脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

9月の右脳訓練ー歌舞伎一幕見

2018年09月27日 | 前頭葉の働き
何度か書いていますが、歯科受診で上京するときには、ついでに右脳訓練に励むことにしています。
いつもの検診の時は朝一番に予約を入れていただいて、昼からゆっくりと右脳訓練に励むと言うパターンなのですが、今回は「歯の一部が欠ける」と言う突発的な状況でしたから、受診が中途半端な時間で後の予定が立ちにくい状況でした。

予定を立てるときに、用意周到にタイムテーブルを作り水が一滴も漏れないように準備できる能力は、もちろん前頭葉を駆使することになります。
一方で、いくつかのケースだけ考慮しておいて、あとは臨機応変に対処すると言う能力はどこが発揮するのでしょうか?

これもまた前頭葉です!

「状況を判断し、見通しを立てて、決断する」
「決断に従って、行動に移し、意欲を持って継続していく」
「一旦動き始めた状況をさらに検討し、場合によってはその行動を変更もする」
ざっと考えても、臨機応変と言うにはこのくらいの前頭葉機能が関与していますね。

閑話休題
最後の写真は定式幕(じょうしきまく)です。
森田座由来の歌舞伎座の定式幕は黒ー柿色ー萌葱。
市村座は黒ー萌葱ー柿色の繰り返しで、現在は国立劇場と大阪歌舞伎座でつかわれているそうです。
中村座は黒ー白ー柿色。中村座の娘が市村座に嫁し、同じ幕を使ったが、白の汚れが目立つので萌葱に変えたとか。
定式幕は如何にも歌舞伎らしい印象を惹き起こしてくれるものですが、三種類あることも知りませんでした。その知識が特別何の役にも立つわけではありませんが、「私」の前頭葉は喜びました。

急な受診が決まった時に「今回の『東京を楽しむ』計画はどうしたものだろう」と、前頭葉が動き始めました。ところが何時から自由時間になるのかがはっきりしません。
ひょいと思いつきました。

歌舞伎座には一幕見というシステムがあるのです。体験したのはもう50年くらい前に一回だけ。でもこの知識が今に役立つのですね。

一幕見というのは、当日の一幕だけの入場券を、だいたい2時間くらい前に窓口で買っておきます。料金は幕ごとに違いますが格安です。指定時刻に集合し、特別の入り口から入場券番号順に入場していくシステムで座席は4階!
その座席から見下ろした舞台の様子は、上にあげた幕の様子から想像がつくでしょう。
主目的の歯科治療から解放される時刻がわからない状態で、事前に組んでおく予定としたらベストかもと自画自賛。チケットが入手できなかったら、映画観賞に変更することも考えておきました。
さてその次、チケットをゲットして1時間半ぐらいの時間はどうするか。
帰ってくるので動きたくはないし、まとまった時間なのでゆっくりしたいし。
新しくなった歌舞伎座には、歌舞伎座ギャラリー回廊というエリアがあります。資料展示ブースや屋上庭園、日本茶カフェなどがあるのです。創業160年の寿月堂がパリ支店に次いで開いたカフェは、ここだけの商品などもあり一度行って見たいお店でした。「寿月堂でお茶」これも決定。
時刻だけが決まらないまま、予定は着々とできあがっていきました。
思いがけず、歯科治療は短時間ですみました。夜の部最初の一幕見席発売時刻に間に合います。

無事チケットを手に入れて、待ち時間の間は予定通り寿月堂へ。
竹を多用したおしゃれな店内は、隈研吾設計とか。

いただいたのは正統的にお煎茶セット。お茶を楽しみながらブログを書きました。

窓の外には、日本庭園が広がってます。借景とまではいきませんが、庭の背景に見えるのがビル群というのはちょっと不思議。

帰りの時間も、前頭葉が考えて三幕、玉三郎の羽衣までで終わりにしました。
結論。とっても楽しかった!今まで何度か見た舞台とは視点が違うので、歌舞伎の持つスペクタクルな舞台転換がより一層楽しめたかもわかりません。玉三郎と佐渡鼓童とのコラボはなんとモダンだったか!
舞台の写真は撮れませんから、言葉の力だけでこの感動を伝えることは無理です。チャンスがあったら一幕見に挑戦してみてください。

ブログに書いて一夜明けて、今朝気づいたことがあります。
テレビで吉右衛門特集も組まれたし、評判のよかった「秀山祭」。そろそろ終盤、あと一週間を残す時期だったのでチケットは完売と、最初から思い込んでいて、当日券売り場に行かなかった!
もしかしたら、空席があったかもわかりません。ケースシュミレーション不足でした。ただ一番いい席だと2万円超えのはず。それなら歌舞伎鑑賞を第一目的にしたいですね。
こういう風に一連のことに思いをはせて、反省したり思い直したりするのも前頭葉の働きです。そしてそれがまた自分の行動を決断していく時に、自分らしさという前頭葉の色付けに一役買うことになっていきます。

9月の右脳訓練ー事任八幡宮秋の大祭に遭遇

2018年09月26日 | 私の右脳ライフ
浜松での実務研修会を終えて、9月15日帰途につきました。
たまには道を変えてみようということになり、新東名をやめて旧国道1号線にしたのです。西行が「年たけてまた越ゆべしと思いきや命なりけり小夜の中山」と詠んだ東海道の難所小夜の中山。その小夜の中山の手前におまつりされている事任八幡宮、秋の大祭に出会いました。

初めてお参りします。創建がはっきりしないほど古いだけあって社叢も深く巨木も目につきました。

この楠の周りをめぐるとご利益ありとのことで、熱海来宮神社の楠と同じでした。
杉の大木もありました。

足元には、結構無造作に「八坂の玉石」が小山になっていました。

秋の収穫という意味なのか、何かのいわれがあるのかもしれませんが、立派なレンコンが奉納されていました。こんな立派なレンコンは久しぶりに見ました。

舞楽殿もあるのです。

ちょうどいいタイミングで女子小学生による舞楽奉納が始まりました。しかも三組も。
一番小さな子供たち。

もう少し大きな子供たち。

浦安の舞。

たくさん練習したでしょう。

少し登らないといけないのですが、本宮にもお参りしました。

271段登って本宮参拝。下の社務所で紙を渡されて「神様のために一つ、社会のために一つ、自分のために一つ」計三個の石を磨くように言われ、ちゃんと二人で六個磨きました。






実務研修会に参加したみなさんへ

2018年09月17日 | 二段階方式実務研修会

9月13〜14日と北海道岩見沢市から山口県下松市まで、広範囲からの参加者を迎えての研修会でした。
(研修交流センター1階楽器博物館のカフェ)

会場の浜松市アクトシティで初めての研修会を開いたのは、平成7年1月17日に発生した阪神淡路大震災の直後の2月でした。関西以西の参加者が相次いでキャンセルとなったこと、浜松には珍しく雪模様の寒い日だったこと、そのような些細なことが思い出されます。
あの時から、そろそろ四半世紀。
エイジングライフ研究所の研修会は毎回どこか印象が違うのですよ。参加している方たちがこちらが投げるボールをしっかりとキャッチしてくれていると感じる時とそうでもない時。
もちろん伝えるべき内容は共通しているのですから、その差はどこから生まれるのかちょっと考えてみました。

伝え方の問題があるとしたら、これは当然私の反省点です。工夫の余地はあると思いますが、「伝えたい気持ち」にはブレはなく、むしろ研究会を重ねる度に「この簡便な手法が、個々人だけでなく日本を救うのだから、ぜひ使えるようになってほしい」という気持ちにまで昇華していってます。
これは理屈に合わないのですが、とにかく身勝手な理由をつけてでも自分の問題を外したいのです。
自分に帰属している理由以外の理由を考えて見たかったからです。

1。参加者のモチベーションの差。現在アルツハイマー型認知症(特に予防)の仕事についているかどうか。それ以前にこのアルツハイマー型認知症に関心があるか。
参加したくて参加している人ばかりではないことに、ある時気づきました。「母子担当なのですが研修予算があるので参加するように言われました」と、悪気なくいった人もいました。
細かく言えば、研修を受けるような心理状況にない人もいるかもわかりません。もちろん体調だって同様です。業務としての参加ですから。
手技には関心を持っても、ただでも忙しい日常業務の中でどう使っていくのか?と悩ましく思ってしまう人もいるでしょう。

2。参加者の年齢の違い。新採用の方から定年間近の方まで参加されます。経験を積まないと実感できないものがあるために理解が具体的だったり、深まっていらっしゃることもあれば、フレッシュマンらしいキラキラした関心が、こちらに直接伝わってくることもあります。

3。さて、当日の天気は影響するでしょうか?幸いにも荷物の積み下ろしに困るほどの雨に当たったことはありません。と、いうわけで豪雨や雪の影響はわからないのですが、晴れから小雨までの天気であるならば、特に関連はないような印象を持っています。

ここまでよく付き合ってくださいました。
「なんか変だなあ」と思いませんでしたか?「いくらなんでも研修会の印象が違う理由としては、こじつけじゃないか」と思いませんでしたか?
(9月15日事任神社で)

研修会後に読んだ新聞記事です。
エーザイが、まだアミロイドβの影響を取り除くことで、アルツハイマー型認知症の治療までもできる薬を開発中ということが取り上げられていました。アリセプトは進行を遅らせるだけだとされていたわけですから一歩踏み込んだ創薬ですね。
一方で、同じ記事の中に、アメリカの巨大な製薬会社イーライリリー社は「アミロイドβがアルツハイマー型認知症発症の原因とする考え方からは撤退した」ということにも言及してありました。

何が原因かということを考える時には十分な注意が必要です。
アルツハイマー型認知症の重度の方の脳にアミロイドβが多く見られたからといって、アミロイドβがアルツハイマー型認知症の原因と言い切ることはできないはずです。別の原因でアミロイドβが溜まっただけかもしれないでしょう。
例えば、脳を生き生きと使わないがためにアミロイドβが排出されなかったのかもわかりません。
「『火事は煙がでる。煙が出てるから消火に行ったら、サンマを焼いていた』というようなことにならないように」と、学生時代に相関を考える時の注意を受けました。

研修会で所長が解説したように、「アルツハイマ-型認知症発症の原因として脳の使い方という意味での生活習慣」を上げるところが世界的な研究機関からも出てきたのです。
エイジングライフ研究所は、たまたま正常の方から重度認知症の方まで幅広いデータがあったこととそれが多数例であったことから、アルツハイマ-型認知症の正体がよく理解できたのだと思っています。
住民の方々に「脳の健康教育」をしていくことができるのはみなさんです。

感想を伺いました。
「マニュアル通りに、趣味や運動などを進めていたが、なぜかがよくわかった。これからはもっと自信を持って指導につなげられる」
「生活上の大きな変化をきっかけにして、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣が継続すると、脳が老化を加速する(本来の老化と廃用性機能低下)ということはとても納得でき、具体例が目に浮かぶ」
「長く使っているうちに、少し変化してきているようなのでもう一度正確に使うようにしたい」
嬉しい感想として「使ってみたいと思います」
そうなのですよ。事例を重ねるほど、納得できることが増えていくと思います。

今回は、右脳・左脳の話で盛り上がりましたね。左利きの人で右脳障害のため失語症になった事例を紹介しましたが、ここに詳しく書いていますから一読をお勧めします。

例外ですが、左脳=デジタル・右脳=アナログに当てはまらないこともあります


20歳代のかなひろいテスト

2018年09月07日 | 二段階方式って?

ちょっと問い合わせがあったので、かなひろいテストを見直してみました。今日は二段階方式を導入している市町村保健師さんのために書きました。

かなひろいテストというのは、「全部ひらがなで書かれているおとぎ話を読んでいきながら、大筋を理解し記憶していく。同時に『あ・い・う・え・お』の5文字を拾い上げて丸を付ける」という前頭葉の機能テストです。実行機能としての前頭葉の機能のうち、主なターゲットとして、意欲・注意集中力・注意分配力を測定するものとして開発しました。


このブログでも、何度も前頭葉機能についてお話ししていますが、世の中ではまだ理解されていないと思わされることがしばしばです。最近良く目に付くのがデユアルタスクという言葉です。
「何かしながら、同時に別の何かをする」ことが前頭葉を刺激して認知症予防につながるという論調です。そしてその例として「料理しながら歌を歌う」とか「歩きながら、規則に沿って何かする」というようなことがあげられています。何度か書いていますが去年のを。

1月の右脳訓練ー料理と認知症予防

前頭葉機能を理解してもらうために種々工夫をしてきましたが、今のところ一番いいのではないかと思うのが、脳の機能を3頭立ての馬車に例える説明です。

左脳・右脳の働きといわれる一般的な認知機能と、前頭葉機能はその働きのレベルが違うのです。人間にしかなく、その人がどのように生きるかを決定するその人らしさの源となる最高次機能です。
考えたら、小ボケ(というのは、前頭葉機能だけが老化を加速させてしまってうまく働くなった状態)になった時に家族はよくこういいます。
「おばあさんじゃないみたい」
「以前のおばあさんだったら、絶対にした(orしなかった)のに」
「おじいさん、人が変わったみたいに怒る(or怒らない)」
「おしゃれだったのに…」「整理好きだったのに」というのもよく聞かれます。

さてかなひろいテストに話を戻しましょう。
今は、認知症の早期発見にその威力を示していますから、あたかも認知症のテストのように思われています。そうではないのです。あくまでも「前頭葉機能」のうちの「意欲・注意集中力・注意分配力」を主たるターゲットにした検査法です。だからこそ小学校1年生から100歳までのデータを私たちは持っているのです。

このようなカーブはよく見ます。体力、肺活量、筋肉量、骨塩量、免疫力等々。
今回、私が2000年ごろ浜松医大看護学科で教えていた時の生データが出てきましたので、もう一度整理してみました。脳機能の話をする時には、前頭葉を理解する近道として「かなひろいテスト」を講義の前に受けてもらっていました。
大学2年生19~24歳 平均20.1歳 46名です。

高齢の方の検査データを見慣れている人は、目をこすってしまったのではないですか?
20歳代の正答数の平均は44ですから、平均は予想通り。最大値の59はどうですか?全数ピックアップできたとしたら61ですね。見落としたのはたった2。
おもしろい傾向が見えました。最後まで読んだ人たち10名を列挙しましょう。(正答数,見落とし数,正確度(マニュアルによる算定。最大値1は全く見落としがないことを意味する))の形式です。
(59,2,0.99)(58,3,0.98)(57,4,098)(57,4,0.98)(56,5,0.97)(55,6,0.97)(55,6,0.97)(50,11,0.94)(50,11,0.94)(45,16,0.9
最後まで読んだということはスピードが速いということです。高齢者では考えることもできないようなスピードで読み進めていきながら、見落としも少ない!また全文読んでしまったのですから当然ですが、正答数が多い人ほど見落とし数が少ない。なんという素晴らしい注意の分配力でしょうか。高齢者の場合は見落とし数は正答数の1/3程度まではよくあることと考えますよね。

さらに特筆すべきことがあります。全員意味把握ができました。3名だけが正答したうえでやや曖昧な回答が付け加えられただけでした。

「あいうえお以外の文字に〇がつくことは例外で変り者の指標」ということもよく強調することです。
今回はたった2名。全体の4.3%です。それも1文字ずつでした。全員の丸の数を合計してみたら2098文字、そのうちの2文字。いかに頻度が低いかよくわかりますね。

年若い人にも、前頭葉機能が不合格の人がいます。今回も2名。(19,1)(27,6)いずれも内容把握は可でした。この人たちを理解するには「二段階方式個別判定マニュアルA かなひろいテスト不合格の原因」を読んでおいてください。
私は何度か、大学でかなひろいテストを実施しましたが、毎回必ず不合格者がいました。中に「小さいころ水頭症の手術をしました」という学生もいて、その時はかなひろいテストの持っている威力を改めて感じました。




iPS細胞でパーキンソン病の治療始まる

2018年09月04日 | これって認知症?特殊なタイプ

猛暑だか酷暑だかの8月も終わり、もう9月になりました。
一か月間全部遊びの記事だったことは、2005年のスタートから初めてのことだと思いますので、今日はちょっと真面目に取り組みたいと思います。(写真は伊豆グランパル公園グランイルミより)

ちょっと旧聞に属しますが、「京大で、iPS細胞を使ったパーキンソン病の治験が始まる」というニュースが流れました。目にされた方々は「これでパーキンソン病が治る!」と思ったのではないでしょうか。
見落とした方のためにちょっと詳しく書きましょう。
「人間のiPS細胞から作られた神経細胞を、パーキンソン病患者の脳に移植して症状改善を図る臨床試験が始まった」ということは、パーキンソン病の発病原因と大きく関係しています。
「パーキンソン病は、脳内の黒質というところにあるドパミン細胞が変性して、ドパミンが足りなくなるために起きる」ということまではわかっています。
だから、移植した細胞がドパミンを出してくれたら、根本的な治療につながるのです。

もちろん私もこの治験がうまくいって、パーキンソン病の方々が笑顔になることを願っています。この治験が成功すると「世界で最初」というような名誉も伴うのですから、ほんとに成功してほしいものです。
けれどもこの記事を読みながら、「世の中の人たちが誤解することになるなあ」と気が重くなったのも事実です。今日はその間違いを解説したいと思います。

その前にちょっとだけ、パーキンソン病のおさらいをしましょう。
パーキンソン病の症状としては
①歩く速度が遅くなる。歩幅や腕の振りも小さくなる。歩き出そうとすると足が出ない(すくみ足)こともある。とにかくなかなか動けない。
②手足のふるえ。高齢者に見られるふるえ(本態性振戦)は、何かする時に大きくなるが、パーキンソン病の場合は安静時に細かく震えるところが違う。高齢者のふるえは手の他、頭や声にも起きる。
③筋固縮。肘、手首、首などの関節部分を、検査者の手で動かしてみると、ちょうど歯車を動かしたようにカクカクとした動きを感じる。
④姿勢反応障害。ちょっとバランスを崩すとバタッと倒れてしまう。
上の上の四つがパーキンソン病の4大症状といわれるものです。
臨床的に目立つその他の症状として仮面様顔貌があります。無表情でまばたきも少なく、一点を見つめていてまるで仮面のような印象を受けます。そして私の印象としてはちょっと脂ぎっているような感じも受けました。
パーキンソン病という診断が確定すると、投薬治療が始まります。逆に言うと薬が効かないならパーキンソン病ではないといえます。最初はよく効きますが、次第に効かなくなり組み合わせを変えたり、別の薬にしたり。手術をすることもあります。
私には詳細はわかりませんが、今回の治験を受けられる方々は、皆さん最低ここまでは治療を受けられた方々のはずです。

さあ、ここからです。
「うちのおばあちゃん、パーキンソンなの」
「歩き方がね、トボトボしてるから病院に行ったらパーキンソンって言われた」
「無表情が気になって先生にかかったら、パーキンソンだって」
実は、最近は「パーキンソン」に変わって「レビー小体型認知症」といわれる割合がどんどん高くなっているような気もして、ブログに書きました。

「レビー小体型認知症」って増えてますが。


確定診断に関してはまだ「パーキンソン病」のほうがましですね。
ところが、パーキンソン症候群という言い方もあります。もともと、パーキンソン病が先に確立されて、その時に見られる症状は4大症状として先に挙げました。
その後、パーキンソン病の時に発現する症状と同じものに対して、パーキンソン症候群と言い習わしたのです。一見パーキンソン病と同じように見えるけれども、詳しく調べると別の病気かもしれないものもひっくるめてパーキンソン症候群と。薬の飲み合わせが悪い時にだって起こります。

もちろん小刻み歩行や無表情の症状はパーキンソン症候群といっても差しさわりはないのです。
一方で、小ボケの方たちは、前頭葉機能が低下していますから、その結果として小刻み歩行になるし無表情にもなります。
その状態で受診した時にドクターが「パーキンソン症候群があるね」といわれても何の不思議もありません。さらに「パーキンソン症候群」と診断はされても「パーキンソン」と口にされるドクターがいらしゃらないとも限りません。

ところが診断を受けた側は「『パーキンソン』と診断された」と妙に納得してしまう・・・
その人たちみんなが「『パーキンソン』の凄い治療法がもうすぐ確立される」と喜んではいないでしょうか?

ドクターは「パーキンソン症候群」と診断し、そう言われた側は「パーキンソン(病)」と思ってる例は、とんでもない数にのぼると思います。その大多数は前頭葉機能低下(小ボケ)の症状である可能性が大きいです。
「パーキンソン(症候群)」という診断を受けたということで、妙に納得してしまっている小ボケの患者さんや家族は、もともと積極的な脳リハビリをやりません。そのうえに「治療ができるんだから」と安心して何もしないでいると、脳機能の低下はどんどん進んでしまいます。

京大の治験が成功したとしても、その治療が効を奏する真の「パーキンソン病」の人たちは、少ししかいないことを肝に銘じましょう。前頭葉機能低下だけの小ボケ状態なのにパーキンソン(症候群)といわれた人たちは、イキイキとした生活を取り戻して、脳の活性化を図る方が大切です。


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