新・本と映像の森 214 ブレヒト『ブレヒト詩集』飯塚書店、1971年
<双書 世界現代詩集 2>、B6版、190ページ、定価480円
20代のころは、詩が好きで詩集をよく読んだ。これはそれらの詩人のひとり。ドイツの現代劇作家だが詩もいい。
本を見ると、この本には訳されていない詩をボクの手書きで書きこんである。題名だけすこし紹介する。
カール・リープクネヒトのための墓碑銘
カール広場のポプラ
息子の誕生にあたってー蘇東坡による
「母」より劇中詩
捜索
詩人たちの移住
動揺する者に
解決
本文では、20年代のワイマール時代、30年代のナチスの弾圧による亡命時代、そして東ドイツ時代と分かれている。
いま読み返すと、「Ⅰ」の「快適な生活について」「マリー・Aの思い出」「水死したむすめについて」「商人のうた」などがいちばんいい。
Ⅱの「ぼくたちだ党とは」「学習をたたえる」「コミュニズムをたたえる」などの詩は、いつ書かれたのだろうか。ボクの後知恵だが、これらは1920年代に書かれてもいい詩だと思う。いや、もっと前か。
いま感じることは「Ⅰ」と「Ⅱ」は2つに分裂していて関連がない。もちろん現実の「Ⅰ」と「Ⅱ」は分裂してはいないと思う。これは主体の側の悲劇的な分裂だと思う。
そういう意味では現代のシェークスピアはまだ出ていない。いやそうではなくてボクが見つけられていない。現代の小林多喜二や現代の宮本百合子も。
あの頃読んで、ボクが心に残った詩の断片(p71)
「正しい道でも、きみひとりでは行くな。
ひとり離れて行く道は
いちばん正しくない道だ。
………
とどまって、ぼくらとともに思考せよ!
ぼくらからわかれてひとりで行くな!」
読み直して「Ⅲ」の「ドイチェ・マルジナリエン 1938」「東部戦線のドイツ兵たちに」がいい。
いま2018年にブレヒトの詩集が手に入るだろうか?Amazonで検索したら、新刊本は品切れでも中古ではありそうです。