新・本と映像の森 201 ショパン『練習曲 作品10 第3番 ホ長調 別れの曲』1832年出版
Etude Op.10 no.3。演奏時間約4分強。
SF小説・平井和正「幻魔大戦 ⑭ 幻魔との接触」(角川文庫、1981年)で主人公の1人・東(あずま)丈(じょー)が「1968年1月27日」(p41)箱根合宿の会場となった「天井の高い、広々としたホテル・ロビー」(p178)のピアノで、この曲を弾く。
同席していた高校生秘書の郁江は「曲名がいささか気にならないでもなかった。ショパンの“別れの曲”だった。」(p208)
「なぜ“別れの曲”なのかと尋きたっかが、郁江は黙っていた。」(p211)
その晩、丈は消えてしまう。(p264)
☆
いろんな映画や番組でも、この曲はたくさん使われている。
つい最近、共産党の志位和夫委員長が同党のサポーターのつどいで“別れの曲”をピアノ演奏した。たぶん短縮版。
じょうずとは言えないが、いい演奏だった。しかし、なぜ“別れの曲”なのか?
この曲は、むしろ親しい人との悲しい別れがテーマであって、志位さんと安部さんのような犬猿の仲の別れではないんですよね。