を変更してもいいですか?」との打診がありました。「若返りは、脳が決め手!」そしていつもの演題「認知症は防げる治せる」を副題にということでしたから「問題はありません」と答えながら、添付されているチラシ原稿に目をやると、おしゃれなレイアウトでしたからまず感心。そして写真を見てびっくり!20年位前の写真が使われていました。
「じゃあ、写真の言い訳をしながらテーマに沿って話すことにしましょう」
30年も前になるのですが、講演を始めたころは、同じ講演にならないように気を配ったものです。順番を変えたり、エピソードを変えたりだけでなく、講演の骨子も変えていました。歌手の大津美子さんは私の友人なのですが、ある時とても素朴に「本当に一番いいものって、いろいろあるものなの?初めてボケのことを聞く人にわかりやすく話すんでしょ?何だか決まってるような気もするけど」と言われました。
文字通り目からうろこ。同じことを話すというのは、そうですね、何だかちょっと恥ずかしいものがあります。だから自分中心に考えて毎回違う講演をしていたような気がしてきました。認知症の90%を占めるアルツハイマー型認知症の予防や改善について話すのですから、流れがあります。
認知症は一夜にして完成しない。
脳機能の説明。
前頭葉にも、他のからだの部分と同じように老化がある。
何らかのきっかけで生活がナイナイ尽くしになったときに、老化が加速する。
そして小ボケ・中ボケ・大ボケと進行する。
認知症三段階の説明。
改善法。
認知症予防教室。
財政的なこと。
今回は全く変えてみました。
「脳機能にも老化がある」ということは、体力、聴視力、骨や筋肉、内臓機能が年齢とともに老化が進むのと、もっとわかりやすくいえば、見た目が年齢に沿って変化するのと同様というところから話すことにしました。小布施は何十回も講演に行っていて、お顔なじみの方々も多いし、なんだかふるさとのような気持ちもあってこんなスライドを作ってみました。
「20年も前の写真を使って詐欺っぽくてごめんなさい」と言ったら、会場からは笑いがこぼれました。
いまテレビで結構有名な連続ドラマ「やすらぎの郷」。芸能界で生活してきた人たちだけの老人ホームでのお話。出演者が実物の俳優とオーバーラップする興味も計算ずくでしょうし、舞台が近所の川奈ホテルというおまけまでついていますから、私も時々見るのです。先日は川奈ホテルに行ってみたら大きなポスターがありました。それも使用。
いくら若く見えるにしても、相変わらず美人であっても、取った歳は取った歳。老化曲線は免れません。(左半分は各写真に対応した年齢)
舞台の一つ、川奈ホテル。
たとえ美男美女で一世を風靡した俳優であっても、例外はありません。俳優ですから、若々しくあるための工夫や節制はもちろんしているでしょうが、若い時よりも齢をとって見えることは否定できないでしょう。
このように「見た目」が齢とともに老化を加えていくように、体力、骨塩量、筋肉量、視力聴力、内臓機能、免疫力などなど、私たちの体に例外はなく老化の一途をたどります。それは脳力であっても、です。
ここで大切なことを確認しておきましょう。
測れるものが加齢とともに低下していくという事実は、人としての価値がさがっていくことを意味しているのではありません!若い時と比べてしわが増え、しみが増え「見た目」が歳とったとしても、私が生きた歳月は私を育ててくれました。かけがえのない体験を重ねることができました…
実は脳が若々しい人は見た目も若いのです。私がお会いして、脳機能検査までしたかくしゃく超百歳の方々です。
実は、もう25年以上も前の話ですが、きんさんぎんさんのデビューの1年前。超百歳老人の調査をしました。
東京・神奈川・静岡・愛知の超百歳老人819人を対象にした調査でした。ちなみにこの1991年、超百歳老人は全国では3,625人。つい先日発表された2017年は67,824人でしたね。これだけの高齢社会なのですから、かくしゃくと生き抜いて来られた方たちの生き方を学ぶ意味は大いにあるでしょう。
かくしゃくというのは脳が同年齢の人たちに比べて若いレベルを保っているということです。そのとき年齢よりもはるかに若く見えます。
かくしゃく百歳調査の結論をお話ししました。
アンケートからお元気な方を選び、71人に家庭訪問しました。脳機能検査まで行い、本当にかくしゃくとしている方たちの生活を伺ったところ、
「生きがいがある。趣味や楽しみごとがある。人づきあいが好き。運動の習慣がある」ということが分かったのです。予想はしていましたが、あまりにも予想通りだったことにちょっと唖然としてしまいました。
アルツハイマー型認知症になる条件、「生きがいなく、趣味なく、交遊もなく、運動もしない。いわゆるナイナイ尽くしの生活」の対極です。
この両方のグラフから、脳の老化曲線をコントロールする正答がはっきりします。
老化を早めるには脳全体を使わなければよい。老化にあらがうためには脳をよく使う生活を心がける必要がある。
「体の健康を守るように、脳の健康も守ってください。三頭建ての馬車を動かし続けるのですよ」
「ただ、長生きをすることが目標でしょうか?自分らしく脳を元気に保って生きていきましょう」といつもの、これは私の心からのエールです。
ここで会場にマイクを向けて「脳を使うってどういうことでしょうか」と尋ねてみました。
初めて参加された方は「難しいことを考える」との回答で、これは確かに左脳と前頭葉の連係プレイです。
もう一人の男性は「銭勘定」。これは左脳中心ですが、あとで「受け狙いだったでしょ?」とコメントしたら破顔一笑されていました。「こういう対応ができるということは前頭葉がイキイキと関与した証拠です」という解説にも笑いながら肯いていらっしゃいました。
ちょうど目の前に昨日の林・中扇教室の皆さんが。
ここからの回答は「自分らしくプライドを持って生きる」まさに前頭葉。
「みんなと集っておしゃべりをする」「楽しいことをする」「歌を歌う」さすが!右脳が意識されています。
「運動する」の回答もあったと思います。こういう時にも、長く認知症予防活動を続けてきた成果が垣間見えると思うのです。認知症を脳機能から理解することが自然にできているのですから、素晴らしいことですね。
脳の健康は自分で守ることが原則ですが、集団の中でしか発揮できない脳の機能もあります。地域全体で脳の健康について考える場こそ、脳のリフレッシュ教室。正常な人たちが正常なままにいるための教室なのです。(小ボケレベルまで参加可能)
一番大切なことは自主活動が必要条件というところかもしれません。高齢者人口が多いこと、世話をするスタッフが足りないこと以前に「脳は使ってナンボ」ですから。死ぬときまで、脳の健康に気を配る必要があるのです。だからみんなで。
小布施町にはこのような数値で表されるデータもあります。皆さんにもお見せしました。
前日お会いした市村町長さんと、このようなデータに対して、この10年余の認知症予防活動の成果だともっと自信を持ってもいいのではないかとお話しました。
(今日の画像は、全部小布施町で使ったパワーポイントからの転載です)
最後に、最初に始まった山王島地区の当時の会長さんI井S松さんご夫妻のツーショット。講演会の出口でパチリ。80代半ばにはおなりだと思いますので、確かに白髪は増えられました。でも、この表情を見てください。脳はお元気ですよ。いつものように「See you again」と握手をしてお別れしました。どうぞお元気で!
高校生に認知症予防の話をしました。
戸畑高校同期の幕田さんは書家です。大学卒業時からどの結社にも属さず、孤高の道を修行まい進してきた幕田さんは、自由・奔放な独自の書法を確立しています。外国での評価も高く、昨秋にはフランス政府から勲章を授与されるほどの実績があります。
魁心書法院の総会での講演会を頼まれました。エイジングライフ研究所の講演は、二段階方式による認知症予防をする市町村に限られているのですけれど、同期生からの依頼とあれば…
初めての東京湾アクアラインで君津市へ。
千葉は広々してますねえ。幕田さんの作品巡りをしてくれました。
かずさアカデミアホールは近代的なコンベンションホールですが、そこのホールに大作が展示されていました。
「千字文」
一字の重複もなく、四字一句250句からなっている、文字を記憶するテキスト、習字のテキストだそうです。中国6世紀前半に完成し、日本には聖武帝以前に渡って来ていた記録があるとか。色がついた色紙は紅葉を象徴しているのだそうですが、こういうところにも幕田さんの自由で斬新なセンスが感じられました。
幕田さんは「月の砂漠」や「証城寺の狸囃子」など童謡の歌詞を作品化しています。それらの童謡の生まれた地がここ千葉県。
証城寺は君津市にありました。証城寺鐘楼。
本堂に展示されている、幕田さんの作品。
だから「君津駅前のモニュメント」にはタヌキのきぬ太君が。きぬ太君は「たまには逆立ちの視点で世の中を見たら?」という意味があるそうで、ちなみに全国公募で決められたキャラクターです。
この彫りはすばらしいものだという解説がありました。このようなかすれは、石彫りでは普通は表現できないものですって。
かすれの解説もしてくれました。
湧き上がってきたイメージを表現するには、筆の特徴をよく知ったうえで、筆を駆使して書く。結果、こういうかすれは、必要なときには必然的に生まれるものだそうです。「弘法は筆を選ぶ」ということですね。
アトリエに無造作に置かれた筆に圧倒されました。
「認知症は防げる・治せる」というテーマの講演会は、魁心書法院の皆さんだけでなく一般の方々にもオープンでしたから、結構たくさん集まられましたが、問題がありました。書法院の会員の中には学校の先生がいらっしゃるので、その教え子の高校生が30人。
高齢者中心の一般の方々と高校生。
「ウーン。どうしましょう…」
講演のパワーポイントを用意するときに、テーマが認知症予防でも、どうしても高校生に「自分にも関係していると思ってもらえる話をしてあげたい」と思ったのです。
二段階方式とは「脳機能から認知症を理解する」ことですから、脳機能の話を少し多めに構成してみました。
それは前頭葉の話です。
「こんな人はいませんか?」「どういう生き方をしたいですか」
「その差は、それぞれの前頭葉が決めるのです」
「前頭葉は体験し、評価し、納得していく過程を経てはじめて自分のものになります」
「前頭葉こそ、その人そのもの。十人十色のその色の差を生むものです」
「脳のもっとも高次の機能であり、脳の司令塔ともいうべきものです」
礼儀正しく、素直な高校生たちは、真剣に聞いてくれました。認知症予防はここから始まります。
12月に岩手県で二つ講演会がありました。
その講演会がいろいろな意味で対照的でしたから、そのまとめを2016年の最後のブログにしておこうと思います。
平泉町は、予防活動そのものは長く続けています。 そして脳いきいきチェックもやっていますから、経過を客観的に評価することもできています。
脳機能が維持以上と評価される教室の有効率は76%ですから 、効果は明らかです。
会場の一角に教室で行われた制作活動の作品が展示されていました。きれいな色彩は右脳を刺激するものですから、講演前に結構人気を呼んでいましたね。
3区「なでしこの会」の作品
12区「さわやかクラブ」の作品
16区「ニコニコクラブ」の作品
ステージ発表もありました。
ユニフォームがおしゃれです。
講演会の前の勉強会で、皆さんのイキイキ度チェックの確認をして、盛り上がりのたりない教室の問題点なども明らかにできたのですが、なんとなく、勉強会そのものの盛り上がりが足りないような気がしました。話の中で気づいたことは、保健師さんたちが業務に追われているのではないかということでした。
予防の大切さは十分に承知しているけど、その前に急ぎの要件が次々に目の前に現れる。その対応に追われて疲れてしまう・・・というような事情ではないでしょうか?
これは町の問題というよりは、厚労省の姿勢にある・・・というような印象を持ちました。
何度も伺ってますからお顔なじみになっている青木平泉町長さんが、ピリッとしたいいお話をなさいました。
厚労省の問題ではないかといったばかりですが、もう少し保健師さんたちが認知症の予防活動がしやすくなる方法はないでしょうか?
講演は、テープの頭出しができなかったりのアクシデントもありましたが、盛り上がりもあり私の思いは届いたのではないかと思いました。
講演後2-3の質問に答えた後で、まだ60代にはなられていないと思われる男性の方から発言がありました。
「自分は、大震災の被災者です。縁があって平泉で住むことになり、隣の方が勧めてくださるので今日の講演会に来ました。ほんとに来てよかった・・・生きる希望が見つかったような気がします」といってくださったのです。不覚にも、涙が出そうになりました。
「講師冥利に尽きます。どうぞ打ち込めるもの、楽しいことを見つけて生きていってください」
アンケートのまとめも届きました。150人位の方がいらっしゃって、アンケートの回収は100人程度ですからまあ良い方だと思います。アンケートの内容は「いきいきと生きることが大切」「今やっていることが認知症予防になっていることがわかった、続けたい」「みんなとともに楽しむことを続けよう」など、町民の方たちの理解は深まったと思いますし、意欲も上がってきたと思います。
この機を逃さないようにできるといいのですけれど。
江刺市は2006年に合併して奥州市江刺区になりました。合併前の2002年から認知症予防活動として「脳元気教室」を始め、2005年からは脳げんきグループ交流会も始まりました。
講演会の会場は、その交流会が行われていた懐かしい江刺市役所(今は支所です)
午前中の講演会でしたが、早くからたくさんの方々がいらっしゃいました。
この後、椅子を80脚追加したそうです。400人には届かなかったかもしれませんが、それでも一番後ろに立っている方までいる盛況ぶりでした。
市長さんは議会中ということで佐々木部長さんがご挨拶されました。
2006年の交流会は、江刺区12教室、胆沢区3教室でとても盛り上がり、その後は教室間で自主的な交流も始まったことが、地元紙に大きく取り上げられたと聞きました。
このように生き生きとした活動が続いていたのですが、合併になると奥州市として取り組むことは難しくなり、私がうかがうこともなくなりましたし、何となく活動は下火になっていったようです。
ところが、「としとらんと会」と「長根すこやか会(現在はながねっこ会)」の交流は、そのとき以来年2回続いているのですって!夏と忘年会。10年間ですよ!まったく行政の働きかけなく自主的にです。
その「としとらんと会」とはお付き合いが続いていました。今回も講演会後お邪魔しました。
お茶会
先日の「ながねっこ会」との忘年会の時、歌った曲を 披露してくださることになりました。「としとらんと会」はお茶会で終わることはありません。
合唱や劇やチンドン屋パレード、ドジョウ掬いなど。無形文化財の指定を受けていたのに途絶えていた神楽世剣舞の復活まで成し遂げましたから、もちろんその世剣舞も見せていただいたことがあります。
世剣舞(クリックしてみてください。動画は下手ですが雰囲気はわかると思います)
今回は「365日の紙飛行機」歌詞が大きく用意されていました。
「としとらんと会」初代会長、現交流担当の千葉謙さんが解説してくれました。「♪人生楽ありゃ苦もあるさ♪いつもの同じゆったりした曲じゃあ、脳の健康には足りない、足りない。新しい曲、速い曲にも挑戦しなくっちゃあね」
皆さんは、隠し持っている紙飛行機を、間奏のところで思い思いの方向に飛ばしてキャッキャッと喜んでいます。 いいですねえ。
恒例の記念撮影
どうぞお元気で。またお会いする日を楽しみにしています。
フロク
講演中、東日本大震災に遭遇した私は一関市の保健師さんのお宅に避難していました。 あのガソリンがない時に迎えに来てくださって花巻空港まで送ってくださったのが、この「としとらんと会」の千葉謙さんでした。
今回はその千葉さんのお宅に泊めていただくことになりました。
玄関先。黒板に「裏の山にいるかも」。もちろん、宮沢賢治の「下ノ畑ニ居リマス」のパロディです。
いかに楽しく生きていらっしゃるか、この玄関に立っただけで納得できます。こういう方が交流担当なのですね、ピッタリです。
広い玄関ホール、掃除は千葉謙さん担当とか。
下駄箱の上には自作の「見ざる聞かざる言わざる」
翌朝、林から太陽が射してきました。
12月21日。植込みのさつきには一面の霜が降りていました。看板はもちろん自作。
水沢江刺駅に送って 下さいました。ありがとうございます。今度はいつお会いできるでしょうね。
十日町市の講演会を担当してくださったのは、S口保健師さんでした。
講演会の後、アンケートをまとめて送ってくださいました。「模範解答」みたいな感想が多くて、もちろんとてもうれしかったのですが、以下のメールを送りました。
「とてもいい感想でうれしいですね!辛口感想はなかったのですか?そちらもあれば教えてください」
その返信メール
「回収率は約8割で、参考になったと回答されてた方が9割でした。辛口の感想は特になく、とてもわかりやすかった、ボケないように頑張りたいなどの感想が多かったです」
という訳で安心してアンケートをアップします。