雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

雨宮日記 11月14日(水) 則子さま誕生日

2018年11月15日 10時10分25秒 | 雨宮日誌


雨宮日記 11月14日(水) 則子さま誕生日

 則子さんの70才の誕生日です。古稀です。電子辞書を見たら「杜甫 人生七十古来稀なり」から来ているそうです。

 杜甫は8世紀・1300年前の中国・唐の詩人ですから70まで生きる人はあまりいなかったのではないでしょうか。杜甫自身も58才で亡くなっています。

 則子さんがボクに「あなたはあと何年くらい生きる?」と聞くので「まあ、あと10年生きればやりたいことやれるかなあ」と答えました。

 あとで「則子さんの死ぬ寸前まで生きたいな」という答えも願望としてはありかなあと。

 


新・本と映像の森 208 左巻健男(さまきたけお)『水はなんにも知らないよ』<ディスカヴァー携書>、2007年

2018年11月15日 09時53分51秒 | 本と映像の森

新・本と映像の森 208 左巻健男(さまきたけお)『水はなんにも知らないよ』<ディスカヴァー携書>、2007年

 ディスカヴァー・トゥエンティワン、新書版、182ページ、定価本体1000円。

 科学教育の立場にたつ左巻さんが水に関するニセ科学・エセ科学・反科学を検証します。

 ・「水にありがうを言うときれいな結晶ができる」
 ・「波動測定器MRA」
 ・「クラスターの小さい水は健康に良い」
 ・「波動水」
 ・「マイナスイオン」が人間の健康に影響する
 ・「抗酸化性水」
 ・「磁石で水が活性化する」
 ・「πウォーター」
 ・「活水器」・・……以下は略す。

 前半3章が「怪しい水ビジネス」批判。逐一、タネ本と批判をたどっていくと抱腹絶倒、落語より面白いのですが、いまは時間がないので割愛。各自それぞれで辿ってみてください。

 水の基礎知識も、「3章 私たちのからだと水」「4章 そもそもおいしい水とはどんな水」「5章 水道水とミネラル・ウォーター」で、すこしは得られると思う。

 それにしても、あーあ。他人を信じてしまう人間の知性の崇高さと愚劣さは、どっちも際限がないのですね。どっちか一方だけってわけにはいかないのですね。

 そりゃそうだと思う。世の中に「ぜったい間違わない人」がいたら恐ろしく怖い。ぼくはそういう人には半径100m以内には近寄らないようにしたいと思います。

 


新・本と映像の森 207 本多勝一『検証 カンボジア大虐殺』朝日文庫、1989年

2018年11月14日 18時46分44秒 | 雨宮日誌


新・本と映像の森 207 本多勝一『検証 カンボジア大虐殺』朝日文庫、1989年

 462ページ、定価500円。

 この本を久しぶりにざっと読んだ。前にも精細に読んだわけではない。ふつうのボクの読み方をすると“悪魔の行状”に気分が悪くなるから。

 でもヒトラーやスターリンや毛沢東や「現代の悪魔たち」のやり口を詳細にけんきゅうしないとという思いが膨らんだ。

 著者は朝日新聞記者であって、本多さんの方法はジャーナリストの通常の方法である。つまり、1つの取材場所のできるだけ、たくさんの家族を取材して「定量分析」する。

 本多さんはボルポト政権崩壊後、ベトナム側とカンボジア側から取材して、この大虐殺をリアルに浮かび上がらせている。

 当時の日本では「虐殺というのはベトナムのカンボジア侵略をごまかすためのウソ」説があったことを思いだす。

 実態・原因・前史・後史についていろいろ判ってきたこともあるが、別途「」でいずれ触れたい。

 目次は次のとおり。
 
 1 異常事態の最初の報道【1975~1978】
 2 カンボジア国境最前線(1978年)
 3 カンボジア脱出難民たちの証言
 4 ハチエンの虐殺
 5 プノンペン ー 1980年
 6 カンダル省
 7 スワイリエン省
 8 コンポンスプー省
 9 コンポンチャム省

10 タイ側の国境にて
 座談・虐殺はなぜ起きたのか

 ところでカンボジア大虐殺では、いったい何人殺されたのでしょうか。

「カンボジア大虐殺」でGoogle検索すると、上から3番目のサイトで「こうしてたった4年の間に、たった人口800万人の国で、200~300万人が殺されました。」とありました。まあ妥当な数字でしょう。

 では「なぜ?」、それを多面的に考えていきたいと思います。座談会で矢野京大教授が「不幸なことに、マルキシズムの中で、一番好ましくない要素と、カンボジアが伝統的にもってきた土着文化の中の一番好ましくない要素とが共鳴してしまった。……古代専制支配的なクメール帝国以来の特性、具体的な例をいえばクメール帝国の刑法のパターンが掘り起こされてしまった。」というのがボクの共感するところです。

 この本の内容は再度詳細にとりあげる予定。

 


新・本と映像の森 206 川端裕人『川の名前』<ハヤカワ文庫>、早川書房、2006年

2018年11月13日 14時16分30秒 | 本と映像の森

 

 新・本と映像の森 206 川端裕人『川の名前』<ハヤカワ文庫>、早川書房、2006年

 487ページ、定価本体800円、原書2004年早川書房刊行。

 小学生の男の子たちを主人公にした小説なのだが大人でも十分読めるというより、大人の文学だと思う。主題は「人間と自然」、それを「生きもの」「川」「少年の成長」で描き出す。

 語り手の菊野脩(しゅう)は小学5年生。夏休みを前にして自由研究のプランを考えている。父は写真家・冒険家で滅多に家にいない。母はいないが小説では描かれない。

 登場順に主人公たちを紹介してこの物語の面白さを伝えたい。

 菊野脩 あだな「キク」。自宅はマンション7階。
 鬼澤(おにざわ)先生 担任。あだな「デビル」
 手嶋 優等生。背が高い。
 喇叭爺(らっぱじい) 喇叭を吹く謎のじいさん
ゴム丸 亀丸拓也。家は「五番街」のケーキ屋「パリジェンヌ」。
 もえちゃん ゴム丸の妹。三年生
 河童(かっぱ) 河邑宏童(かわむらひろお)。自宅はセキレイ橋の近く
 海野 クラスの男子。
 委員長 クラスの美少女。
 恵美さん 父の妹。看護士。脩と同居する。
 鈴木さん 多摩川からいちばん近い水族館の獣医。

 物語が展開するフィールドは、主人公達と同じくらい重要だ。いやフィールドも主人公で成長していくのだ。

 桜川北小学校 普通の公立小学校
 親水公園 カブトムシやノコギリクワガタガ普通に見られるのは区内でここだけ
 桜川 親水公園の中を流れる川。多摩川の支流の野川の支流。
 セキレイ橋 親水公園からすぐ下流の小さい橋
 鳳凰池 桜川から200mほどの小川の暗渠でつながる池。
 
 では、ちょっとだけ物語の始まりを……。

 脩は親水公園の草むらのなかに、何か生きものを見る。それは、まるで脩が描いているマンガの主人公ミクロラプトールのような…。

 親水公園を調べ始めた脩は、謎の足跡と羽毛を発見して、謎の生きものの存在に確信をもち、ゴム丸や河童と3人で探し始める。

 同じころ脩は、喇叭爺と出会い会話する。

 「カワガキが少ない。夏だというのに少ない。わたしはまた校庭へ行くのだ」
 「もう夏休みだから、だれも来てませんよ」
 「そうか、ならば、おぬしに会うために、ここに来たことになるな。おぬしは、カワガキになるのではないか。川の名前を持ったのではないか」
 「カワガキってなんですか」
 「決まっておる。川で遊ぶ餓鬼どものことだ。川とは特別なものだ。カワガキも特別なものだ。おぬしにもそれがわかったのだろう。遠く旅して来た者ほど、足もとを見よ.足もとにはどこでも川が流れている。最も近しい流れを知ってこそ、おぬしの旅も意味を持つだろう。」(p140~141)

 生物ははたして小型恐竜?それとも……

   ☆

 むかし「水道」「水」「灰木川」と関わったことがあり、いま浜松で「水道民営化」問題でがんばっている人たちのことを聴くと、懐かしい記憶があふれ出す。

 「水」「川」をまもるため、可能なかぎりボクも支援しようと思う。

 


雨宮日記 11月12日(月) 9/23講演のビデオ完成

2018年11月12日 23時01分54秒 | 雨宮日誌


雨宮日記 11月12日(月) 9/23講演のビデオ完成

 「20180923 久保山愛吉氏追悼焼津行動 9・23焼津のつどい」の⑨~⑪、「記念講演  北東アジア情勢の進展と核兵器廃絶運動 梶原 渉さん(日本原水協「原水協通信」編集長)」の④~⑥、ビデオ作品3本完成。

 まだ9/23は⑳ぐらいまで、いくかな。今年いっぱいかかるかも。

 


雨宮家の物 38 2階の真ん中の部屋の時計

2018年11月11日 19時57分59秒 | 雨宮家の物


雨宮家の物 38 2階の真ん中の部屋の時計

 「雨宮家の物」は久しぶりです。以前書いた最後は「則子さんが新しく買ったミシン 2015年10月21日 21時27分56秒 」でした。

 この壁掛け時計は、以前は同じ部屋の真逆の側にありました。西の方向、つまりボクの机で、マヒした右半身の上の方に長いあいだ、かかっていました。

 見づらいので、則子さんにお願いして、入口の東側の方、ボクが見やすい位置に掛け替えてもらいました。ありがとう。

 


雨宮日記 11月10日(土) 9/23講演のビデオ作成

2018年11月11日 19時45分11秒 | 雨宮日誌


雨宮日記 11月10日(土) 9/23講演のビデオ作成

 ビデオ作品2本完成。

 1本目「20180923 久保山愛吉氏追悼焼津行動 ⑦ 9・23焼津のつどい 記念講演 ② 北東アジア情勢の進展と核兵器廃絶運動 梶原 渉さん(日本原水協「原水協通信」編集長)」、8分04秒。

 2本目「20180923 久保山愛吉氏追悼焼津行動 ⑧ 9・23焼津のつどい 記念講演 ③」。7分59秒。

 しかし、これだけでは編集者としては満足できない。音声はそのままでも、地図や違う映像を全面的に足して再編集したものを、作り直したい。

 


新・本と映像の森 205 北森鴻(こう)『暁英 贋説・鹿鳴館』徳間文庫、2011年

2018年11月10日 12時07分46秒 | 本と映像の森


新・本と映像の森 205 北森鴻(こう)『暁英 贋説・鹿鳴館』徳間文庫、2011年

 581ページ。定価本体680円。2010年4月徳間書店刊。

 ボクの大好きな北森鴻さんの終末近くの作品。p578から581に「北森鴻著作リスト」があって33冊の作品が掲載されている。その32冊目。

 編集部によれば「結果的に最後の掲載となった2010年2月号の原稿は、2010年1月14日、12時49分、担当編集者宛にメールで送信されました。北森鴻氏はその11日後、1月25日3時頃、逝去されました。」

   ☆

 主人公は明治10年(1877)に来日したお雇い英国人建築家メサイア・コンドルさん。彼と彼の日本人学生たちの学業とからんで日本の政治が活き活きと描かれる。

 主題は建築・首都・武士たちというところかな。それに画家・河鍋暁斎(かわなべぎょうさい)さんが絡んでを構成する。

 脇役は政府高官の井上馨・三菱の岩崎弥太郎・同僚のドイツ人医師エルウィン・フォン・ベルツ、そしてトーマス・ブレイク・グラバー。

 登場しない重要登場人物として、技術者トーマス・ジェームス・ウォートルスと西郷隆盛。

 裏表紙のPR「謎に包まれた鹿鳴館を描くという作業は、近代日本そのものを描くこと」と書いてある「作業」に北森鴻さんはメサイア・コンドルさんの心でかなり肉薄していると思う。

 河鍋暁斎さんの絵はリアルで見たいです。暁斎さんに「鳥獣戯画」があったというのは、これを読んで初めて知りました。

 つまり、① 鎌倉時代の「鳥獣戯画」 ⇒ ② 明治維新の河鍋暁斎さんの「鳥獣戯画」 ⇒ ③ 現代の松山文雄さんの「鳥獣戯画」、という系列・伝統が存在するわけです。

    ☆

 この作品は未完なので、北森鴻さんに代わって結末を妄想する自由画読者にはあります。さあ、どうしようかな。

 


新・本と映像の森 204 知里真志保・小田邦雄『ユーカラ鑑賞 ー アイヌ民族の叙事詩 ー』潮文社新書、1968年

2018年11月09日 12時19分41秒 | 雨宮日誌


新・本と映像の森 204 知里真志保・小田邦雄『ユーカラ鑑賞 ー アイヌ民族の叙事詩 ー』潮文社新書、1968年

 269ページ、定価320円。

 いま手に入るかは知らない。アイヌ文学やアイヌユーカラのなかで、この本の占める位置も知らない。部屋を片付けていたら出てきたので、読み返していい本だと40数年後のいま思った。

 動物神の活躍というか躍動がステキだ。

 フクロー神
 エゾイタチの神
 赤カッコー鳥
 カワウソ
 カエル
 マムシ
 鯱神
 川貝
 沼貝
 
 動物たちそれぞれのリフレインも、とてもいい。

 「ホルッ ホリィワン」(鯱神)
 「ペフンフン・アオ・ペフンフン」(先導犬)
 「ホーリムリム、ホーリムリム、」(エゾイタチの女神)

 230ページから237ページに掲載されている「オキリムイの子が所作しながら歌った神謡」は、アニメ映画「太陽の王子ホルスの大冒険」の源流となった1つであり、宮崎アニメがアイヌや蝦夷の共同体にその源泉をもっていることは「もののけ姫」を見てもあきらかだと思う。(注 蝦夷=アイヌではない。)

 


古代ブログ 92 浜松の遺跡・古墳・地名・寺社 52 浜松市中区神田町の雀神社<再録>

2018年11月08日 09時10分21秒 | 遠州古代史


古代ブログ 92 浜松の遺跡・古墳・地名・寺社 52 浜松市中区神田町の雀神社<再録>

 今も「しずめの社」と「すずめ神社」との関係が不明です。

 以下、再録。

「遠州の遺跡・寺社 63 浜松市中区神田町の雀神社
2011年11月15日 15時29分37秒 | 遠州古代史

 神田町(かみだちょう)です。江西中学校の北側の東西に通りを西へ300mほどの信号を南へ折れるとすぐ西に鳥居があります。

 行って見るまでは東向きの神社かと思っていましたが、敷地内で参道が大きく北へカーブして,南向きの神社でした。

 ほぼ0度で、真南に向いています。

 神社名は「すずめ神社」ではなくて「さざき神社」です。祭神は、別名「大雀神社」ということからもわかるように、説明板でも「大雀之命(仁徳天皇)」と明記してありました。

 説明板によれば「合祀 神明宮(天照皇大神)」「摂社 津島神社(須佐之男命)」とあります。

 なお「静岡圏神社庁」のHPでは「ささき神社」とふってありあすが,現地の案内板は「さざき神社」ですし、大雀は「おおさざき」ですので、さざきが正しいでしょう。

 参道が曲がったのは、道路を作るときに曲げたのでしょうね。神社の方向は南北だと思います。

 コンクリの鳥居は明治33年(1900年)建造です。

 雀神社で検索したら、茨城県古川市の雀神社が有名なようです。古川市の雀神社は、
「大己貴命。少彦名命。事代主命」ですから出雲系です。

 名前も本来は「しずめの社」だそうです。」


 もう1日、追加。


「遠州の遺跡・寺社「63 浜松市中区神田町の雀神社」の2
2011年11月16日 05時28分34秒 | 遠州古代史

 昨日の補足です。

 この雀神社は、説明板で「大雀命」さん、つまり「仁天皇」さんを祭っていますが、日本の神社で、歴代の天皇さんのうち、祭神として祭られているのは、誰と誰でしょうか?

 ぼくの覚えでは、この大雀命さん=仁天皇さんと、八幡信仰と合体したホンダワケ命さん=応神天皇さんの2人だけです。

 ということは、天皇家の始祖神として信仰されたのは,応神天皇さんと仁天皇さんの2人だけでしょうか。

 神武天皇を祭る橿原神宮は、明治23年(1890年)の創建ですから、古代~中世~近世の考察のなかには入りません。

 崇神天皇さんとか、継体天皇さんとか、天智天皇さんとか、天武天皇さんとか「神」になってもおかしくはないと思いますが、なぜか、神社にはならないんですね。

 応神さん、仁さんは、日本で最大の大きさの巨大古墳をつくったというくらいです。

 天皇さんではなくても、菅原道真さんなどは「天神」として日本全土のあちこちで神として祭られています。

 この違いは何でしょう?まだ、解答はありません。もっと深く考えます。

 

 


新・本と映像の森 203 松岡正剛『日本流』ちくま学芸文庫、筑摩書房、2009年  

2018年11月07日 14時14分10秒 | 本と映像の森


新・本と映像の森 203 松岡正剛『日本流』ちくま学芸文庫、筑摩書房、2009年
 
 374ページ、定価本体1300円、原書朝日新聞社2000年

 日本文化論のいい本だと思います。まず目次を掲げておきます。

序章  日本が思う 歌を忘れたカナリヤ
 第一章 日本を語る 多様で一途な国
 第二章 日本も動く 職人とネットワーカー
 第三章 日本で装う 仕組と趣向がはずむ
 第四章 日本へ移す 見立てとアナロジー
 第五章 日本に祭る おもかげの国・うつろいの国
 第六章 日本と遊ぶ わび・さび・あはぜ
 第七章 日本は歌う 間と型から流れてくる
 図版出典・所蔵先一覧
 人名索引

 それから詳細目次をて面白いと思ったら、直接読んでください。ボクは時間がかかるけど分析的に研究的に読むに値する本だと思います。

序章  日本が思う 歌を忘れたカナリヤ
1 幼な心、2 廃園、3 洋風小唄、4 蝉の声
 第一章 日本を語る 多様で一途な国
1 3人の目、2 花火とランドセル、3 GLAYとTUBE、
2 3・4・5・7、5 万葉仮名、6 乱世、7 若者の冒険、8 紺と紅と
9 真名と仮名
 第二章 日本も動く 職人とネットワーカー
1 案配、2 ツメとツクリ、3 目当て、4 東の金・西の銀
5 コードとモード、6 中世ノマド、7 公界と今様、8 知財と同朋衆
 第三章 日本で装う 仕組と趣向がはずむ
1 悉皆屋、2 納戸色・纏色、3 キモノ・マインド、4 2つのJ
5 軸組と造作、6 超部分、7 当と分
 第四章 日本へ移す 見立てとアナロジー
  1 近江八景、2 歌枕、3 東洋のワイキキ、4 庭の千草、5 意味と弾性
  6 擬似同型、7 寄物陳思、8 3つの庭、9 くひちがひ、10 俗に入る 
 第五章 日本に祭る おもかげの国・うつろいの国
1 懐徳堂、2 夢の代、3 ハシとキワ、4 俤、5 事足りぬ美、6 仮の死
2 モドキとフリ、8 依代と物実、9 負の部分、10 うつろひ
11 祭りの日
 第六章 日本と遊ぶ わび・さび・あはぜ
1 逸民、2 PとP`、3 松茸の凋落、4 出遊、5 スサビ伝説
6 浦の苫屋、7 間に合わせ、8 花下遊楽
 第七章 日本は歌う 間と型から流れてくる
  1 擬木、2 HIDEN、3 梅の遅速、4 不立文字、5 せぬ隙
  6 家と門、7 現場記録、8 揃・尽・並、9 新遊芸
  10 コロッケ・パン、11 傷つきやすい国、12 教会の電球 


 いろいろ面白い問題がありますが、たとえば「見立て みたて」について。

 「見立てとはどうものなのか。…基本的な原理は比喩にあります。
 日本中に津軽冨士とか伯耆冨士とかのたくさんの富士山にまつわるネーミングがあります。あれがわかりやすい見立てです。地元の山を富士山に見立てている。滋賀県でも三上山を近江冨士と呼んでいます。
 このばあいは、その山がどこか富士山に似ているというと、たいていは紡錘形(コニーデ)だということが見立てのモティーフになっている。この見立てはもっと進んでいくと、江戸の町のそこかしこに富士講による小さな富士山の模型ができて、そこへ行きさえすれば「富士山に登ったつもり」ということになったのですが、そういう「つもりメタファー」にもなっていくし、それが戦後の日本ではペンキ富士山として銭湯にまで出張していくことにもなります。北斎の富嶽三十六景だって、実はそういうものです。
 日本中に銀座があります…」
  (p155~156)


 もう1つ「結ぶ むすぶ」とは何か。

 「日本は何だって結ぶ。結びすぎるくらいに結びます。
 だいたい相撲の最後が「結びの一番」ですし、小結があれば、大きな横綱を締める結びもある。さらには結納もムスビですし、結婚もムスビです。息子や娘という呼び方も、もともとはムス・コ(結びによって生まれた彦)であり、ムス・メ(結びによって生まれた姫)でした。
 こうしたムスビは、日本に来た海外人を驚かせた「髷を結う」というところにも象徴されました。意外にも「オムスビ」も重要なムスビです。」
 (p238)

 まだまだわからないことが多いので、これくらいにしておきます。「うつ」「うつわ」「うつつ」と銅鐸とか面白い話は多いのですが、もっと深めないと。

 なお「今現在」、その本の在庫があるかどうか、古本で出ているかどうかもネットでわかりますから便利な時代です。

 


雨宮日記 11月6日(火) 被爆者の紙芝居の文章をつくる

2018年11月06日 11時12分44秒 | 雨宮日誌

 
雨宮日記 11月6日(火) 被爆者の紙芝居の文章をつくる

 被爆者の紙芝居の文章をやっと作る。ボクと則子さんとNくんの3人でみっちるやる。夫婦2人だとなれ合っちゃってダメだね。Nくんがいてありがたい。

 ほぼ7.8割完成。あとは後半をすこしやるだけ。

 文章はある意味、演者の自由だから最良と思われるものを創って、あとはやる人の裁量。

 ほんとうは絵の変奏・バリエーションが欲しいよね。

 写真は「ちひろカレンダー」の「11/12月」。絵本「戦火のなかのこどもたち」のなかのボクも大好きな「シクラメンと少女」。

 少女はちひろさんの若いときの自画像ではないのかと感じる。

 


新・本と映像の森 202 北森鴻『メビウス・レター』講談社文庫、2001年

2018年11月05日 22時18分09秒 | 本と映像の森


新・本と映像の森 202 北森鴻『メビウス・レター』講談社文庫、2001年

 347ページ。定価本体619円。原書1989年講談社より刊行。

 「長編ミステリー」。「メビウス」という意味は「ねじれ」である。いくつもの意味で。

 1990年7月12日、絵が好きな男子高校生が美術室で焼身自殺をとげる。さらに、もう1人の写真好きの男子高校生が暗室で死ぬ。

 2つの死は謎のまま、何年かが過ぎる。

 中年作家・阿坂龍一郎にこの事件を独自に追跡した当時の高校生「ぼく」の手紙が届けられる。なぜ阿坂に手紙が届くのか。差出人はいったい誰なのか。

 主な登場人物を紹介する。まず現在。

 阿坂龍一郎 マンションに住む作家
 鳥丸好江  秘書。2年前から勤務。
 野島克明  Y社出版編集部。殺される。
 若桜(わかさ)妙子 同じマンションの住人。阿坂のファン
 根岸    練馬署の中年警察官
 四阿(あずまや) 練馬署の若い警察官
 
 登場人物の過去編。

 キミ     殺された主人公。美術部
 小島正(ただし) 写真部の高校生.12月に暗室で死ぬ。
 ぼく     手紙を書いた高校生
 沢渡(さわと)卓也 高校生。美術部。

 夏川麻美   キミをかげで慕う女子髙生。
 キミの母   ぼくと共に事件を調べる
 小椋女史   音楽教師
 三島武義   体育教師     



 小説は「赤」を基調に展開する。べつに殺人事件の血の赤ではない。キミが描いていた絵に描かれていた赤い鳥の赤と絵の具の赤、そして絵の具の原料の赤である。

 キミは、この赤を追求してその色を出すための原材料を、ついに見つけ出し絵を完成させる。

 残念ながら、この魅力的な「赤」のことは事件から叙述が移るとともに消えてしまい、物語の終わりまで生かされません。

 そのことがボクは非常に残念です。

 その赤い鳥とは「アカショウビン」です。(「雨宮智彦のブログ 20180923 切手は世界 3 鳥切手 ② アカショウビン」で掲載)

 


新・本と映像の森 201 ショパン『練習曲 作品10 第3番 ホ長調 別れの曲』1832年出版

2018年11月04日 21時50分37秒 | 本と映像の森


 新・本と映像の森 201 ショパン『練習曲 作品10 第3番 ホ長調 別れの曲』1832年出版

 Etude Op.10 no.3。演奏時間約4分強。

 SF小説・平井和正「幻魔大戦 ⑭ 幻魔との接触」(角川文庫、1981年)で主人公の1人・東(あずま)丈(じょー)が「1968年1月27日」(p41)箱根合宿の会場となった「天井の高い、広々としたホテル・ロビー」(p178)のピアノで、この曲を弾く。

 同席していた高校生秘書の郁江は「曲名がいささか気にならないでもなかった。ショパンの“別れの曲”だった。」(p208)

 「なぜ“別れの曲”なのかと尋きたっかが、郁江は黙っていた。」(p211)

 その晩、丈は消えてしまう。(p264)



 いろんな映画や番組でも、この曲はたくさん使われている。

 つい最近、共産党の志位和夫委員長が同党のサポーターのつどいで“別れの曲”をピアノ演奏した。たぶん短縮版。

 じょうずとは言えないが、いい演奏だった。しかし、なぜ“別れの曲”なのか?

 この曲は、むしろ親しい人との悲しい別れがテーマであって、志位さんと安部さんのような犬猿の仲の別れではないんですよね。


雨宮日記 11月3日(土) 9・23の講演ビデオ①を作る

2018年11月04日 11時16分04秒 | 雨宮日誌

雨宮日記 11月3日(土) 9・23の講演ビデオ①を作る

 「20180923 久保山愛吉氏追悼焼津行動」の6本目「9・23焼津のつどい 記念講演 北東アジア情勢の進展と核兵器廃絶運動 梶原 渉さん(日本原水協「原水協通信」編集長)」の①を作る。

 14分46秒。たぶん5~6回の分載に。

 「核兵器禁止条約」と「北朝鮮非核化」の分離では、どっちも成功しないということかな。そのうち「戦争と平和」で詳しくやるつもり。他にも大事な論点がいくつもある。大事な講演だと思う。韓国の非核化もあるそうだ。韓国政府はどう考えているか、資料が必要。

 しかし資料をつけて再度作らないと2本のカメラだけではちょっと退屈。