これは、質問されてきたMMSのA4版白紙です。
日付は正確に書かれています。ということはMMSは24点以上が想定されますねから「文を書く」も「図形の模写」も正答のはずです。
「文を書く」:あたまのたいフう(たそう?)しているとこです
マニュアルA71Pを参照してください。一文で一字の誤りは正答ですから、これは正答になります。が、奇妙です。
こういう場合は「一字ずつ押さえながら読んでください」と指示をして、被検査者が間違いに気づけば、ケアレスミスだったということになって、テスターが感じた「奇妙さ」を消すことができます。
「図形の模写」:これはどう見ても、0点です。
こういう場合は「MMSの低下順がおかしい」ということになります。
専門機関に受診していただくのですよ。右脳の機能低下が起きていますがその原因や治療は専門のドクターが決められることです。
私たちの役割は、脳の老化が加速されたタイプの認知症だけを対象に生活改善指導をすることです。
質問された方と一緒に、正答にできないとき(つまり0点のとき)はどんな時なのかをまとめてみました。今日のお話はそのまとめです。
皆さんが脳機能検査を実施していて、正答にできないときどう感じますか?
検査に習熟するまでは「びっくりする」のが普通でしょう。
そして、「どうにか正答になるようにしてあげられないものか」と思うはずです。その時にはこう思うことがほとんどです。
「私の言い方が悪かったから、できなかったに違いない」・・・
そうです「できない」と判定するとき、その理由の筆頭にくるものは
①テスターのやり方が悪い。
声が小さい。早口。教示通りに言わなかった。教示通りでもわかりやすくいうように配慮しなかった。などが考えられます。
でもこれはちょっと気をつければきちんとテスト実施できることなのです!
②被検査者が集中ができていないため、脳の能力としてはできるのにできなかった。上の空でテスターの教示を聞いた。これは、被検査者の前頭葉機能低下ということになります。
こういう場合は、再度その項目の検査を行うことで正答する能力があることが確認されます。具体的なやり方はマニュアルAを読んでください。
③脳機能に問題があって、やろうと思ってもできない。
(大ボケの場合は、脳機能低下があってできないが、やろうと思っていない)
④脳機能には問題がないのに、やりたくないからできない。あるいはまじめに取り組まないために結果が正答にならない。
稀には、このようにメンタルな問題がかかわっている場合もあります。
⑤テストに拒否的。例えば、ピック病の方などが怒ってしまってテストにならないこともあります。それでも、できないのは難しい項目に対してであって、できる項目は怒りながらでも正答を答えます。
「幼稚園みたいなことを聞きやがって!鉛筆だろ、鉛筆にきまっとる」こんな感じです。
とはいえ、私はこういう方には二人しか当たったことはありません。
五つ並べましたが、②がほとんどで、たまに③が見つかるのです。
皆さんが体験なさったテスト結果ではどうだったでしょうか?
③がないかどうかを調べることがMMSの目的の一つです。(もう一つの目的は生活のレベルを知ることです)
今日はまじめなお話で、左脳、ご苦労さまでした