雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

新・本と映像の森 203 松岡正剛『日本流』ちくま学芸文庫、筑摩書房、2009年  

2018年11月07日 14時14分10秒 | 本と映像の森


新・本と映像の森 203 松岡正剛『日本流』ちくま学芸文庫、筑摩書房、2009年
 
 374ページ、定価本体1300円、原書朝日新聞社2000年

 日本文化論のいい本だと思います。まず目次を掲げておきます。

序章  日本が思う 歌を忘れたカナリヤ
 第一章 日本を語る 多様で一途な国
 第二章 日本も動く 職人とネットワーカー
 第三章 日本で装う 仕組と趣向がはずむ
 第四章 日本へ移す 見立てとアナロジー
 第五章 日本に祭る おもかげの国・うつろいの国
 第六章 日本と遊ぶ わび・さび・あはぜ
 第七章 日本は歌う 間と型から流れてくる
 図版出典・所蔵先一覧
 人名索引

 それから詳細目次をて面白いと思ったら、直接読んでください。ボクは時間がかかるけど分析的に研究的に読むに値する本だと思います。

序章  日本が思う 歌を忘れたカナリヤ
1 幼な心、2 廃園、3 洋風小唄、4 蝉の声
 第一章 日本を語る 多様で一途な国
1 3人の目、2 花火とランドセル、3 GLAYとTUBE、
2 3・4・5・7、5 万葉仮名、6 乱世、7 若者の冒険、8 紺と紅と
9 真名と仮名
 第二章 日本も動く 職人とネットワーカー
1 案配、2 ツメとツクリ、3 目当て、4 東の金・西の銀
5 コードとモード、6 中世ノマド、7 公界と今様、8 知財と同朋衆
 第三章 日本で装う 仕組と趣向がはずむ
1 悉皆屋、2 納戸色・纏色、3 キモノ・マインド、4 2つのJ
5 軸組と造作、6 超部分、7 当と分
 第四章 日本へ移す 見立てとアナロジー
  1 近江八景、2 歌枕、3 東洋のワイキキ、4 庭の千草、5 意味と弾性
  6 擬似同型、7 寄物陳思、8 3つの庭、9 くひちがひ、10 俗に入る 
 第五章 日本に祭る おもかげの国・うつろいの国
1 懐徳堂、2 夢の代、3 ハシとキワ、4 俤、5 事足りぬ美、6 仮の死
2 モドキとフリ、8 依代と物実、9 負の部分、10 うつろひ
11 祭りの日
 第六章 日本と遊ぶ わび・さび・あはぜ
1 逸民、2 PとP`、3 松茸の凋落、4 出遊、5 スサビ伝説
6 浦の苫屋、7 間に合わせ、8 花下遊楽
 第七章 日本は歌う 間と型から流れてくる
  1 擬木、2 HIDEN、3 梅の遅速、4 不立文字、5 せぬ隙
  6 家と門、7 現場記録、8 揃・尽・並、9 新遊芸
  10 コロッケ・パン、11 傷つきやすい国、12 教会の電球 


 いろいろ面白い問題がありますが、たとえば「見立て みたて」について。

 「見立てとはどうものなのか。…基本的な原理は比喩にあります。
 日本中に津軽冨士とか伯耆冨士とかのたくさんの富士山にまつわるネーミングがあります。あれがわかりやすい見立てです。地元の山を富士山に見立てている。滋賀県でも三上山を近江冨士と呼んでいます。
 このばあいは、その山がどこか富士山に似ているというと、たいていは紡錘形(コニーデ)だということが見立てのモティーフになっている。この見立てはもっと進んでいくと、江戸の町のそこかしこに富士講による小さな富士山の模型ができて、そこへ行きさえすれば「富士山に登ったつもり」ということになったのですが、そういう「つもりメタファー」にもなっていくし、それが戦後の日本ではペンキ富士山として銭湯にまで出張していくことにもなります。北斎の富嶽三十六景だって、実はそういうものです。
 日本中に銀座があります…」
  (p155~156)


 もう1つ「結ぶ むすぶ」とは何か。

 「日本は何だって結ぶ。結びすぎるくらいに結びます。
 だいたい相撲の最後が「結びの一番」ですし、小結があれば、大きな横綱を締める結びもある。さらには結納もムスビですし、結婚もムスビです。息子や娘という呼び方も、もともとはムス・コ(結びによって生まれた彦)であり、ムス・メ(結びによって生まれた姫)でした。
 こうしたムスビは、日本に来た海外人を驚かせた「髷を結う」というところにも象徴されました。意外にも「オムスビ」も重要なムスビです。」
 (p238)

 まだまだわからないことが多いので、これくらいにしておきます。「うつ」「うつわ」「うつつ」と銅鐸とか面白い話は多いのですが、もっと深めないと。

 なお「今現在」、その本の在庫があるかどうか、古本で出ているかどうかもネットでわかりますから便利な時代です。