前回のブログに引き続き十日町市の報告です。
十日町市では何度か講演をしていますが、今回伺った飛渡(とびたり)地区のことを記録しておきたいと思います。
「健康づく
「『健康づくりひまわり会』というのは、昭和62年、市の『日本一の健康都市づくり』事業の一環として設立され、平成17年まで20回にわたって『とびたり健康まつり』を実施してきました。
市としての事業終了後も『健康づくりひまわり会』の活動は継続され、新たな手作りの内容で『とびたり健康まつり』も開催されています。
さらには新しく高齢者を対象にした「けんこつ体操」が普及し3会場で行われています。」
(「」内の引用は、すべて社協大津さん作成の資料によります。大津さんありがとうございました)
岩田さんは、去年十日町市川西地区で実施された講演会に出席なさって「これだ!この話を飛渡地区の方たちに聞かせたい」と思われたそうです。
そういわれてみると、確かに講演後に元気な方から話しかけられたことを思い出すことができました。
「それから、こうやってここ飛渡公民館で講演が実現できるように、いろいろ働きかけたんです」と笑いながら話されましたが、それって結構大変なことだったんじゃないでしょうか?
行動力と統率力があって、明るく元気、周りの人も元気にさせるそんな岩田さんでした。
社協大津さん(左)と飛渡公民館春川館長さん(右)
岩田さんは、もともとは中学の先生(体育・養護教諭)。
飛渡地区の地元の方ではなく、ここが気に入って住むようになられたそうですが、お仕事を退かれたのを期に、地域活動に引き込まれたのが飛渡公民館春川館長。
有為な人材は必ずどこにでもいますが、適材適所の言葉どおり活動の場を上手に用意する働きをする人もまた必要なのです。
ボケ予防教室を自主的に運営していくときには、ボランティアさんたちが不可欠ですね。もちろん養成講座でひろくボランティアさんを育てることが王道ですが、それでもキーパーソンがいます。
婦人会長さんとか食生活改善推進委員の方、民生委員・・・女性に限らず地域活動ができるタイプの男性でも。
その人に養成の目的を理解してもっらた方が、ことはスムーズに運ぶことが多い、そんな方々。
飛渡では、岩田さんを館長さんが射止めましたが、一般的には保健師さんたちほど地域の人材の把握に長けている人たちはいないでしょう。
その力も、ぜひ発揮してください。
教室運営を考えると、カリキュラムも大切です。そのときにも周りを見回してみてください。隠れた人材は必ずいます。
「地域の高齢者のために自分の持っている技能を提供してもいい」と思う人を見つけるアンテナを高く掲げておいてください。
伊東三佳さん(魚沼よみうり掲載記事より)
「飛渡地区は14集落からなり戸数172戸、人口650人。平成元年には242戸だった戸数が70戸減少し過疎化の波が押し寄せています。
中越大地震後は飛渡第一小学校が唯一の学校となり、児童数20数名の拠り所でもあり地域の拠点ともなっています。
高齢化率は35.4%を示しています」
伊藤三佳さんは、飛渡地区の中の、たった6軒の池谷集落というところに移住してきた人です。
こういう人材を、活用しない手はありません。それは単なるボケ予防教室のカリキュラムが増えるというだけでなく地域おこしの一環にもなりうる可能性を秘めています。
実は大津さんが、前日に地区の案内をしてくださいました。そのときのこの三椿(みつばき。三佳の三、椿が好きだから三椿)にも連れて行ってくださり、私たち二人で創作体験をしました。
創作体験を誘うとすぐに乗ってこられるような、そして作られたものが生まれたばかりのお孫さんの写真を入れる名前入りのフォトフレーム!
お話を伺っていると、小学生を対象にしたブナ林での音楽会とかその他の体験学習など、アイディアも実行力もなかなかの方だと感じました。
大津さんのような方も、ボケ予防活動の立派な人材ですよ。
大津さん、子供と高齢者のコラボも考えてみてくださいませんか?
種のブローチ(自作)
三椿の伊藤さんは、材料になる種や豆を「今年はここでもっとたくさん作ります」と意気込みを語ってくれましたが、すでに数十種類も用意されていました。
このブローチをつけて翌日の講演に臨みました。お年寄りに大好評でした。
「三椿を知っている人?」という質問にはほとんどの方が手をあげられましたが
「行ったことがある人?」には手がさっと下がってしまいました。
わが町に新しい名所ができたことを知っていても、行ったことがない高齢者の多いこと・・・・
「ボケ予防教室」に参加するということは、参加することで新しい行動ができるようになるということでもあるのです。積極的に人生を楽しむ姿勢を、高齢者が脳の健康のためにいいことだと理解し実践する場にならなくてはいけません。
自分の住んでいる地域で、それが実感できれば効果は倍増です。
保健師さんたちは有効な教室カリキュラムをいつも考えておいてください。
今回の飛渡では、「人」が最も印象的でした。
でも、もちろん豊かな自然も十日町市の他地区と同様、皆さんの誇りです。
ブナ林(焼野集落と池谷集落を結ぶ雄大林)
大津さんには、飛渡地区を案内していただきましたが、まさに里山という風情の小貫地区にも連れて行っていただきました。
「過疎化とともに中越大地震にも見舞われ、H19年11月、800年以上続いた小貫集落は閉村となりました。」
閉村にあたり、小貫諏訪社をお祀り直し、立派な碑もたてて集落を後にした住民の方たちの気持ちに触れるひと時でした。
小貫諏訪社
小貫の大杉
写真左下の説明板が如何に小さいか注目!
「昭和53年天然記念物『小貫諏訪社の大杉』として県指定文化財となりました。
高さが38.1m、目通り周り8.62(直径2.75)mもあり、魚沼地方では最大杉の巨木です。
枝張りは東西約22m、南北約26mで樹勢は極めて盛んで毎年成長しています。
樹齢はおよそ800年と推定されています。」
飛渡地区の皆さん、この小貫の大杉に負けないで、体も脳もいつでも元気でいてください。