東北アルパインスキー日誌 ブログ

東北南部の山での山スキー、山歩き、山釣りなどと共に、田舎暮らしなどの話を交えながら綴っています。

草木塔

2007年07月16日 | 林業


「草木塔」?。この名前をご存知の方はどの位いるでしょうか?実は自分も名前は聞いた事はあったが、その歴史的な背景とそこにこめられた意味を知ったのは最近の事だった。

草木塔は、江戸中期の安永年間、上杉鷹山公の時代に建立されはじめた草木の魂を供養するための石碑です。 草木にも人間と同じように霊魂が宿り、その草木を伐り倒し恩恵を得ることに対する感謝と供養の心が込められています。全国的で100基に満たないとされる草木塔のうち、60基余りが山形県の米沢市を中心とした置賜地方で確認されています。素朴さと優しさを感じさせるその石碑は、草木への感謝の思いをこめ、静かに風景な中にあります。この五十八基のうち最古のものは、米沢市塩地平にある草木供養塔で一七八〇年(安永九年)に建立されました。

このきわめてユニークな石碑の由来は、草木の生命を人々の生活に取り入れるために採取したり、伐採したりした草木の霊を慰めようという思想から生まれたものと考えられています。今、世界中でフロンガスによるオゾン層の破壊や、二酸化炭素増大の一因とされる木の伐採による緑の減少など、これらの環境問題が大きくクロ-ズアップされていますが、先人の残した教訓はいまに改めて認識すべきものでしょう。

【ある草木塔に寄せた梅原猛氏の讃】

「草木塔」というものが山形県にたくさんあることを聞いて、私は一種の感動を禁じえなかった。それは、少なくとも私の住んでいる近畿地方には存在しないが、まさにそれは日本仏教の《山川草木悉皆成仏》という思想を具現化したものである。私は、日本に仏教が入って《山川草木悉皆成仏》というような思想ができたのは、もともと日本には草や木に生きた神を見る思想があったからだと思う。
 山形にこのような草木塔が多いのは、そこには多分に一木一草の中に神性を見る土着思想が強く残っていたからであろう。
 今ここに新しい現代の草木塔が建立されるという、それは目立たないけれど、甚だ時世にそった快挙であると思う。今、世界の人はもう一度人間の生命がいかに草木の生命とつながっていて、草木とのつながりなくして人間の生命がありえないことを深く認識しなければならない。この時にあたって、新しい草木塔の建立は、時代に一つの警鐘を与えるものであとうと思う。」 梅原猛 国際日本文化研究センター所長 哲学者

○ 梅原猛/1925年、仙台市出身。哲学者、文化勲章受章。ものつくり大学初代総長等を歴任。著書:「梅原猛の授業 仏教」2002年、「水底の歌 柿本人麿論」1973年、など多数。

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