雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

新・本と映像の森 210 松谷みよ子『アカネちゃんと涙の海』講談社文庫、2012年

2018年11月18日 12時01分19秒 | 本と映像の森


新・本と映像の森 210 松谷みよ子『アカネちゃんと涙の海』講談社文庫、2012年

 原書1992年、289ページ、定価本体581円。

 松谷みよ子さんのライフワークの1つだと思います。

 松谷さんが196年に「三つになったモモ」を書いてから、モモちゃんとアカネちゃんのシリーズが「それにしても、ほんとにみんな大きくなりました。モモちゃんも、アカネちゃんも、ほんとにみんな大きくなりました。だから、このお話も、おしまいです。」と本としては完結したのは「30年かかって」のことでした。

 この文庫本には『アカネちゃんとお客さんのパパ』と『アカネちゃんの涙の海』が入っています。

 妹の「ちいさいアカネちゃんは、とってもとっても大きくなって、もう二歳と七ヶ月になりました。ママが、
  「えーと、おねえちゃんは、どこにいるのかな?」
 なんて、モモちゃんをさがしていると、アカネちゃんが、とたとた走ってきて、
「おねえちゃん、ここにいるよ」
って、自分の顔を指さすんです。」

 幼児の世界は、ほんとにおもしろいです。『アカネちゃんとお客さんのパパ』の第1話「アカネちゃんの腕時計」ではオモチャの腕時計をもらったアカネちゃんが「いまはおひるねのじかんじゃないもん、おやつだもん」と保育園を抜け出します。

 野原に行くと「ヒメジョンのあいだの細道を、きらきら光る銀色のおさじさんが、一列に並んで、よちよち、よちよちやってくるのです。

   おやつだ おやつだ
   おやつだ おやつだ
   プリン プリン
   プリンのおやつ
   ぼくは おさじさん
   おてつだいします
   お口のトンネル
   ああんとあけて
   ぼくは おさじの
   きしゃぽっぽ
   おいしいものを
   はこびます

 ネコのプーやクツシタのタッタちゃんやタアタちゃん。パパおおおかみ。ぬいぐるみのカバコーフ=モシモーノ。

 学校の幽霊や死に神や「アカネちゃんの涙の海」を泳ぐ赤ちゃんクジラやら。

 アカネちゃんが1才半のとき、ママはパパと離婚し、パパのやっていた劇団「太郎座」から退団します。離婚やパパの死、核実験などを書いた幼年童話はたぶん多くないでしょうう。

 このなかで歌われるうたがとても好きです。

ののさま どちら
いばらのかげで
ねんねをだいて
花つんでござれ
花つんでござれ

 残念ながら、ボクはまだ前作『ちいさいモモちゃん』『モモちゃんとアカネちゃん』を読んでいません。

 < これまで取りあげた松谷みよ子さんの本 >

 本と映像の森 307 松谷みよ子さん『いない いない ばあ』童心社、1967年
2014年07月13日 18時59分27秒 | 本と映像の森

新・本と映像の森 120 松谷みよ子『死の国からのバトン ー 直樹とゆう子の物語ー』偕成社、1976年 2018年03月10日 19時08分53秒