新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

総合医認定制度:今の開業医の先生には「禍根」を残すかもな~

2008-08-13 07:00:02 | 医療

おはようございます。

新聞やニュースを見ながら朝の時間を過ごしております CBの記事に総合医に関する記載があったので、お知らせします。

日医が「総合医」認定制度案を公表  

日本医師会(唐澤祥人会長)はこのほど、「地域医療、保健、福祉を担う幅広い能力を有する医師」の認定制度案を公表した。いわゆる総合医・総合診療医を養成するための認定システムで、併せて都道府県医師会に対し、同案に対する意見を求める通知を出した。  

案では、「何でも相談できる上、最新の医療を熟知して必要なときには専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる」存在として、同医師を位置付けている。そして、日医が日本プライマリ・ケア学会、日本家庭医療学会、日本総合診療医学会の関連3学会をはじめ各医学会・医会の協力を得て主導的に認定を行う、としている。 

名称については、▽地域医療医▽地域医療認定医▽地域医療担当医▽地域医療相談医▽日医認定地域医療医▽日医認定地域医療担当医▽日医認定地域医療相談医▽日医認定地域医療総合医▽日医認定地域総合診療医▽日医認定地域医療連携医▽日医認定総合医▽日医認定総合診療医―の12候補を挙げた。  

認定制度の開始時期は「2010年4月までに開始する」と明示。認定は、日医内に認定機構(仮称)を設置して行う。同機構には関連3学会が幹事として参加する。 

カリキュラムは、日医の生涯教育推進委員会が作成した「生涯教育カリキュラム~総合診療医の養成をめざして~(案)」をブラッシュアップして使用するとしている。  「総合医問題」では、国民健康保険中央会が06年末に、後期高齢者が原則としてかかりつけ医以外は受診できないようにし、かかりつけ医への報酬は、登録した後期高齢者の人数に応じて定額を支払う仕組みを提案。これに対し、フリーアクセスの制限であるとして、日医が激しく反発した経緯がある。 今回の案について日医は、6月に出した「Q&A」で、「日医がこの問題に取り組まなければ、厚生労働省が必ず認定制度を立ち上げることになる」「厚労省が認定を行った場合は、それこそフリーアクセスの制限、人頭割り、定額払い、総枠規制に結び付く可能性がある」などと指摘。日医が主導して認定制度を創設することこそが、これらに結び付かない唯一の方策だとしている。 

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この動き自体は、新臨床研修制度が開始されることが決まった時点で分かっていたことだと思いますが、あの頃はそれも可能かと思いましたが…今の僕には「今の医療教育体制では不可能」だと思っています。

何でも相談できる上、最新の医療を熟知して必要なときには専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになるってどんな医者ですか?

 

最新の医療を熟知・・・・。今の体制で最新の治療を熟知できませんし、以前書いたように1974年ころのイギリスの二の舞になるだけだと思います。

 

日医が主導して認定制度を作ることが唯一の方策だとしていますが、唯一かどうかは知りませんが「一つの方策」なのでしょう。

 

 ただ、たぶん自分の首を絞めるのだと思います。これを実際にやるのであれば教育制度や…様々な人間関係・信頼関係強化策を行わないといけないと思いますし、今までの「縦の研修」をしていた先生が多いであろう開業医の先生に「何でも相談できる上、最新の医療を熟知して必要なときには専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる」を求めることが将来大きな禍根になるのではないかとは思います。

 

これが立ち去りがたサボタージュ防止のための策だったら…すごい先読みで…と思いますけどw

なお、文中にあります「生涯教育カリキュラム~総合診療医の養成をめざして~(案)」はこちら

http://www.med.or.jp/doctor/nintei/seido_an1.html

1)コースI

対象:2年間の卒後臨床研修を修了した医師
プログラム:研修プログラムに則って、行動目標を達成するための3年間以上の実務研修(OJT)
評価:プログラム責任者の修了認定を踏まえて、認定機構(仮称)が評価を行い、認定する。

2)コースII

対象:臨床経験7年以上、15年未満の医師
プログラム:50単位(1単位は1時間の講義・実技の受講に相当)カリキュラムの7カテゴリから定められた単位を受講者が選択
評価:受講後の評価結果を踏まえて、認定機構(仮称)が認定する。

3)コースIII

対象:臨床経験15年以上、45年未満の医師
プログラム:20単位(1単位は1時間の講義・実技の受講に相当)カリキュラムの7カテゴリから定められた単位を受講者が選択
評価:受講後の評価結果を踏まえて、認定機構(仮称)が認定する。

4)コースIV

対象:臨床経験45年以上の医師
プログラム:必要に応じて今後検討
評価:必要に応じて今後検討

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具体的でない上に…たぶん、とりあえず履修したら資格が得られて、実際できるかは不明・・というところでしょうね。

実際なんてものは「患者さんを見なかったらわからない」ことくらい誰でもわかりそうですけどね

 

教科書通りに行くわけがない。

まぁ、日医が主導して行うことが唯一の策らしいので・・・頑張ってください。

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それでは、また論文でも読みながら新患の方の治療方針を考えていたいと思います。

 

では、また。

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日本に広がる心の病:日本そのものの改善が必要

2008-08-13 00:22:04 | 医療

さて、続きます。

今日は

「先生、いつ寝ているんですか?」

と患者さんや後輩の医師に言われたので

「夜は寝てますよ~」

とか

「3~4時間くらいは寝てますよ」

と答えていました。

 

僕は好きな職場で好きなことをやっていますが、それでも久々のため慣れないところはあります。久々であるだけでなく、命にかかわる分野の仕事であるので、非常にストレスフルです。

まぁ、だからこそやりがいもあるのですけど。

 

さて、そんな職場・・・医療の分野だけではなく、日本の多くの職場で「心の病」が広がりを見せているようです。

 

半数超が「心の病増加」 余裕ない職場ほど傾向強く(08/12 16:25)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/life/110936.html  

財団法人社会経済生産性本部のアンケートに回答した上場企業のうち、半数以上が社員の心の病が増える傾向にあるとしていたことが12日、分かった。「人を育て、仕事の意味を考える余裕がない」会社ほど、心の病の増加を訴える傾向が強いことも確認された。  

同財団は2002年から2年ごとに同じ調査を実施。今年は4月に2368社を対象にし、269社が回答した。  

最近3年間で、従業員の心の病が「増加傾向」と回答したのは56%で2年前の61%から微減し「横ばい」は32%、「減少傾向」は4%。職場で「人を育てる余裕がなくなってきている」という企業の60%が心の病が増加傾向と答える一方、「そうではない」という企業で増加傾向と答えたのは35%にとどまった。  同財団は「心の病については不調者の早期発見に加え、組織風土の改善に目を向ける必要がある」としている。

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これまた回答率が1割程度なので何とも言えませんが、実際余裕がない職場では・・どうしても自分を振り返る時間もなく、仕事の意味を考えられないところでは・・・「自分自身」を見極めることができずに「心の病」になってしまうのでしょう。

たぶんこれは日本のほとんどすべてに当てはまる状況ではないかと思っています。効率の良くない「日本」という国の組織・風土が改まらない限りは、「自分の人生の意味」を見つめる余裕もなく、毎日生きることに時間を取られていっているのではないかと思っています。

 

 

もっとも、それは今の僕も同じですが。

 

自分を見つめる時間を少しでも持つことは重要なのでしょう。僕にとってのBlogはそういう時間でもあります

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