東北アルパインスキー日誌 ブログ

東北南部の山での山スキー、山歩き、山釣りなどと共に、田舎暮らしなどの話を交えながら綴っています。

割り箸受難の時

2007年07月25日 | 林業

最近、割り箸の問題がチラホラ取りあげられている様ですが、何となく釈然としない思いを感じています。

日本人で割り箸のお世話になっていない人は殆どいないと思いますが、何時の時代に登場したのか知りませんが、このアイテムは日本人独自の創意工夫、世界にも類を見ない素晴らしい発明だと思っています。いや、大げさに言えば日本を象徴する文化的な遺産とも思えます。なぜなら箸を使う中国、韓国、ベトナムなどでも、箸といえばあの少しごつい塗り箸が普通で、使ったらポイ捨てをいう事はまず有りえない。

お風呂好きの日本人で想像がつく様に、この使い捨ての箸は清潔で利便性抜群。日本では時代の変遷を経て今なお重要な役割を果たしている。外食産業では必須のアイテムで有る事はもちろん、家庭内でさえ消費される量も多く、日本人にとってはなくてはならない必需品。

しかし、最近この割り箸が非難の対象となり、環境保護・地球温暖化の意識向上と共に非難される立場になって来た。しかし、居酒屋で「マイ箸」を持つのがスマートと見えるが、本当はただの「新しい物好き」または「環境に優しい症候群」では有りませんか?つまり地球資源保護・環境保全という永久不滅のテーマの基、いかにもマスコミ受けする様なキャンペーンが目立って来た気がする。

現在割り箸は日本では中国からの輸入品が90%を占め、最近は中国政府からも輸出の制限を受け、@100ショップなどでは本数を半分にして対応している。いかにも森林の少ない中国からの輸入はまるで環境破壊そのものと思えるが、しかし中国製品の箸の源材料は殆どロシア・モンゴルに頼っている。つまり中国は格安な加工所を提供しているに過ぎない。しかし残念ながら日本では間伐材の伐採・運搬・製材・加工となるとコスト高となり、人件費が10分の1以下の中国産とまともに勝負できない。

もともと日本の割り箸は杉丸太を製材した時の端材を使った物で、「もったいない精神」を受け継いだ、日本人特有の文化的副産物だった。その為、建築現場で使用されている様な型枠材・集製材・合板の材料などの膨大な資源の消費とは異なり、素材生産の総量からするとほんの微量でしかない。

しかしなぜ国産の割り箸が衰退したかと言うと、中国でシベリヤ産の丸太をかつら剥きする低コストの生産方式と異なり、手間のかかる端材の非効率な生産方式のコスト高によるところが多い。零細しかも高齢者が支えてきた生産者は激減し、国内の割り箸業界は殆ど壊滅状態と言われる。

最近有名な某居酒屋チェーンの社長さんがTVに登場し、一切の割り箸を使わず塗り箸に転換すると言っていた。しかしいかにも安易なマスコミ受けを狙った感が有り、この塗り箸を使うならばより多くの水道水とガス・石油を使い、必ずしも大会社が大好きな「環境に優しい」という心地よいフレーズとはかけ離れるのでは?こういう意地悪も言ってみたい気分にもなる。

今は違法伐採が横行しているロシア産丸太が問題視され、出所を明示した森林認証制度が関心を集めている。また、シベリヤで切り出されカラマツなどは日本と異なり、凍土の上に載っているだけのため、伐採されると3000年位は再生しないと言われている。それに比べて湿潤かつ温暖な日本の植生では、仮に樹木を伐採しても20年くらいで天然更新が進み、50年も経てば立派な森林に再生する。まあ、土砂が流出する様な状態を防いでのはなしだが・・・。

つまり言いたい事は、杉・檜などを使った割り箸をもっと活用してもらいたいと言う事です。20年ほどの若い間伐材ではきれいに割れない為不適だが、25~50年くらいの間伐材を活用し、しかも低コストな割り箸があっても良い。最近日本では無駄なく心材までかつら剥き出来る機械も開発され、殆ど無駄なく活用できる工夫がなされているらしい。名前は「間伐材活用」ではなく、れっきとした「国産材使用」と明記してもらいたい。

あの有名な居酒屋チェーンの社長さん、どうせやるなら会社で零細割り箸生産者に機械をプレゼントし、間伐材で生産した割り箸を使ったらどうですか?居酒屋チェーン店はもちろん、老人介護施設などでも需要が有り、割り箸の袋には環境問題に真剣に取り組んでいる旨を書けば良いのです。

それとあの逆境の中国製品と言えば、あの白過ぎる割り箸は一抹の不安が付きまといます。

※ 雑用に追われ、未だに山は遠ざかる一方です・・・。



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