新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

日赤病院の医師不足

2008-08-21 23:06:25 | 医療

こんばんは 今日は外来日でした。

いろいろ患者さんが来ましたが、個人的にやってみたかった治療をやってみました。 MDS RAで支持療法のみの方に対する「十全大補湯」投与。

 

唯一漢方薬の中で血液最高峰の雑誌「Blood」に載っている薬です。

 

2カ月に一回くらいの割合で輸血をしている方なので、その感覚を長くできないかと思い使い始めました。

 

その他、新規に診断したのは「PV(真性多血症)」の方と悪性リンパ腫の方。悪性リンパ腫の人の入院日決めてなかったな・・・。

一コース目は入院です

 

 

そんなこんなで今日は17時くらいには外来業務が終わり、病棟に上がりこまごましたことをチェックして、退院した患者さんの次の入院の予定を入れて…という感じです。

 

 その後も大きなイベントがあったのですが、今何とか帰ってきました。

 

さて、今日は外来疲れで脳が働いておりません。がBlogは書き続けます 今日の記事はこちら

日赤病院の9割が医師不足 地方深刻…近畿も85%

8月21日16時14分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080821-00000113-san-soci  

日本赤十字社が全国で運営する92病院のうち9割の病院が医師不足を訴えていることが21日、日赤が行った実態調査で分かった。足りないとする医師数の合計は796人にも達している。とりわけ、北海道と東北、中国・四国は管内の全病院が不足を訴えており、日赤は「地方での医師不足は深刻」と指摘、急速に医師不足が広がっている実態が浮き彫りとなった。  

日赤による調査は、平成18年から実施され、今回で3回目。足りないとする診療科と医師数を4月1日現在で各病院に自己申告させた。その結果、89・1%に当たる82病院が何らかの診療科で医師が足りないと回答。不足医師数は33診療科796人に上った。不足医師数は18年は437人、19年は614人だった。  

診療科別で、不足人数が最も多かったのは内科系で226人。次いで産婦人科系68人、小児科系56人、外科系48人、麻酔科系46人と続いた。  

不足を訴えた病院の地域別の割合を調べたところ、北海道と東北、中国・四国は全病院が「不足」と回答。以下、中部95・0%、関東(山梨、新潟両県含む)90・0%、近畿84・6%、九州・沖縄50・0%だった。近畿では、大津と京都第二を除く11病院が医師不足を訴え、高槻(大阪)と長浜(滋賀)の不足医師数が顕著だった。  

こうした背景には、待遇の良い都心部の大病院など一部の病院に医師が集中していることなどがあるという。また、「トラブルが多い」などとして外科や麻酔科、産科といった診療科を敬遠する新任医師が増え、診療科ごとの医師の構成バランスが崩れていることも要因で、こうしたしわよせが地方の中核病院に出る傾向が強まっているという。  

各病院への調査結果でも医師不足の理由(複数回答)として多かったのは、「医師が大学に戻った後、補充が困難」(27・3%)▽「他病院に行った後、補充が困難」(25・2%)▽「大学医局からの補充が困難」(10・3%)-の順に多く、不足した医師の補充策に悩んでいる傾向が明らかになった。  

日赤では地方の医師不足に対応するため、東京から地域医療を担当する医師を派遣する試みも進めているがまだ十分な対応はできていない。

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同様の記事がこちら・・・

日赤病院、9割医師不足=北海道、東北、中四国は全施設で-必要数800人近く

8月21日15時4分配信 時事通信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080821-00000132-jij-soci  

日本赤十字社は21日までに、全国で運営する92病院の今年度の医師不足状況調査をまとめた。9割の病院が医師不足を訴え、足りないとする医師数の合計は796人に達した。この1年間で、不足と答えた病院は6病院、不足人数の合計は182人それぞれ増加。北海道と東北、中国・四国は管内の全病院が不足を訴えており、日赤は「地方での医師不足は依然深刻」としている。 

日赤は2006年から医師不足調査を毎年実施。3回目となる今回もこれまで同様、足りないとする診療科と医師数を4月1日現在で各病院に自己申告させた。 

その結果、89.1%に当たる82病院が何らかの診療科で医師が足りないと回答。不足医師数は33診療科796人に上った。 

診療科別で、不足人数が最も多かったのは内科系で226人。次いで産婦人科系68人、小児科56人、外科系48人、麻酔科46人と続いた。 

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日赤病院での医師不足、9割の病院が不足と書かれていますが…おそらくすべての病院の9割は医師不足なのではないでしょうか?

日本の医師数はそのくらい少ない。医療従事者の勤務環境は悪い。少しでも待遇のいい病院に集まる…どんな職業でもそれは起こりうることだと思う。

ただ、誰でもできる職業ではなく・・知識と責任感、技術などを持っていないとできないために総数が少ない。そこに勤務環境が悪いためになるひとが少ないだけだと思う。

代わりがいないから、勤務環境が良い状況の場所に医師が集まり・・・他のところには医師が集まらない。ただの需要と供給の関係のように思う。 今のままならば「医師」の数が少ないことによる医療インフレが起きるだろうし、そうなれば医師を集められない病院は潰れていくことだろう。

医師は数がすくなけれあ自分の価値が上がるのだから(その分責任と、仕事量は増えるのだろうけど)この現状に関して医師は実は困らない。

困るのは国民ばかりであり、だからこそ…将来の憂いをなくすためにブログなどというものを書いている。

そんなことを思っています。

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なかのひと 

う~ん、今日は外来疲れで眠いですね。

もう少しネットサーフィンして、本を読んだら寝ようかと思います

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産経新聞の記事と朝日新聞の記事

2008-08-21 00:41:30 | 報道関係の方々への期待

さて、同じ産経ですがこんな記事もありました。

無制限に医師の裁量を認めるものではない 大野病院事件

8月20日23時18分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080820-00000969-san-soci  

手術中に医師が最良と判断した手法で患者が死亡した場合、医師個人は刑事責任を問われるべきか-。福島県立大野病院事件で、福島地裁は、臨床の場で通常行われる水準で医療措置をしていた場合、罪は問えないとの判断を示した。  

判決は、医療行為を「身体に対する侵襲を伴うものである以上、患者の生命や身体に対する危険性があることは自明」と表現。結果責任だけが問われる医療関係者から上がる「リスクの高い医療はできない」などの切実な叫びをくみ取った結果が、今回の無罪判決といえる。  

だが、判決は、加藤医師の医療行為と女性死亡の因果関係を認めた。大量失血も予見できたとしたうえで、検察側が指摘した通り、癒着胎盤の剥離を中止して子宮を摘出していれば、最悪の結果を回避できた可能性を指摘した。  公判で弁護側の証人に立った産婦人科の権威らが「一切過失はない」と言い切る姿は、国民に「医者のかばい合い」と映ったに違いない。  

今回の事件を契機に、医療事故調査専門の第三者機関、いわゆる医療版事故調を設置しようという機運が高まっている。だが、医療界がこぞってすべての医療ミスで刑事責任の免責を主張するなら、事故調が事故原因究明や公正な判断を下せなくなるのでは、と懐疑的な見方が出てきても仕方あるまい。  

今回の判決は「適切な手術」という前提付きで、医師の裁量を認めた。医療界は、なおいっそうの注意義務と医療を受ける患者、家族が十分納得するような説明責任が求められていることを忘れてはならない。(小野田雄一

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この書き方が気に入らないと言えば、気に入らないですね。

確かに因果関係はあるだろうと書かれていますが、因果関係はあっても間違った行為だとはしていないし、医師のかばいあい…という書き方もどうかと思います。

この小野田さんという記者さんは、「医者のかばいあい」でこんなに問題が大きくなっていると思っているのでしょうか?

 

朝日新聞の記事を対象としてあげます

 

福島県立大野病院事件の福島地裁判決理由要旨(1/2ページ)

2008年8月20日14時16分  

福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性患者が死亡した事件で、福島地裁が言い渡した無罪判決の理由の要旨は次の通り。  

【業務上過失致死】  

●死因と行為との因果関係など  鑑定などによると、患者の死因は失血死で、被告の胎盤剥離(はくり)行為と死亡の間には因果関係が認められる。癒着胎盤を無理に剥(は)がすことが、大量出血を引き起こし、母胎死亡の原因となり得ることは、被告が所持していたものを含めた医学書に記載されており、剥離を継続すれば患者の生命に危機が及ぶおそれがあったことを予見する可能性はあった。胎盤剥離を中止して子宮摘出手術などに移行した場合に予想される出血量は、胎盤剥離を継続した場合と比較すれば相当少ないということは可能だから、結果回避可能性があったと理解するのが相当だ。  

●医学的準則と胎盤剥離中止義務について  本件では、癒着胎盤の剥離を中止し、子宮摘出手術などに移行した具体的な臨床症例は検察官、被告側のいずれからも提示されず、法廷で証言した各医師も言及していない。  

証言した医師のうち、C医師のみが検察官の主張と同趣旨の見解を述べている。だが、同医師は腫瘍(しゅよう)が専門で癒着胎盤の治療経験に乏しいこと、鑑定や証言は自分の直接の臨床経験に基づくものではなく、主として医学書などの文献に頼ったものであることからすれば、鑑定結果と証言内容を癒着胎盤に関する標準的な医療措置と理解することは相当でない。  

他方、D医師、E医師の産科の臨床経験の豊富さ、専門知識の確かさは、その経歴のみならず、証言内容からもくみとることができ、少なくとも癒着胎盤に関する標準的な医療措置に関する証言は医療現場の実際をそのまま表現していると認められる。  

そうすると、本件ではD、E両医師の証言などから「剥離を開始した後は、出血をしていても胎盤剥離を完了させ、子宮の収縮を期待するとともに止血操作を行い、それでもコントロールできない大量出血をする場合には子宮を摘出する」ということが、臨床上の標準的な医療措置と理解するのが相当だ。

検察官は癒着胎盤と認識した以上、直ちに胎盤剥離を中止して子宮摘出手術などに移行することが医学的準則であり、被告には剥離を中止する義務があったと主張する。これは医学書の一部の見解に依拠したと評価することができるが、採用できない。  

医師に医療措置上の行為義務を負わせ、その義務に反した者には刑罰を科する基準となり得る医学的準則は、臨床に携わる医師がその場面に直面した場合、ほとんどの者がその基準に従った医療措置を講じているといえる程度の一般性、通有性がなければならない。なぜなら、このように理解しなければ、医療措置と一部の医学書に記載されている内容に齟齬(そご)があるような場合に、医師は容易、迅速に治療法の選択ができなくなり、医療現場に混乱をもたらすことになり、刑罰が科される基準が不明確となるからだ。  

この点について、検察官は一部の医学書やC医師の鑑定に依拠した準則を主張しているが、これが医師らに広く認識され、その準則に則した臨床例が多く存在するといった点に関する立証はされていない。  

また、医療行為が患者の生命や身体に対する危険性があることは自明だし、そもそも医療行為の結果を正確に予測することは困難だ。医療行為を中止する義務があるとするためには、検察官が、当該行為が危険があるということだけでなく、当該行為を中止しない場合の危険性を具体的に明らかにしたうえで、より適切な方法が他にあることを立証しなければならず、このような立証を具体的に行うためには少なくとも相当数の根拠となる臨床症例の提示が必要不可欠だといえる。  

しかし、検察官は主張を根拠づける臨床症例を何ら提示していない。被告が胎盤剥離を中止しなかった場合の具体的な危険性が証明されているとはいえない。  

本件では、検察官が主張するような内容が医学的準則だったと認めることはできないし、具体的な危険性などを根拠に、胎盤剥離を中止すべき義務があったと認めることもできず、被告が従うべき注意義務の証明がない。  

【医師法違反】  本件患者の死亡という結果は、癒着胎盤という疾病を原因とする、過失なき診療行為をもってしても避けられなかった結果といわざるを得ないから、医師法にいう異状がある場合に該当するということはできない。その余について検討するまでもなく、医師法違反の罪は成立しない。

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産経新聞の記者さんは・・医師のかばいあいというが、この事件をきっかけに多くの産科の病院がお産をやめたりしていること、産婦人科医が激減していることを知っていて言っているのか…と思う。

 

正直に言うと、この記事(産経)に関しては不快感以外の何もない

 

多くの記者さん、マスコミの皆さんには期待をしているが・・こういう人がいることで、多くのマスコミの皆さんが「世間をあおるだけ」という評価をされるのだと思う。

 

確かに一部の医師がとんでもないことをするかもしれないが、多くの医師は献身的に動いていると思う。そういう医師が目立っているのは・・多くの医師が献身的に働いているからであって、それが普通だと思っているから目立つのだろう。

 

同様に、多くのマスコミの方々も「日本」に影響を与えるべき「よい情報」を提供するべく頑張っているのだろうが、一つの「くさったリンゴ」が目立ってしまっているように思わざるを得ないですね。

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なかのひと 

さて、ちょっと辛口記事になりましたが・・今日はこのあたりで・・・

明日は外来なのでちょっと大変です。病棟もありますしね。

 

では、また。

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無罪判決:次は家族のケアの問題

2008-08-21 00:15:46 | 医療

こんばんは。

今日は様々な理由で日中の時間が確保できました。病棟出張マルクをして、教授回診のあとは外来準備などに充てていました。

大量キロサイド療法(HDAC)を行っている方が敗血症になって大変でしたが、それで内因性のG-CSFが出たのか、予想より3日以上早く血球が立ち上がってきています。すでに解熱していて、立ち直っていますので安心して外来準備に行けました。

 

その教授回診の時に研修医の一人が福島の判決が無罪だったと教えてくれました。 まずはその件に関してです

帝王切開死亡事故 大野病院産婦人科医に無罪判決 福島

8月20日10時23分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080820-00000914-san-soci  

福島県大熊町の県立大野病院で平成16年、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医、加藤克彦被告(40)の判決公判が20日、福島地裁で行われ、鈴木信行裁判長は無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。判決言い渡しは午後3時ごろまでに終わる見込み。 

手術時の判断をめぐり、執刀医の刑事責任が問われたこの事件の公判では、「過失は明白」とする検察側と、「手術は適切だった」とする弁護側が全面対立。医療行為は適切だったのか▽危険は予見できなかったのか▽医師法違反に該当するのか-などが争われていた。 

執刀医の逮捕・起訴については、「診療が萎縮(いしゅく)する」として、日本産科婦人科学会をはじめ多くの医療関係者が反発、第三者の立場で医療死亡事故を究明する“医療版事故調”設置の議論を加速させる要因にもなるなど、国の医療政策にも大きな影響を与えた。 

論告などによると、加藤被告は平成16年12月17日、子宮と胎盤が異常な形で癒着した「癒着胎盤」の症例だった女性の帝王切開手術を執刀。子供は無事に生まれたが、女性は子宮から胎盤をはがす際に大量出血し、死亡した。また女性の死亡を24時間以内に警察署に届けなかった。 

検察側は、「剥離(はくり)を中止して子宮を摘出すべきだったのに、無理に続けて失血死させており、過失は明白」と主張。これに対し、弁護側は「剥離を始めれば、完了させて子宮の収縮による止血作用を期待するのが産科医の常識であり、臨床現場では、検察側が主張するような措置を取った例はない」として、検察側に反論していた。 

また、検察側は「事故後、自分の過失で失血死させた可能性を被告自身が述べており、異状死と認識していたことは明らか」として、異状死を届けなかった医師法違反を指摘。一方、弁護側は「被告は異状死と認識していなかったうえ、上司と相談して届け出なくていいと指示されていた」と主張していた。

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まずは患者さんに深い哀悼の意を表したいと思います。

 

そして、今回の無罪判決に素直に喜びの意を表したいと思います。

日本の医療全体のために、これからもリスクな高い「抗癌剤治療」を続けていく僕自身に、多くの人の将来の「医療受給」のために。

 

患者のご家族にとっては、どんなに理論的な形で話がされたとしても・・・無罪判決では怒りの矛先の向けようがなくなってしまい、涙を流されたり、怒りを表したりすることもあるかと思います。

 

しかし、本当に医療に関して100%確実ということはないのは事実です。100%の期待と結果を求められては、必ず期待を裏切る形になると思います。

 

そういった患者さんの家族の「心のケア」をできるようなシステムを作っていく必要はあるのではないかと思います

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なかのひと 

さて、次に同じ産経の異なる記事を題材に記事を書きます。

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