脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

11月の右脳訓練ー秋の展覧会巡り

2018年11月26日 | 私の右脳ライフ

秋も深まってくると、展覧会に足を運ぶことが多くなってきます。
一番大きな規模の展覧会は、フェルメール展でした。チケットはネットで予約しコンビニで発券。入場時間指定という初めての方法でしたが、さすがに入場の待ち時間は、私の場合はゼロでした。

ひとりでに絵の中に入っていくような不思議な感覚がありますね。小さな作品ばかりかと思っていたのですが、大きなものがありびっくり。一方で思いがけず予想よりはるかに小さな作品もあり、現場に立たないと分からないことがあるのだと、改めてわかりました。
熱海「起雲閣」での高須英輔作品展。

展覧会では、本来ならばそこにある作品と語り合うものでしょう。ところが今回は作者の高須さんがちょうどいらっしゃって、いろいろお話を伺うことができました。やはり作品の理解も、作者の意図も、言葉を解することで深まるものなのですね。高須さんの作品は高い精神性が秘められていますから余計その印象を受けたのだと思います。

「草の花ギャラリー」は伊東市街地にあるため、なかなか行くことがないのですが、フェイスブックで「糸で描く 糸で書く」展の情報を得て今回はどうしても行きたいと思いました。予想以上の作品に圧倒されました。
作者水口つよしさんの生き方そのものが、作品に凝縮されているのではないでしょうか?
初めてのインド旅行でマザーテレサに出会い、その後マザーテレサの施設で働く。

次には北タイ山岳民族の村で少数民族文化の研究をする。ここでクロスステッチに出会ったとのこと。

津軽こぎん刺しの技法などにも出会い作品の幅が広がっていく。

カラフルな作品もあります。

数学の世界?クロスステッチだけで表現されてます。

私の住んでいる伊豆高原には多くのギャラリーがあります。古くからあるおしゃれな「布の樹」でこんなかわいい個展も楽しみました。森玄子さんの手作りハット展。




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ワークショップもありました。フエルトのブローチ作り。もちろん挑戦しましたとも。

10月にオープンした新しいギャラリ―「森の小屋」。友人から「不思議な神さまがたくさんあるの。うーん、紙でできてるんだけど、うまく言えない…とにかく行きましょう」というお誘い。

たしかに神様がたくさん!夏には大山祇神社にお参りしましたし、なんだか最近神さまづいています。作者の木住野利明さんによると大山祇大神はこういうイメージ。

この神さま達はどなたでしょうか?

猫たちもいました。

釈超空をほうふつとさせる作品たち。

びっくり。

どっきり。

ちょっとかわいい?

なに、何?

作者の脳の中を覗いてみたいような気になりました。





大人の遠足ー伊豆シャボテン公園2

2018年11月25日 | 前頭葉の働き

今頃から来春まで、シャボテン公園といえば「カピバラの露天風呂」。しかも最近はいろんところで見られるようになったらしく「元祖」というアナウンスが流れていました。
でも、最初にワラビーの話をさせてください。まず動画を見てください。
IMG 4941
何度も、シャボテン公園に行ってますが、初めてこのようなシーンに出くわしました。シャボテン公園の屋外の動物たちはゆったりとした印象を受けることが多く、いい環境で生活しているのだなあと思っていました。
カンガルーたちはこんな感じ。去年北九州市響灘緑地のカンガルー広場で、飼育員の佐藤さんにカンガルーのことをたくさん教えてもらいましたので、このカンガルーたちは本格的に寛いでいることがよくわかります。

一緒にいるエミューもごくごく普通にしています。

なぜワラビーたちだけが走り回っているのか不思議に思ってました。ちょうどすれ違った飼育員さんが丁寧に教えてくださいました。
「メスが発情してるんですよ。だからオスが追いかけてる。メスが先です。だいたいいつも今頃ですが、今日はこんなにお天気で風もなくほんとに最高の環境なんじゃないでしょうか?」
「寒い間に妊娠していれば、暖かい時の子育ては楽ですものね」と、つい言ってしまいました。
「この子たちは有袋類ですから、妊娠期間は1か月かそこらで、後は袋で育てます。顔を出し始めるのが6月以降かな。真夏の暑さもなくちょうどいい季節に間に合うためには、今でしょう!」
納得。
「来年もまたシャボテン公園に来て、赤ちゃんワラビーを見なくっちゃあ」と、私の前頭葉は意欲的にもう来年の予定を決めました。家の外に出ていくことで、さらなる刺激が生まれていくものです。
さあ、カピバラたち。
ポスターのような写真は、友人の撮った写真を拝借しました。友人は哲学の先生ですが、このカピバラも哲学者風?といえなくもありません。

温泉の湯気が立っていて、うまく撮れません。

カピバラ広場もあるのです。1か月前に生まれた小さなかわいいカピバラもいれば、こんな大きいのもいます。
後姿の友人からメールが来ました。
「なぜカピバラさんの横で背を向けているのかわからないかもしれませんね。赤ちゃんカピバラをよく見ようと必死だったのですが…。
『こっち向いてね』などと話しかけて、こちらを向いてくれたので『ありがとう』などとお話ししていました。」
大人二人の遠足。幸せな気分が伝わってくるでしょう?

カピバラたちが温泉好きなのは、毛が固いからだそうですよ。ブルブルっとやると水分は飛んでしまうので「湯冷めはしません」という解説がありました。触ってみたら、ほんとに硬いのです。
「カピバラは毛が固いので、水分がすぐに飛ぶ。だから風呂好き」と説明を受けて、「フンフン」と理解するには、左脳(プラス、前頭葉)の働きが必要ですが、カピバラの背中を撫でて「ほんと、剛毛!」という体験をすると、しないでは「記銘」の深さに差が出ます。もちろん撫でているときには前頭葉が指先に注意を集中したり、カピバラの逆襲に備えて注意を分配しなくてはいけませんよね。
カピバラ広場のお隣さんのミーアキャット。立ってました。

プレーリードッグも立ってました。

ピグミーゴートはやすんでます。

これはヤギさん。口は痛くないのでしょうか?

いろんな色のアルパカがいましたが、ツートンカラーのアルパカ。

ミミナガロバ。確かに耳が長いのですが、何のためなのでしょう?

こちらも耳が特徴的ですが、長いというより大きい、フェネック。

改装して、新しい施設ができていました。わくわくモンキーハウス。
スローロリスやワタボウシタマリンの展示やモルモットや大きなウサギに触れるようになっています。
ワオキツネザル

動物には前頭葉がありませんから、人間のように将来を考えたり、内省したりはできないのですが・・・なんか考えているような・・・


今日のシャボテン公園からは見事な富士山を望むことができました。



大人の遠足―伊豆シャボテン公園1

2018年11月23日 | 前頭葉の働き

ブログの更新が滞っているときには、だいたい右脳訓練にいそしんでいるときなのです。実は今月もよく遊んでいます。
11月21日、今年4回目の伊豆シャボテン公園に行きました。毎回、伊豆を訪れてくれた友人と一緒です。
題を「大人の遠足」にしました。シャボテン公園の滞在時間は4時間弱でしたが、5000歩ほどしか歩いてなく、ちょっとびっくりしました。理由はすぐに思い至りました。立ち止まって動物や植物に心奪われ、友人と一緒に盛り上がったからなのです。つまり脳が活性化されたのですね。

いくたびに感じますが、お客さんを楽しませるようにいつも工夫を凝らしているようですよ。今回はシャボテン温室の途中で「エサやりしませんか」コーナーがありました。
フクロウもかわいかったのですが、スタッフの方がいかにも動物好きで、そして「お客さんを楽しませてあげたい」という気持ちがストレートに伝わってくるすばらしい対応でした。(写真の掲載許可を受けています)
シャボテン公園のようなところは子供連れで行くところと思っている方は、ぜひ考え直して一度いらっしゃってみてください。期待以上に楽しいですよ。
リスザルのエサやりタイムは何度も放送されていました。パンほんの少々が300円はちょっと高いと思いましたが、リスザルがかわいかったのでOKです。

「シャボテン」公園という名前ですが、動物を身近に見られたり触れたりできるのも魅力的です。今回のまとめは鳥に絞ってみました。
野外のインコ広場はいつも賑やかです。

大きなペリカンも放し飼い。以前エサをやった時にちょこっと噛まれてしまいました。もう10年くらい前のことですが、ありありと思い出して1人で感動してしまいました。その時は高原竜よこの広場にいたのですが、その時の空の青さや空気の冷たさや、なんだか風までも感じられたような気がしました。みんなでアタフタしたことやそのとき交わしたいろんな言葉までもが次々に浮かんできて、「記憶」のメカニズムを復習した気になりました。ペリカンには歯がないようだったのですが、結構な力があって、ちょっと血が滲み痛みも少々ありました。

記憶は、記銘(覚える)、保持(覚えておく)、想起(思い出す)という三段階の過程を持っています。はっきりくっきり覚えたことは、よく思い出せるものです。はっきりくっきりと覚えるためには、前頭葉がしっかりと注意を集中させる必要があるのです。10年前のペリカン噛みつかれ事件は、私にとってとても印象的な出来事だったのです。
よく「物忘れは認知症の始まり」と言われます。
ものが覚えられない、思い出せないということは、「若い時に比べれば」という言葉を付け加えると、ある程度の年齢を重ねた方たちにとって全員が「その通り!」と声をあげるものです。そのような指標を認知症の初期症状や必須の症状にしていたのでは、早期発見はとてもできません。(この見事な黄葉は多分メタセコイア)

このように「記憶」という面から考えても、鍵は前頭葉にあります。
私たちが何かをしているときには、いつも前頭葉が一段上から見守っているというイメージでしょうか。前頭葉がしっかりしていないと生まれてくる結果は芳しくないに決まってます。記憶でいえば「記銘」がはっきりしないから、当然「想起」も難しくなり、記憶に問題ありという状態がすぐ起きてきます。

バードパラダイスには多くの鳥たちがいます。こういう角度は珍しいと思いますが、ごく簡単にみられるのです。

日本で8か所しか見ることができないハシビロコウ。ビルおじいさんはで48歳(多分)で世界最高齢といわれています。外に出ていましたが遠いのでポスターです。

モダンななかよし。

空に目をやるとこんなにシックな鳥も。

シャボテンの温室には、フクロウ類がすぐそこに。ちなみに、耳のように見える風貌を持っているのがミミヅク、つるりとしているのがフクロウです(原則)。

耳が大きい。

メンフクロウに会うと、いつもびっくりしてしまいます。

この景色にも驚かされました。たまたま一緒の友人と「この頃鳩が少なくなった」という話題になっていた時に、ふと目をあげたら飛び込んできたこのシーン。
鳩と高原竜と大室山リフトと言ってしまえばそれまでですが。

シャボテン公園の鳥だよりでした。


「チコちゃんに叱られる」にエイジングライフ研究所のグラフ登場

2018年11月08日 | エイジングライフ研究所から

「チコちゃんに叱られる」というNHKの番組をご存知ですか?
先週放送の「チコちゃんに叱られる」に私たちが大切にしている基礎的な資料が登場しました。

このグラフは前頭葉機能が、20代にピークを迎え後は直線的に低下していくということを意味しています。
肺活量、免疫力、骨塩量などの身体機能、種々の運動能力が、ピークがどこにあるにしろ若いころにピークを迎え、その後は加齢とともに緩やかに低下していくことは、まさに皆さんの実感だと思います。見た目、肌や髪の毛など容姿も同様ですね。
脳機能だけが、いつまでも成長を続けていくということはないのです。
前頭葉機能の説明は、その働きが複雑なだけに説明しにくいのですが、人間だけにしかない特有の働きなのです。「脳の司令塔」とか「その人らしさの源」とか「脳の最高次機能」というような表現ではどうでしょうか?
主な前頭葉の働きを具体的にあげてみましょう。

この前頭葉機能に着目することが、エイジングライフ研究所の主張する認知症の早期発見には不可欠なことです。
脳機能から見ると、人が生きるということは、三頭立ての馬車に例えるとわかりやすいかもしれません。デジタル情報担当の左脳、アナログ情報を担当する右脳、そして体を動かすことに特化している運動領域。これらは大脳表面2ミリしかない大脳皮質が担当しています。
脳機能から言えば脳の深部中心にある脳幹(呼吸や消化や体温調節など、生きていく時のもっとも基本的な働きを担っています)やそれを取り囲む形の辺縁系(本能に相当する機能です)に比べるとはるかに高次な機能です。
この左脳や右脳の働きを認知機能といいますが、ここですらほとんど人間だけにあるといってもいいほどの高次機能なのです。脳の場所から(脳の)後半領域とも言います。
が、下図を見てもわかるように、どんなに立派な馬を用意しても(どんなに立派な後半領域を持っていても)、御者がいなくては、馬車は目的地に到達することはできません。その御者の働きをするのが前頭葉です。

最初のグラフは、前頭葉機能のうちの「意欲、注意集中力、分配力」にターゲットを当てた検査成績の結果ですが、これらの機能は前頭葉機能の中でもベースとなる働きです。状況を判断して自分の行動を決めていくときには必ず発揮される機能なのです。
縄文のビーナス(長野県諏訪市尖石縄文考古館)

さて、「チコちゃんに叱られる」に話は戻ります。
テーマは「なぜ中高年男性はおやじギャグを言う?」
そしてその答えは「脳のブレーキがきかなくなっているから」
その解説に、上記のグラフが使われました(当然、事前に使用許可のお願いがありました)

番組でどのように解説されたのか、紹介をしておきましょう。
「側頭連合野に年齢とともにより多くの語彙がたまっていく(それでも50代がピーク)。
若い時にはおやじギャグの語彙を思いついても、前頭葉の抑制がかかるために口にすることはない。
中高年になると、語彙の数がさらに増加している場合でも、低下が始まっている場合でも、前頭葉機能(抑制力)が低下してきているのですぐに口に出てしまう。」
ドラマ仕立てのシーンあり、脳のイラストや、神経伝達の様子の動画、そしてグラフなどを駆使して解説されていたために、説得力のある番組に仕上がっていました。おもしろく拝見しました。

50代をピークとする「おやじギャグを生み出す側頭連合野の発達」(番組表現)のグラフはハーバード大学からの出典。
20代をピークに低下を続ける「感情をコントロールする前頭葉の働き」(番組表現)のグラフはエイジングライフ研究所からの出典。
このように「前頭葉機能」が注目されることは、ちょっとうれしい出来事でした。
実はこのグラフ、以前NHKBSプレミアム「偉人たちの健康診断」でも使われ、「チコちゃんに叱られる」でも近々また使われるのですよ。




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