新・本と映像の森 212 中原英臣・佐川峻『ウイルス進化論 ー ダーウィン進化論を越えて ー』ハヤカワ文庫、早川書房、1996年
251ページ、定価560円、原書1989年。
問題:ウイルスは生物か無生物か?ウイルスは害虫か?
答え:ウイルスは生物の進化のための1器官である。
これは現在の正当生物学、ダーウィン生物学を真っ向から否定するものだが、ボクはもしかしたらこちらのほうが正しい。
つまり進化の起きる大変動の時期は、通常とは違うメカニズムが働く。生物が変わるのに外部的要因だけを見てしまいがちだが、内部的要因も正確に見なくてはいけない。それが、この「ウイルス進化論」だ。
普通の長く続く平穏な時代には数千万年も生物は量的に変わっても、質的には変わらない。「進化」は「不連続の時代」の現象なのだ。ダーウィン進化論の「中立的な遺伝子の突然変異」では「不連続の時代」の急速な進化の説明がつかない。
また、昆虫などの工業地帯での「変化」「黒化」や最近の耐性菌化は遺伝子の変化ではなく、その発現形式の変化なのだから進化とは関係ない。不可逆的な進化ではなく、可逆的な適応現象である(p228~231)。
プラスミド、ベクターなど細かい議論は、まだよくわからないので勉強する。