アルツハイマー型認知症の治療薬レカネマブは2023年7月にアメリカ、追随したように2023年9月には日本がその使用を承認しました。2024年1月に中国がレカネマブを承認したというニュースには驚かされました。そして日本でも治験の希望者が増えているという情報が目に付くようになりました。
私たちは当初からレカネマブに対して大きな疑問を持っていますから、ここでもう一度疑問点を整理して提示しておきたいと思います。
まず、いままでにこのテーマでお話ししている記事をあげておきますから興味ある方はお読みください。(4/30金時草に来たアサギマダラ)
認知症治療薬レカネマブの今後を考える(2023.6.1)
質問が出た時のために、最近話題の認知症治療薬「レカネマブ」と「若年性認知症」に関しては、回答用に備忘録としてのスライドを作りました。自験例でない話の時は、慎重の上には慎重を期して情報を集めます。自験例と比較して、説明ができ納得できるかどうか。まずは自分でチェックするのです。「レカネマブ」に関して現時点での問題点が理解できたと思いましたから、ここにあげておきます。ちょっと専門的ですが質問が出た時点で、状況に応じて口頭で解説するつもりです。
レカネマブの問題点(18か月の投与実験の報告)
目的:治すではなく進行抑制。従来の開発薬より早期にAβ(アミロイドベータ)を除去できるように働きかける。
目的:治すではなく進行抑制。従来の開発薬より早期にAβ(アミロイドベータ)を除去できるように働きかける。
従来薬はAβを除去するが、レカネマブはAβ形成前の原材料を除去する。
対象:MCIか早期のアルツハイマー型認知症が対象でMSE22~30。
対象:MCIか早期のアルツハイマー型認知症が対象でMSE22~30。
早期といわれているが、二段階方式で言えば小ボケから中ボケ前半。発症してから3〜4年というところ。
副作用:脳出血17.3%。脳浮腫14%。
脳出血は従来薬の副作用32.5%よりは改善したが、それでも高すぎる。
コスト:
コスト:
・年間薬価385万円(アメリカの薬価)。
日本では290万円で設定されたという報道だったが昨今の円安でどうなっていくのか。
・月一度1時間かかる点滴のために通院。
・月一度1時間かかる点滴のために通院。
以下、埼玉県の情報による。月に二度通院して点滴。8回目以降は投与後30分で帰宅可能になるが、それまでは病院待機が必要。治験を受ける人の負担も大きいが、医療従事者の負担も増す。
・年二度MRIによるチェックが必要。
・年二度MRIによるチェックが必要。
治験決定のために第一回のMRI検査。その後6か月ごとに実施。
・治験前にAβの沈着がない証明が必要。PET(高価)か腰椎穿刺(高侵襲)。
・副作用を防ぐためにアポリポ蛋白4の遺伝子チェック(高価)が必要。
自己負担額ではなく検査をはじめ治療に要する費用を考慮しなくてはいけない。例えばMRIによる検査だけでも20,000円から50,000円。個人負担は1割もしくは3割に過ぎないけれども。
治験は18か月間だが、早期、若年から投与を開始する必要がある薬なので、いつまで投与するかは大きな議論になるだろう
アメリカでは個人保険が主なので保険会社の拒否があるが、日本は皆保険…
27%の進行抑制:CDRで偽薬群1.66低下。投与群1.21低下。0.45/1.66×100≒27%の進行抑制ができたとされる。
この数値をもとに3割抑制といわれるが投与群でも悪化している。
今回の統計処理は個人内での変化ではなく集団の平均化。
CDRは、本人の脳機能検査ではなく観察による評価なのでバイヤスが否定できない。
CDRは、1~2の変化で初めて臨床的意義があるとされる。そもそも最低評価の0.5に到達していないということは症状の段階には変動がなかったということになる。(参考までにCDRの評価で0.45が意味する変化を考えてください)
Aβ原因仮説に疑問:
従来の創薬はAβの減少には成功しているが、認知機能の改善が見られない。これまでにかかった開発費用は数十兆円と言われている。Aβの沈着が本当の原因なのか、どうか?
元来2002年に提唱された仮説にすぎないのに、Aβ原因が前提となっていることにエイジンーlグライフ研究所は大きな問題点を感じている。
元来2002年に提唱された仮説にすぎないのに、Aβ原因が前提となっていることにエイジンーlグライフ研究所は大きな問題点を感じている。
先発の治療薬アデュカヌマブの経過は以下に書きました。
by 高槻絹子