脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

5月の右脳訓練-伊豆高原アートフェスティバルと右脳の関係

2014年05月28日 | 右脳の働き
この素晴らしい緑の季節。
伊豆高原の5月は緑があふれかえるような季節です。伊豆高原ではアートフェスティバルが実施されていて、私も何か所かまわってみました。

一人で行ったところ、夫といったところ。何度かは友人と行きましたが、さすがに十人十色。
興味を持つところがそれぞれ違うのですね。
この前の日曜日に、大学の後輩たちが訪ねてくれました。短い時間でしたが大急ぎで回りました。素敵な写真をFBに載せてくれましたから、お許しをもらってアップします。

桜美林伊豆高原荘(ここも会場)より大室山を臨む
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重岡建治先生の彫刻アトリエ
去年11月にアップしたムービーメーカーの舞台は「なぎさ公園」です。
ムービーメーカーがコピーできませんから、ブログのページを張り付けておきましょう。http://ageing.blogzine.jp/boke/2013/11/post_72e2.html
ここに設置されている作品はすべて重岡先生作です。
公園はブロンズですが、ここのアトリエでは樟のいい香りが漂っています、木彫作品がたくさんあります。

そのお隣 田嶋淳展
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難解な現代美術ですが、作者と話してみると少し分かってくる(左脳的に理解できるのではなくて、作者のモチベーションというものが何となくわかる。感じる。まさに右脳の働き)のが不思議でした。
玄関ホールに、何も描かれていない絵画が展示されています。
一面がベージュの濃淡で塗り込まれていました。そして小さな穴から赤い糸が出ていました。
その糸が家の中、洗面所、居間、食堂。更には緑の森に囲まれたようなベランダにまで延びて、そこに赤い糸でできた人体ができあがっているのです。
食堂のテーブルを挟んで対面する。ベランダで一緒に並んで森を見てみる。
ざわつくのです。この気持ちを感じさせることが作者の意図かもしれません。

エンゲルスブルク ドイツ人形のかわいいお店 
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後輩はとっても喜びましたよ。買ったお土産を見て、なんだか彼女の理解が深まったような気がしました。
ここは、一人でも行きましたし、友人とも何度か行きました。お土産を買ったのは今回の友人だけでした。
今思い浮かべると、彼女とあの煙出し人形のイメージが不思議なほど一致するのです。
気に入って求めるということは、一番ベースにあるのは右脳が「好き」とか「かわいい」と感じたからでしょう。(これは理由を聞かれても答えられません。「だって可愛いんですもの」)
次に値段。これは左脳の典型的な働きです。
高いか安いか(左脳)好き具合(右脳)、飾り場所など家の事情、何もかも考えて買うという決断を下すのは前頭葉ですね。
一緒にその時を過ごすことで、彼女の脳の働き方が、分かってくるのでしょうね。だからちょっと理解が深まった感じがしたのでしょう。

ヒロ画廊

ここは伊豆高原で一番おしゃれなギャラリーかもしれません。建てた人たちの思いを感じることができる空間です。この様に感じるのも、感じないのも、右脳のしわざ(笑)だからこの感想はあくまでも、私の個人的なものですよ。
前日には、小泉八雲の怪談の朗読会もありました。
夕方から、ろうそくの明かりで行われました。
誰からもそういわれたわけではないのですが、朗読が始まると目を閉じるのです。そちらの方がイメージが脳内いっぱいになる。
演者も「しっかり読み込んでおけば、読み始めたときには何人もの声色に、考えるというようなことはしていないすぐなる。」ということを解説してくれました。こういうことができるのも右脳でしょう。

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伊豆高原アートフェスティバル(まさに右脳の祭典)で行ってみたいものがたくさんある。行ってみたらやってみたくなった。
こういうタイプの人はボケるタイプではありません。

認知症予防には「牛に惹かれて善光寺」とい言葉がありますが、何から始めてもいいと思います。とにかく楽しみで、ずーと続けたくなるものを持っている人は幸いです
針と糸でも、絵でも、陶芸でも、コーラスでも。確かに趣味は右脳中心ですね。

ところが仕事以外何もないと訴える初期の認知症高齢者がどれほどいるでしょうか!
趣味を勧めたときに聞かれる言い訳の常套句は「苦手だから」か「やったことがないから」です。
つまり興味が持てることをたくさん体験させておくことが認知症予防には最も効果的。
そしてよくよく心にとめておかないといけないのが、右脳の教育です。臨界期がごく小さい時ですから、感性の教育は計算や漢字ドリルに先行すべきものです!


ボケ始めた人が旅の企画をする…

2014年05月20日 | 正常から認知症への移り変わり

夫から質問がありました。
「小ボケの人が、旅行の企画をしたらどういうことになるかなあ」

私の思考パターンは、だいたいいつも具体的なイメージが先行するのです。右脳優位ですね。
「ウーン。小ボケの人が、旅行の計画?」まったく、何も思いつきません。

P1000015 そこで、左脳の出番
理屈で攻めてみるわけです。

小ボケというのは、認知症の初期状態。

最近、世の中では「認知症の始まりは」とか「認知症の早期発見」などのことばが、飛び交うようになってきました。
いろいろ読んだり聞いたりしてみても、納得できる説明に出会うことがありません。

エイジングライフ研究所では、とてもシンプルな説明をしています。

脳機能のうち、脳の司令塔とも表現される前頭葉機能は、年齢とともに能力低下を起こしていくのですが(正常老化)、何らかのきっかけで、生きがいも、趣味も、交友も運動さえもしないナイナイ尽くしの生活になったら、その前頭葉機能の老化が加速されるのです(廃用性の機能低下)。
ここから認知症は始まっていきます。P1000012

それから数年かけて、読む。書く。模写するなどのいわゆる認知機能までもが徐々に機能しなくなっていき、それにつれて生活上にも問題が生じてきます。

つまり、認知症の初期状態は前頭葉機能がうまく働いていない状態と考えたらいいのです。

認知症の初期状態を知るためには、前頭葉は、どのような働きをしているのか知ることが必須ということですね。
先ほど、前頭葉機能を「脳の司令塔」と表現しました。

Photo_31 エイジングライフ研究所は、生きていくときにどのように脳を使っているかを理解してもらうために、3頭立ての馬車の例を挙げます。

前頭葉は、まさに御者役なのです。

まずことを起こすための意欲から始まり、状況を判断し、何をするか決断します。
それから、行動を起こし、注意を集中したり分配したりしながら継続していきます。

状況の変化に応じて、行動も調整し、抑制をかけることもあります。

前頭葉は、それまでの人生体験を基にした評価の脳でもありますから、その時々の決定はまさに十人十色。その人らしさの源は前頭葉にあります。

P1000013質問の答えです。

「小ボケの人は、旅行の計画なんか立てません。(だからイメージが全くわかなかった・・・)
何しろ意欲がなくなるので、慣れている日常生活ですらあれこれ面倒になって何もしなくなります。まして、結構煩雑な旅行の計画に取り掛かれるはずがないのです。

目的地を設定して、交通手段、宿、食事、休憩、見どころとか体験のチェック。
費用も、天候も大切な検討項目ですね。

参加者の希望や事情も考慮しなくてはいけません。

4月の右脳訓練ー小旅行1~3 を再読してみました。非日常である旅には、前頭葉は不可欠ということが、改めてよくわかります。
だから、小ボケの人には旅行計画は立てられないのです。


認知症の初期に料理の味付けが変になりますか?

2014年05月18日 | 正常から認知症への移り変わり

質問が来ました。

「テレビで言っていたことの確認です。この通りですか?
家族でできる認知症チェックとして、二つ上がっていました。
1.料理
料理というのは非常に複雑な作業の積み重ねです。急に料理の味が変わったりした場合は、作っている人に異常があるサイン。
2.趣味
ゴルフの場合、スコアが数えられなくなる。好きだった趣味がうまくできなくなって嫌いになってしまうということがあります。趣味が急に変わった場合も要注意。」

 クマガイソウの群生(5月6日)

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以下はコメントです。

 料理の味は、急には変わりません。
味付けが おかしくなるのは中ボケの半ば過ぎ。

その頃になると、家族はだいたいこういいます。
「辛すぎてとても食べられないものを作るのですが、本人はまるで平気な顔をしてパクパク食べるのです」

いつも言うことを繰り返します。
昨日まで上手に手際よくおいしい料理を作っていた人が、今日になったら、突然とても食べられないような料理を作るでしょうか?

P1000029_2とてもとても珍しいことですが、もしそんなことが本当に起きたとしたら、何らかの精神疾患の発症か、脳外科的な病気が起きたとしか思えないのですよ。

前頭葉機能は、だれでも年齢とともに能力低下を起こしてきます。正常な加齢現象です。
普通の、高齢期に起きるアルツハイマー型認知症は、その前頭葉機能が年齢による低下を超えた形で始まります。

注意すべきはふつう言われる認知機能にはまだ支障は起きてきていないことです。だから、しゃべらせるとまるで普通。計算もできるし、模写などの右脳の機能も問題なし。
認知症の始まりは、前頭葉機能だけがうまく機能していないのです。だから認知症のごく初期には、生活上では前頭葉機能低下(障害)症状があれこれとみられるようになります。

今回は「料理」という分野での支障に絞ってみてみましょう。
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・同じものばかり買ってくるようになる。
冷蔵庫の中を見ると豆腐が3丁。あぶらげ5袋。
テーブルの上にはアンパンが5個もあるというようになるのです。

・今まで手作りのおかずを食卓に並べていた人が、出来合いのものばかり買うようになる。
忙しいときや体調がすぐれないとき、その食品がどうしても食べたいときなど納得できることもありますが、あまりにもその変化が大きいときや継続するときは要注意です。

・もともと出来合いのおかずで済ませていた人でも、パックのまま出すとか「今までとは違う」と家族が感じるならそれも兆候だと考えた方がいいでしょう。

・味は変わらないのに、作る人が変わったようなお皿が並ぶ。
料理が得意で、盛り付けや食器にも一工夫していた人などは、変化がはっきりわかります。あまりにも雑になるのです。

・手順が悪くなる。
ベテラン主婦ともなれば、「いただきます」に合わせて料理を作るものですが、カレーはできてるのにご飯が炊けていないとか、麺類を茹で上げた後で出汁を作り始めたり、暖かい料理を先に作ってしまって、食べるときには冷たくなったままサーブするようなことが起こります。
フライパンが温まった後からお肉を取り出して切り始め、フライパンから煙が出てきても火を止めないというようなこともおきます。
食事の用意ができたときには、流しは片付いていたような人では、信じられないくらい流しは汚れ物でいっぱいです。

・手際が悪くなる
包丁さばきが別人のようになります。野菜の切り方が妙に大きすぎたりして「いかにもおいしくなさそう」と家族が言います。
ご飯を炊くときの水加減がざつだったりもします。
今までの時間では食事作りが終わりません。長い時間をかけて「たったそれだけ?」と家族がびっくりする料理しかできません。

そしてさらに疑問符がたくさん付く事件が続いて、小ボケが始まって3年くらいで中ボケに突入。
脳機能から言えば、前頭葉機能だけでなく認知機能にも支障が起きてきたことを意味します。

その真ん中を過ぎたところから、ようやく、味付けが変といわれるようになるのです。


「今日もコロッケ明日もコロッケ」ー料理作り
http://blog.goo.ne.jp/ageinglife/d/20080517 に詳しく書いてあるのですが、ちょっと引用してみました。

中伊豆わさび田(5月6日)

P1000019P1000021 趣味についての回答です。

 ゴルフのスコア:小ボケで起こりうると思います。

ゴルフをする以上ボールを飛ばすことやあてることだけは続けながらコースを回ります。前頭葉機能は注意の集中や分配を担いますから、その働きが落ちれば、ボールとクラブには意識がいっていても、何打打ったかまでは保持していられない。十分に考えられます。

 P1000025 できなくなって嫌いになる:嫌いになるというよりは面倒くさい方が主です。

長く続けてきた趣味であっても、没頭できない様子が見てとれ、手際が悪くなります。
作品は、その人らしさがなくなって、驚かれるほど月並みなものになります。

そのうえに、いずれの場合も、
「最近、何だかやる気がなくって」とか
「歳をとって、下手になりました」とかいうのですが、その言葉ほどには気にしている様子がないこともまわりを驚かせます。

これらのことをコントロールするのが前頭葉機能ですから、当然といえば当然ですけれど。
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趣味が急に変わる:変わるのではなくて、理由を付けてやめていく。

小ボケの段階で、新しいことを始めることはまずありません!

新しいことに挑戦するときには、前頭葉の意欲が必須です。
前頭葉機能が老化を早めるときには、最も基本的な「意欲」から低下が始まります。
だから、新しい趣味を始めるはずがないのです。
付け加えましょう。続けて低下していくのが、注意集中・分配力、発想、計画などになります。

重度の認知症に至るまでには、いろいろな症状はありますが、起きてくる順番が無視されているのはなぜでしょうか?
趣味の説明のように、ありそうでも、実は認知症の初期症状としてはありえない症状までもあげられて・・・
認知症の初期症状とか、家族でも気づくといわれても、ちょっと困りますね。

goo blog編集画面からアクセス解析ができるのですが、この記事がよく読まれていることがわかりました。
2020年4月19日に書いた『Stay Home  タケノコを満喫』の後半に、それまでに料理に関して書いた10記事をまとめて掲載しました。興味がある方はお読みください。

ジャーマンアイリスいろいろ

2014年05月10日 | 右脳の働き
伊豆高原の一角に、素敵な隠れ庭園があります。ジャーマンアイリスとアジサイがたくさん育てられているお庭です。
先週横浜の友人が来たので久しぶりに行ったら「1週間後がベスト」といわれましたから今日再訪。
ジャーマンアイリスの数々をご覧ください。(いつものように携帯ですからアップばかりですみません)
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OCNのブログ人でブログを書いているのですが、いま使っているGoogle Chromeはリッチモードに対応していません。
そうすると写真を入れても写真の形で入らない。3行にわたってアルファベットや記号の羅列!という状態です。

今日は、ジャーマンアイリスがあまりにも見事でしたからその花の紹介のためのブログです。
花を挿入していくときに、ページ上での色と形のバランス(右脳担当)を考えたいのですが、目に見えているのはアルファベットや記号の羅列(左脳担当)。たった今挿入したのですからどの花かは覚えていますが、前の花とのバランスはどうかと思っても、写真(色や形)で確認できないというのは、とても難しいものでした。

一般的には、論理をつかさどる左脳の方が賢い脳のような気がするものですが、右脳の担当領域では、左脳はほんとに力がありません・・・ということを実感しました。


認知症予防に調理が有効、でも前頭葉機能も考慮して!

2014年05月10日 | 前頭葉の働き

近所に、定置網を持っている富戸港があります。(定置網漁法は入った魚のほとんどが網から出てしまうので、資源を枯渇させない究極のエコ漁法といわれています。)
考えたら、直前まで太平洋で泳いでいた魚たちですから、おいしいのは当たり前ですね!その上安い。
それなのに、朝5時半という時間がネックで、なかなか買い出しに行かないのですが、ゲストがあると早起きして行きます。ゴールデンウイークに息子たちが帰ってきましたから、さっそく食材ゲットに。ただし息子が行きました(笑)
帰船は朝5時。                              

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釣果はクレーンで
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ブリ 5.9Kg 70cm 

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ホウボウ。ヒレを広げるとおしゃれです。

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小さくてもタイ
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きれいなアジ
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調理はご注文通りにがんばりましたとも。
ブリは刺身、アラ煮。ホウボウは刺身。タイは塩焼き。アジは刺身、タタキ、酢〆、塩焼きにアラの味噌汁。

ブリに立派な白子が入っていました。いつもの甘辛煮だけでなく、ネット検索して新しい一皿もサービス。
下処理をした後で、バターで焼くだけ。塩・胡椒。彩は岩手の友人が送ってくれた山菜の女王「コシアブラ」
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表面の軽く焦がしたパリッとした触感を超えると、まるで濃厚なミルクのような舌触りとかすかに甘みのある味。絶品でした。
息子は「海のフォアグラ!」と感嘆し、夫は白ワインの栓を抜きました。

この頃「認知症予防に調理が有効」ということをよく耳にします。
前頭葉を鍛えるためには、同時にいくつかのことをやればいいのだから、「料理をしながら、たとえば歌をうたうみたいなことをすると効果的」と言っているテレビもありました。

ちょっと考えてみましょう。
人の行動って、複雑なのです。

調理台の前で魚を扱っている。10カ所の台所で10人が同じ魚を調理していても、一人ずつの脳の活動には差異があると思いませんか?
技術の巧緻性は別にして、立って包丁を握っているという運動領域の活動だけは共通でしょう。
でも、その10人の人が「調理をしている」という状況をどのようにとらえ、どのように取り組んでいるか、そこはまさに十人十色。
その差を生むのは、そうなのです、たびたび登場する前頭葉機能。

ちょっと考えるだけでも、差がたくさんあります。
1.得意分野なので張り切っている。(苦手なのでやりたくないなあと思っている)

2.新鮮な魚なのできっとおいしいだろうと期待している(ちょっと古いけど味は大丈夫かなあ)

3.食べてもらう人の笑顔や反応を想像しながら、作ることを楽しんでいる(義務的に作るだけ)

4.毎日の仕事の場合のように、あまり何も考えたり感じたりすることなく淡々と作っている。あたかも手が勝手に動いているかのように。

5.手は動かしているが、胸中にはほかに考えることが渦巻いている。

定置網の漁船の船倉
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1~3の前半の場合だと、お皿はどれにしようかとか盛り付けの工夫とか思いめぐらしながら、次の調理に取りかかる準備もシュミレーションしながら、手は目の前の魚にむかっているでしょう。

その頭の中は、外からの観察からは全くわかりません。
ここが、前頭葉機能を理解する時の困難さです。また動物実験で前頭葉機能を測定することのむずかしさでもあります。

私たちは、その人らしく生きていくのです。
その人らしいというのは、その人の前頭葉が決めていきます。それまでの人生で培ってきた自分なりの価値観が、決定には大きくかかわるのは当然のことでしょう(だからその人らしい)。

その場の状況判断をし、見通しを立てて、行動を決定する。行動が開始された後も、前頭葉は常に見守っています。そして継続を促したり、軌道修正を加えたりもします。もちろん中止することも。
ただ、「調理」すれば、認知症予防になるというほど、人間の存在(脳機能)は単純ではありません。
もちろん、居眠っているよりははるかにいいですけど。


救急隊員「話せるから梗塞はないよ」?ー左脳と右脳の働き

2014年05月05日 | 右脳の働き
左脳と右脳の話は興味を持って読んでくださる方が多いようです。

アネモネ 昨日・今日・明日…
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久しぶりに、遠くの友人と電話で話しました。
友「私、慢性硬膜下血腫になったのよ!」

私「そう。でも、もう何ともないでしょ」

友「そうなの。今は普通にやってるけどね」

私「いつ、どんな事が起きたの?」

友「2月ごろだったか、何だヘンになったのよ。なんだかうまく歩けなかったのよね。左の方によるというか…」

「左」に問題が起きたわけですから、脳の障害は「右」側。そして「運動領域(特に下半身)」ということになります。
ですから、次の質問は上半身はどうだったか聞くことになります。

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私「左手はどうだったの?しゃべる時、ろれつが回らないということはなかった?」

友「おかげさまで、手は何ともなかったし、話す方もなんともなかったの。でも何というか…」

ここまでのやり取りで、右脳の頭頂葉(下半身を動かすのは頭頂葉ですから)のあたりに血腫ができたことが推定されます。
そうすると、このブログでも何度か書いてきた「右脳障害」が生じてきたことになります。
右脳障害は、なかなかことばでは説明しにくい障害です。

私「洋服が着にくかったでしょ?袖口と首がわからないというか」

友「そうなの!おかしいなあって思ったのよね」

私「キチンとしまおうと思っても、なんだかうまくいかないのよね」

友「そうそう!」
この辺りになると、なんだか楽しそうなやり取りになってきました。

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私「慢性硬膜下血腫は処置してもらえば、あとはきれいさっぱり。何ともないのだから気にすることはないのよ。そう先生もおっしゃったでしょ。脳外科でいえば一番簡単な処置といわれてるくらいだし」

友「盲腸の次って言われた(笑)結局救急車で病院へ行ったんだけど、その時救急車の人が『話せるから脳梗塞じゃないよ』って言ってくれて安心してたけど」

私「それはちょっと違うのよね~。心配しなくていいのはよかったけど。
今回は左脳はやられなかったから、ことばの障害が出なかっただけよ。」

これから先の説明は電話だけではちょっと難しいかと思って終わりにしました。でもこれほど右脳障害は軽視されているのだなあと改めて思い至りました
脳はそれぞれの場所ごとに機能が決まっていますから、その場所に障害が起きなければその機能はそのまま維持され、何の変化も起こしません。
ことばに障害が起きなかったのは、ことばを司っているところ(普通は左脳)に障害を受けなかったということです。ことばの障害はわかりやすいのですが、右脳障害は、頭に置いておかないと理解できません。(右欄カテゴリーの『右脳の働き』に具体例を挙げています)

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右脳の運動領域を大きく障害されると、左半身にマヒが出ます。下半身を動かす領域だけやられたら、左足にはマヒが起きますが、左手は何ともありません。

けれども、いずれにしろ左脳の運動領域が障害されていない限り、右半身は何ともありません。以前通りに動かすことができます。
このように考えた方がわかりやすいかもしれませんね。

ことばでうまく説明できない、形や色や音楽や感情などの処理を担当している右脳の働きを忘れないようにしてください。




4月の右脳訓練-小旅行その3(続信州の旅)

2014年05月04日 | 私の右脳ライフ

信州の旅の続きをもう少し。
小布施は、私のホームグランド!といいたいところですがいつもは仕事が主体。でもその仕事は認知症予防ですから、深く人とかかわることになりますから、どこも観なくても毎回満たされた思いで帰ります。
今回は友人たちを案内しての訪問でした。
小布施のキャッチフレーズに「スニーカーサイズの町」という言葉がありますが実感しました。歩ける範囲に魅力的なもの・こと・ひとがたくさんです。
今回は岩松院・北斎館(工事中で外だけ)・おぶせミュージアム中島千波館・高井鴻山館を回りました。
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そして鈴花でランチ。
さらっと「鈴花でランチ」と書きましたが、以前伺ってとてもおしゃれな空間と驚いたことがあります。それで調べてみたのです、「鈴花」をネットで(笑)。
あのJR九州の豪華列車ななつ星で名をはせた水戸岡鋭治さんの設計だったのです!ここでのランチも旅の目的の一つでした。
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「小布施町千年樹の里」。在宅介護支援センターや社会福祉協議会が入っている小布施町の保健福祉事業の拠点をこう名付けるところも小布施町のセンスです。
その千年樹の里には親しい人がいっぱいいます!もちろんチラッとでしたけれど会いましたとも。
そして耳寄り情報が。「お隣の高山村は今サクラが、それも一本桜が見事です」
先ほどの中島千波館で声を上げた壁一面の大作『坪井のサクラ』は高山村にある大樹と聞けば、これは行くしかありません。
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事前にいろいろ調べるところにも、旅の楽しみは確かにあるものです。用意周到にすれば、それだけの喜びが返ってくるような気がします。
でも、こうして臨機応変にアレンジするのも、また旅の楽しみですね。

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中塩の枝垂れ桜にも会いに行きました。
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アップも。P1000390

 

 

 

 

 

 

今回の旅では、北信五岳をくっきりと望むことができました。こういうみごとな眺望や花の盛りに出会えることは、準備しようのない旅の醍醐味ですね。文字通り、春爛漫の小布施ハイウエイオアシスから!
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山茱萸
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4月の右脳訓練-小旅行その2(信州の旅)

2014年05月02日 | 私の右脳ライフ

伊豆から信州は、結構遠い・・・
今回は全部が車ですから、休み時間を十分にとっていかなくては、ということで河口湖畔のカフェでお茶をしました。
桜祭りの真っ最中だったことは前回報告しましたね。

河口湖から中央高速道路に乗るときには「一宮、御坂インター」になります。ここは桃源郷ともいわれる桃の大産地。桃の花が、なんと満開。車の中は歓声が絶えませんでした。企画担当うれしい!

グルメさんに合わせて松本のおしゃれなレストランを予約しておきました。お蔵を改装した「ヒカリヤニシ」
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私は松本へは何回も行っていますが、大体が駅周辺のことが多い上に、一人旅がほとんどですからおしゃれなレストランに行くことがありません。ヒカリヤニシは、そう、ネットで調べたのです。
店内に、北アルプスからの湧水があるというのもさすがに山岳都市松本。
ネット検索の折、6人以上にスパークリングワイン1本贈呈という特典がありましたから、これも申しこんでおきました。
改装されたお蔵も、インテリアも、食事も、スタッフもぜんぶ満点。
とみなさんの評価はとてもいいです。企画担当うれしい!!
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食後、初めての人がいましたから松本城へ。P1000369

 

 

 

 

 

壁が黒いので、烏城(からすじょう。うじょうと読めば岡山城のことになります)というそうですが、こじんまりとして魅力的なお城です。P1000370














国宝です。室町時代末期創建ですから当然でしょう。
天守閣への最後の階段はとてもとても急でしたが、脱落者を出すことなく全員登楼できました。高いところからの眺めはアルプスが間近で他の城にはない雄大なものでした。
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実は私は松本を舞台にした『天国のカルテ』三部作を読んでいるときでしたから、特別の感慨もありました。
最近いろんなところで外国からのお客さんが多いことに気づきます。松本城も例外ではなく、天守閣の前ではしゃいでいるグループ、すれ違った時に耳に入った言葉でそれと知れたグループなど沢山いました
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松本を後にして、長野道に入り長野インターで降りてすぐのところにある国民宿舎松代荘へ。
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予約の時、ネット枠がいっぱいだったので電話連絡したのですが、ネットの簡便さにも負けない一対一対応の良さを体験できました。
「2月の大雪でバスが途中で泊まった時に行きました。温泉に感動して友人たちとともに再訪するのです」と、予約するには余分のことをお話ししたおかげで、団体(とっさにつけた団体名が「伊豆友遊クラブ」)扱いにしてもらえました。広間で私たちだけの食事を用意してくれて(飲み物付)1泊2食で10250円。
皆さん、温泉の泉質と宿泊費の安さに驚き、企画担当うれしい!!!


4月の右脳訓練-小旅行その1(ガイドブックと左右脳)

2014年05月02日 | 右脳の働き

ブログの更新が遅れるときは、大体遊び過ぎている時です。

信州に行きたい友人たちと一緒の旅を計画しました。旅をするときには、私が企画、立案します。最近はほとんどネットで情報を集めますから、ガイドブックのお世話になることはなくなりました。

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話は飛びます。
ガイドブックをどんなに読んでも、たとえ写真を見ても、イメージがわかなくて、右脳優位の思考パターンを持っている私にとってはガイドブックは宝の持ち腐れ。
もちろん旅に持参して、ちょこちょこと説明を読んだり、行くべきところの見落としがないかなどチェックすることはあります。
ところが帰宅後目を通すと、単に説明を羅列しているだけでなく、全体像まで含めてとってもよく解説されているのに気づいてびっくりするのがいつものことなのです。

今朝のわが庭の花たち
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なぜなのかちょっと考えてみました。
私が事前にガイドブックから得たい情報として、全体的にどんなところというイメージを求めていることに気づきました。
そのうえで細かい情報がほしいのですが、前提条件が満たされないので後の情報が入っていかない・・・
後の情報は、その地域の自然の美しさだったり、歴史だったり、地理だったり、お店紹介だったり、特産物だったり。みんな読めば理解できることばかりなのですが、情報は上滑りしてしまうのです。

目的地に行けば、全体的なイメージはしっかりわかりますから、帰宅後のガイドブックは宝に昇進。
世界中でよく使われているウエックスラーの知能検査は、左脳の機能を言語性、右脳の機能を動作性という表現で評価します。確かに、行くという動作(体験)が加味されると、理解は格段に変化しますね。
つまり、左脳の得意な分野と、右脳でないとうまく理解できない分野がある!
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ネット情報の方が使い易いのはなぜなのかも考えてみました。
情報量が多いだけでなく、複層的だからではないでしょうか。
クリック一つで次々にほしい情報にたどり着ける。それを全部並べてみることもできる。当然比較も容易です。
例えば小布施町めぐり。ガイドブックだと1~2ページで終わってしまいますが、「小布施 観光」で検索すると小布施町観光情報サイト「いい小布施ドットコム」 公式観光ガイド「ようこそ小布施」などがすぐヒットします。(参考までに検索して開いてみてください)
lこれだけでも十分すぎるほどの情報量ですが、関心あるところを検索していくといくらでも深く情報をゲットできることになります。
ネットは情報の宝庫ですが、玉石混交ですから見分ける目がいります。それは左脳に多く依存することになるでしょうね。
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さてどうやって企画していくかというと、まず参加者の希望を聞きます。
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「観たい」「行動したい」「人との交流」「おいしいものを食べたい」「ゆっくり異空間を楽しみたい」…
友人たちは「お任せします」と言ってくれるんですけどね。私は前の方、夫は後ろの方が旅の目的なのですから、いつもそのせめぎあいで、た・い・へ・ん(笑)
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と殊勝なことを書きましたが、企画者の権利としてだいたい私の興味が優先されます!
今回は、私が2月に行ってびっくりした日本でも有数ではないかという泉質を持つ松代温泉を体験させたい。
友人たちが行きたい小布施町めぐり。
これが主な目的でした。
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まず、ルートを考えます(これはやや右脳優位かな)。それから宿泊地。見るべきところ。そうそう今回はグルメがいましたのでランチの場所も検討しました。もちろん費用も(完璧左脳)。
1日目:松本に寄って松代温泉泊
2日目:小布施町めぐり斑尾泊

ネット検索すると、富士山の東側を通って中央高速道路を指示されます。
ネットの言うことばかり聞くわけではありません。2月に伊豆中央道が開通しましたのでもちろん試走しなくては!西富士を通って西湖、河口湖を巡リ、湖畔のカフェで一休み。
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これが思わぬヒットになりました。桜祭りのメイン会場の真ん前だったのです。
単なる調査不足ですが、こういう予想外のことに遭遇するのが、実は旅の醍醐味!

伊豆はすっかり桜が終わっていましたが、標高と緯度でこんなにも違うのかと目を見張りました。
朝霧高原で満開、松本では花筏、小布施は今日から散りはじめ、北信はまだつぼみという、多様な桜狩を楽しむことができました。詳報は次回に。








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