今日のブログはエイジングライフ研究所の二段階方式を導入していおる市町村の保健師さんに書いています。
脳機能検査では、A4版の白紙を使って指示するものを書いてもらうということをしますね。
マニュアルAに説明してあるように細かくテスト実施方法が決められていることを、ちょっと不思議に思ったり煩雑に思ったりしていませんか?
初心にかえってください。
短く簡単なテストから、できるだけ多くの情報を得ようとすると。決められた枠を作っておくと、小さな変化も意味を持つことになります。
相談事例ですが、まず見てください。
このA版白紙を使う時には、もし検査を受ける人から質問があったら「思った通りに書いてください」と指示しますね。
本当にテストを受ける人が「自由に」書けばいいのです。「どこに書くか」を決めるのも、その人の脳の働きの結果ですから。
二段階方式では、脳機能検査をこのようにとらえています。
1.「その人の脳の働き」をテストを通じて知る。
2.知りえた「その人の脳の働き」から「その人の日々の生活を想定する」
3.体が持つ間、脳も持つ(認知症にならない)ために必要な
ことはないか検査を受ける人とともに、見つけていく。
東御市池の平湿原の花たち
つまり、脳機能検査は、普通のテストのように「成績がいい方がいい」「○点以上なら合格!」というような観点で行うのではないのです。
この相談事例の場合は、検査項目が「できる」「できない」ということの前に、A4版白紙を使っている場所、領域に目をやらなくてはいけません。
と、いうより目がいきませんか?
「どうしてこんなに端っこに書いてるんだろう。不思議だなぁ」
それで終わってしまったら「脳機能」の理解が足りませんよ。
どこに、どのくらいの大きさで書くかを決めるのは前頭葉です。
だから前頭葉が
「この右端の隅っこに小さく書こうっと」と決めたのかもしれません。
もちろんそのケースがないとは言えませんが
前頭葉が判断する時に、情報は言語情報は左脳から、形などのアナログ情報は右脳から送られてきます。
送られてきた情報が、もしA4版のサイズではなく、A4版の右半分の大きさしかなかったとしたら?
このようにこぼれそうになるほど右に寄せて書いたことが、理解できると思いませんか?
右脳障害の後遺症に、左空間失認という症状があります。
左側の世界を認識できないのです。
視野が欠けているわけではないので、目を動かしても、またその時見える領域の左側がない・・・
このブログでも何回か解説しています。
「続々ー相貌失認」
中に挿入してある図を見てください。
このさまざまな図を見ていると、右脳障害ということの意味が迫ってきます。
ふつうに話せるけれども大変な障害を負って生活しているということがよくわかります。
軽くとらえられがちな右脳障害ですが、興味のある人は右欄カテゴリーから「右脳の働き」を読んでみてください
このケースについて補足しておきます。
「H23年8月に脳梗塞(右!)を起こし軽度で麻痺も残らなかったが、H24年5月に再度脳梗塞(同じ右側)。自宅で意識がなくなり入院したが、世話をしている家族がいるために「家に帰りたい」と言って3日で退院。麻痺は余りない」
多分、ドクターも本人も「麻痺はほとんどないし、言葉もしゃべれる。軽くてよかった」と思っていたのでしょうね・・・