新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

m3の記事より:医学教育は?

2012-04-23 18:54:32 | 医局制度改革・医学教育改革

もう少し書かせてください

 

医学部新設は必要か

今の医学教育は「老化」状態◆Vol.5

http://www.m3.com/iryoIshin/article/151308/

2012年4月17日 司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)  

梅村 では将来、「医学部定員を減らさなければいけない」となった時に、「医師過剰感」があるのか。私の予想ですが、今の教育システムで、診断名を一個付けろと言われたら、やはり「老化」だと思うのです。戦後66年の医学教育には、そんなに大きな変化はなかった。しかし、病院が非常に高度化し、在宅死が減少した。患者の要求水準が非常に上がり、医療に対する目線が日本は特異であることを考えると、研修医まで含めて、医師の養成スタイルが、システムとして合っていない。時代に追いついていない。

 だから、例えば河野先生がおっしゃるように、10年後に定員を減らさなければならないとします。全体としてはそうかもしれませんが、その時、医療現場の現場が、「非常に医師が過剰」という雰囲気になっているか。私はそこが少し疑問なのです。

――例えば、消化器専門でも、大腸内視鏡検査しかやらない先生がいたら、不足感は残る。

梅村 まず少し整理すると、専門医とプライマリ・ケア医ですが、国民世論から言えば、やはり専門医を欲している。ただ、プライマリ・ケアの必要性も、これから高齢化社会で広がってくるとなれば、専門分野を持った人がプライマリ・ケアもできる。これが多分、日本型の解決方法ではないかと。プライマリ・ケアだけのプロが、国民世論から求められるのかというと、私は少しそこは厳しいと思っているのです。時々、「いい先生紹介して」と聞かれる。肝臓がんの専門とか、カテーテルの上手な人を紹介して、となります。だから、政策というのは、もちろんあるべき姿も大事ですが、国民性として何を要求しているか、それも私たちは考えなければいけない。

矢崎 私も全く同じ考えですが、それが今の医学教育で可能かという問題があります。医学教育に関する学会などでいつも言っているのですが、医学教育の専門家は、教育のあり方とか、倫理的な問題などには熱心ですが、今、国民が求めている病院の医師不足に、医学教育がどう取り組むべきかという実践的な議論にはほとんどならない。

梅村 今、医学部は理系じゃないと入学できない。少し無茶苦茶なことを言いますが、私は文系でも理系でも入れる入り口にしたらいいと思います。それから、これは文科省に怒られるかもしれないですが、国立大学なら大学入試センター試験から抜けたっていいと思います。

――そんなにオーマルイティーにやる必要もない。

梅村 その代わり、大学の先生方にはすごい苦労をかけると思いますけど、何日も真剣に試験して、自分たちの大学が採りたい人材を合格させたらいい。

矢崎 全くおっしゃる通りです。

梅村 それぐらいの気合を入れて、先生方が、「自分の本当に採りたい生徒の答案を探す」くらいにやる。

河野 先生のおっしゃる通りです。私自身は高校時代は理数は不得意で、どちらかと言えば文系ですが、医学部、医師というのは文系ではないかと、個人的には思っているのです。物理や数学ができても仕方がないだろうと。ただ、千葉大で一時期、数学の入試をなくしたのです。要するに先生がおっしゃる文系の人たちにとっては非常に受かりやすい科目になった。そうしたら学生の学力が落ちた(笑)。

梅村 それはそう思います。

河野 それで元に戻したのです。

梅村 確かに数学の学力は問題処理能力とパラレルだという話もあるので、そこは工夫が要ります。それから、医学部の4年生が終わった時点で、ここで知識に関する国家試験をやってしまう。その上で、今の研修医レベルまでやらせるかは別ですが、5年生、6年生には医行為を認める。6年生が終わった時点で市中の病院にも出せるぐらいまでの形に持っていく

 私は、こうした医学教育改革を医学界、医療界はやるべき時期に来ていると思っています。それをせずに医師数や医学部の定員の話をしていても、埒が明かないと思うのです。臨床研修制度が今、地域の医師不足などの話と絡められ、「悪い」とされています。そうではなく、25歳、26歳というのは、私もそうでしたけど、一番物事を吸収できる時なのです。それも素直な目で。後で労働基準法の話が出てくるかもしれませんが、多少それを破っても研修する。「レジデント」という言葉は、住み込みという意味でしょう。料理人も同じで、住み込みをして修行する。

――朝から晩まで。

梅村 そう。冷たい水でカブを剥くのをやるから、あの京都の料理人が生まれるわけ。だから、医療も同じです。やはり医学部5年生、6年生、研修医の1年目、2年目というのは、一番大事な時この4年間をお客さんで過ごすか、はっきり言えば自分でもう死ぬ気でやるかで、実は日本の医療の姿はすごく変わると思うのです。今の話はドラスチックな話かもしれませんが、先生方から見たら、どう思われますか。

矢崎 私が前々から問題だと言っているのは、入試制度と国家試験が日本は一発勝負である点。各大学で卒業試験をやり、国家試験がある。それ学生にとっても、大変なのです。例えば、医学部の4年間で知識の伝授は全部終える。そこで国家試験をやり、臨床実習の後、2年後に実地試験を行う。それを国家試験とする。あるいは国家試験の代わりに大学の卒業試験で認める。どちらかにすべきだと思います。現状では国試対策のために、臨床実習がきちんとできていなかったために、卒後に臨床研修を2年間やることになった。しかし、卒前の教育が充実すれば臨床研修は1年で済む。入学試験、国家試験と卒業試験を抜本的に変えると、もう相当の部分解決できます。

梅村 大学の先生方の仕事が忙しくなります。

河野 従来の日本の教育は、プロセスベースだった。シラバスを見ると、「何々をやること」と書いてある。だから、評価も「何をやった」となりますが、それではダメ。今、千葉大でもアウトカムベースに変えているのですが、シラバスも「何々ができる」とすべて書き換えています。評価も、試験をきちんとやらないことには仕方がない。今、どこの大学も、OSCEを3年生、4年生で実施していますが、卒業時にもう一度、OSCEをして、「できる」かどうかの評価をしっかりやる。

 昔はちゃんとしたことを教えれば、できるという前提だった。「1+1=2」だった。しかし、今は「1+1」を教えても、「2」にならない学生がいる。だから、評価をプロセスベースからアウトカムベースに根本的に変えることが必要です。

 そのほかにも、医学教育は相当変わりつつあります。昔で言えば、初期研修医がやっていたことを医学生がやっている。ベッドサイトの臨床実習も、見学型ではなく、徹底的に診療参加型にし、現場にどんどん出していく。学生は、朝来たらナースと接触して、ナースから情報を得る。看護記録も見る。それでまず患者さんを診て、それからオーベンに全部報告をする。こうした臨床実習は、大学だけでは無理なので、関連の研修病院、開業医の先生方も含めて、分担して実習しています。

 それからもう一つ試みられているのが、屋根瓦方式の教育。5年生が4年生を、6年生が4年生を、研修医が6年生をそれぞれ教える。学生自身が、教えることによって自分の欠点が分かり、責任が出てくる。向上心へのインセンティブにもつながる。東京医科歯科大学がこうした取り組みをもう始めています。千葉大も始めるところです。すべての大学でやっているわけではありませんが、昔の私たちが受けた教育からは、かなり変わりつつある。

――臨床実習で関連病院や診療所に出るのは、5年生ですか。

河野 5年生です。開業医の先生などは非常に熱心で、「じゃ、診療時間を減らします」とまでおっしゃる。それは困るので、「普通の診療の中で教えてくださって結構です」と言いましたが。私たちが思う以上に、一般病院の勤務医、それから開業医の方々は、医師の育成に関心を持っています。だから、先生方が指摘されるように今の医学教育には問題もありますが、大学にいる人間としては、今まだ途上ですが、変わりつつあるのは確かであることを申し上げたい。

矢崎 私たち病院側からすると、医師の派遣をお願いするのは大学しかないのです。だから、大学に頑張ってほしい、体力を回復してほしい。それでエールを送っています。その際にどうすればいいかを考えた時の一つの選択肢として、モデル事業を提案しているのです。今は臨床研修で大学を離れています。また大学に戻ってくれないと、キャリアパスがない。皆が本当に「ふらふら」している。パスを踏まないで漂っている医師が、ものすごく増えており、質も心配なのです。

 だから、私たちは、医師たちには全部大学に戻ってほしいと考えています。大学が、しっかりとしたキャリアパスを作って、私たち病院に医師を派遣してくれればいい。要するに大学が回復してくれない限り、我々は成り立っていかない。だから、大学を批判してつぶすのではなく、大学を魅力あるものにするには、求心力を増す必要があります。さもなければ、病院にとっても、卒業生も不幸だと思うのです。

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昔から…というよりもBlogを始める前、CBTの始まるときからずっと書いているのですけど(学生時代、CBTの試行は僕たち新臨床研修制度組からです)、CBTをやるのだったらどこの大学でも臨床研修をできるようにするべきだ。しかも、研修医に準じてある程度の医療行為を実施できるようにする

 

そんなことは学生時代から言っていた(というか、国対委員の会議でも、東医体の評議委員会の打ち上げでも、そんなこと言ってもだれも相手にしてくれませんでしたけど(/_;))

 

そうでないとおかしいんですよ。あの試験の意義が良くわからないから。国が臨床実習をできるかどうか判断する試験であれば、どこの病院に行ってもよいわけで、ある地度の医療行為も実施できると国が認めるべき試験のはず

 

あと、どうでもいいですが僕も医師は理系というよりは文系だと思っています。僕自身も文系ですよ。小中高の全ての先生が「お前は文系だろう!」というと思いますw

人間関係の構築が重要ですし、検査をする前に患者の話を聞き、身体所見を取るところで多くの疾患は診断確定ですからね。その診断確率をいかに上げるかのために検査があるわけで・・・。

 

あとは昔はちゃんと教えれば…と書いていますが、申し訳ありませんが覚えることが増えたと思っていただきたいものです。先生方の時代と比較したら、覚えることが増えすぎた。むしろ先生方に自分の専門分野以外の事もすべてわかりますかと聞きたい。

 

あとは専門医を持ったプライマリケア医ではなく、プライマリケアができる専門医ということですが・・・・専門医がプライマリケアをある程度できるというのは無理ではないですがアップデートは難しいと思います。専門医のところには専門の患者さんが来ているので、使わない知識を膨れ上げさせるのは難しいです。

専門医にプライマリケアを診させる…というのであれば、少なくともそこは専門病院ではなくてプライマリケアだと思います。プライマリケアの中に専門性があるのだと。そうでなくては回らないです。僕は大学病院で自分のできる範囲ではプライマリケア的なこともしていましたが

 

プライマリケア医がある程度の専門性を持つことは不可能ではないと思います。むしろ、そのほうが現実的ですが(救急の先生の中に、○○が得意という方がいますよね。僕の知っている先生方の中には・・・救急部に所属していて・・・サブスペシャリティとして消化器内科、消化器外科、脳外科、産婦人科・・・などなど)

 

研修医2年間を含めた4年間が大事だとは思いますが、それで日本の医療が変わる…というのはオーバーかと。重要ですよ研修制度。僕は今の制度は悪いとは思いません。ただ、研修医の自主性にかなり影響を受けるというのは確かですね。その為できる医師はすごくできて、全然ダメな医師もできてしまうかもしれませんが。

 

笑い話ですけど、一緒に研修していた医師が電話かけてきて、「すぐに部屋に来てほしい」と言ってきたので、何かあったかと部屋に駆けつけたらゲームしていて「もうすぐクリアなんだ。一緒に見ていってくれ」と言われて、苦笑したことがありますw

しかも見ていたら、ラスボスじゃなかったので病院に帰りましたw

 

彼は彼の考えがあり、自分に関係のない研修をしているなら遊んでいますということみたいでしたが・・・・。専門の診療科は変えて活躍してらっしゃるらしい・・・とか。役に立ったのか研修は?

 

まぁ、どのような教育体制を作っていくにしても今の医師数、医局の状態(教育体制)では厳しいのではなかろうかと思っています

 

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急性期病床群の話:僕は微妙と思っています

2012-04-23 18:20:35 | 医療

さて、続けます

 

m3の記事ですが、TwitterにしてよいのならBlog記事もありだろうと思ったので紹介します。

ちなみにおおもとは

「急性期医療」修正案も、議論煮詰まらず- 社保審医療部会・作業グループ

 社会保障審議会医療部会に設置された「急性期医療に関する作業グループ」(WG、座長=田中滋・慶大経営大学院教授)は20日に会合を開き、急性期病床の位置付けを医療法上で明確にして、一般病床を機能分化する当初案について、厚生労働省が「急性期」に限らず、地域医療全体で、求められる医療機能をそれぞれ位置付けていくなどとする修正案を提示した。これに対し、医療者側の一部委員が慎重論を主張し、議論は大きくは進展しなかった。

厚労省は、これまでの議論を踏まえ、「急性期」のみを取り出し、医療法上に位置付けることで、急性期以外の機能が軽視されるとの懸念に配慮し、地域医療全体で医療機能を位置付ける修正案を提示。医療法において「認定」する仕組みも改め、弾力的に運用できるよう「登録」制度などに見直す方針を示した。また、法制度化することで硬直的になるとの指摘を受け、基本的な枠組みは法律で定め、医療機能の類型や基準については、省令などで運用するとした
 厚労省の示した修正案について、高智英太郎委員(健康保険組合連合会理事)は、「地域医療の全体像をワイドにとらえ、必要な医療機能を求めていくことは非常に大事」と述べ、急性期以外も含めて機能分化を進めることを支持した。一方、中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「現在の地域の医療体制が、地域のニーズに合っていないのか。厳しい医療資源の中で、現場の苦労により、絶妙なバランスをとってやっている」と強調。「認定」を「登録」などに見直す案についても中川氏は、「要件があって登録ができるので、認定も登録も厳しさは変わらない」と語った。

 昨年末に議論をスタートし、この日でWG会合が6回を数えるにもかかわらず、方向性が出ていないことに不満の声も聞かれた。相澤孝夫委員(日本病院会副会長)は、「急性期病床を一般病床の中に位置付けるのかが、議論されずに、認定、登録などとやっていても意味がない」と指摘。花井圭子委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は、「団塊世代がすでに、前期高齢者に突入し始めている。会合が続けられてきたが、残された時間はそれほど長くない。早く2025年に向けた体制をどうするかの議論が必要」と述べた。

 厚生省は医療法など関連法案を、2月に閣議決定した社会保障・税一体改革大綱で明示されたように、今通常国会を含め、速やかに国会提出する方針。この日の会合で、同省の大谷泰夫・医政局長は、「仮に登録して、要件を満たさなくなれば急性期医療ができなくなるという直結性はない。まず現状を把握する枠組みだ」と理解を求めた。

「急性期病床群」、日医が反対姿勢崩さず

http://www.m3.com/iryoIshin/article/151913/

厚労省が「医療機関の登録制度」などへの修正案提出

2012年4月21日 橋本佳子(m3.com編集長)  

 厚生労働省の「急性期医療に関する作業グループ」(座長:田中滋・慶應義塾大学経営大学院教授)が4月20日開催され、厚労省は従来の方針を転換、「急性期病床群」(仮称)に限らず、一般病床全体の機能区分の明確化を進めるとし、都道府県が「急性期病床群」(仮称)を「認定」するのはではなく、医療機関による自主性を踏まえた「登録制度」で対応するなどの修正案を提案(資料は、厚労省のホームページに掲載)。しかし、日本医師会副会長の中川俊男氏がこの修正案にも異議を唱え、議論は深まらず、修正案への合意は得られなかった。もっとも、厚労省は、「あくまで今通常国会の医療法改正法案提出を目指す姿勢には変わりはなく、関係者との調整を引き続き進める」としている。

 急性期病床群(仮称)とは、「社会保障・税一体改革成案」で打ち出されたもの。都道府県が一定の条件を満たした急性期病床群(仮称)を「認定」し、国民や患者に対し病床の機能を目に見えるようにし、適切な医療アクセスにつなげることが厚労省の狙い。しかし、一般病床から「急性期」のみを取り出し議論することや、医療法において「認定」という厳しい仕組みを導入することへの懸念がこれまでの議論で呈せられていた。このため、厚労省は当初案を修正、(1)一般病床全体の機能区分を明確化する、(2)都道府県による「認定」ではなく、医療機関の自主性を尊重し、都道府県に申し出、それを受けて都道府県が一定の基準を満たしているかを確認する「登録制度」にする、などの制度を提案。

 他の医療関係団体の委員はおおむねこの修正の方向性を支持したが、中川氏は、この修正案に対し、「表現は変わったが、内容は何も変わっていない」と問題視、「登録制度になっても、一定の基準を満たしているかを確認する仕組みであるため、認定と変わらない。しかし、少ない人員配置でも、急性期医療を担っている病院もある。この機能区分は、診療報酬と必ずリンクしてくるため、登録ができないこうした病院が低い報酬での医療を強いられる懸念もある」とした。また中川氏は、2012年度診療報酬改定でDPC病院は3区分に分かれたが、「そのI群(大学病院本院)、とII群(I群に準じる病院)を中心に、急性期病床群(仮称)をイメージしているのだろう」と指摘し、出来高制でも高いレベルの急性期医療をやっている病院はあるとした。

 さらに、「そもそも一般病床全体を議論するとしているが、根幹は社会保障税一体改革成案であり、急性期医療への人と財源の投入を狙っていることには変わりはない。そもそもこの成案は誰が作ったのか。厚労省の官僚なのか。私には非常に限られた人が作ったように思える。それが錦の御旗のようになり、すべてが一体改革の絵に突き進むように見えてならない」と、厚労省に疑問を投げかけた。

 これに対し、厚労省医政局長の大谷泰夫氏は、「原案をどこで誰が書いたかが問題ではない。社会保障・税一体改革成案は、政府が閣議決定し、了承した政府全体の案。我々の提案は、急性期だけを取り出して、そこに資源を集中する案ではないことだけは言っておく」と回答。

 中川氏と厚労省、あるいは委員間で様々なやり取りが展開されたが、議論の多くは平行線をたどった。田中座長は、次なる展開を見いだせず、予定の2時間を30分も早く切り上げ、会議は終了した。

 「今の医療体制が、ニーズに合っていないのか」と中川氏

 中川氏と厚労省総務課長の池永敏康氏との間では、例えば、次のような議論が展開された(下記はやり取りの抜粋)。

中川氏:急性期に限らず、地域医療の全体像を踏まえた中で、求められる医療機能をそれぞれ位置付けていくこととする。位置付けるべき医療機能等の詳細は、引き続き十分に検討』とあるが、どこに位置付けるのか。

池永課長:医療機能の分化を推進していくのが目的。一般病床は、幅広い機能を担っている。今回の提案は、急性期だけでなく、一般病床の機能分化を進める。そのために、機能の類型化ができるという仕組みを医療法に位置付けるのが趣旨。機能の類型をどう位置づけるのか、2つか、3つかは分からないが、その枠組みを設けようということ。その際に、より公(都道府県による認定)に力点を置くのか、あるいは医療機関の自主性に力点を置き、登録制度という弾力的な運用にするかだが、その骨格を医療法に位置付ける。

中川氏:医療法に、急性期、亜急性期、慢性期などと位置付けるのか。数はどれくらいか。

池永課長:数を規制するのではなく、医療法には機能の類型ができることを定める。

中川氏:「急性期はこうあるべきだ」と書くのか。

池永課長:機能の類型化をすることができるための骨格を法律に書く。

中川氏:今の制度とどう違うのか。

池永課長:医療法には、「一般病床」と書かれているだけ。より良い医療体制を構築するために、医療機能の分化を進める。

中川氏:現在の地域医療体制が、地域医療のニーズに合っていないというのか。私はこの苦しい中で、絶妙のバランスを取って、医療が行われていると思う。しかし、地域医療がうまくいっていないことが前提なのか。この点だけを聞きたい。

池永課長:将来に向けてより良い制度にしていくための提案だ。

中川氏:今の体制をどう思うかを聞いている。

池永課長:これから高齢化が進展する際に、今のままで医療の体制でいいのか。そのために今の議論がある。

 「患者にとっての情報は不十分」、健保連理事

 こうした議論に続き、健康保険組合連合会理事の高智英太郎氏は、「基本的に課長の意見を支持する。医療者側からみて、医療者が相当やっているのは分かるが、患者にとって地域医療を有効に活用する視点が不十分。都道府県にもきちんとした情報がない。適切に医療資源を活用するためにも課長の意見を支持する」とコメント。その後には、中川氏と高智氏との間で次のようなやり取りが続いた。

中川氏:自分が病気になった時に、どこ行ったらいいか、分からずに困っているのか。私は絶妙のバランスで提供していると思っている。

高智氏:中川先生の議論は一方通行。

中川氏:現状ではうまく言っているが、将来、うまく行かなくなるというなら分かる。

高智氏:現状が全然ダメ、とは思っていなが、これでよいと思うべきではない。

中川氏:医療法には優しさがなければいけない。医療法で、「急性期はこうあるべき、慢性期はこうだ」などとガチガチに決めたら、優しさがなくなる。事の重大さを考えると、医療法で厳密に定めるべきではない。

高智氏:現状について、何も動く必要がない、議論そのものが必要ないという認識になるか。

中川氏:急性期から在宅まで、切れ目のない医療がどうあるべきか、その議論を始めるべきと言っている。全く問題がないと言っているわけではないが、できる限り、できる範囲の中でうまくやっていると思っている。したがって、拙速に今の議論を進め、改悪してはならないと思っている。

高智氏:拙速とは思っていない。最終的なあり方として、きちんとやるべきことがある。医療に優しさを取り入れることはある意味、当然であり、それが欠けてくるという指摘が分からない。

中川氏:事務局(厚労省)が拙速だと言っている。医療法改正案を出そうとしているために、拙速と言っている。

 このような一連の議論を受け、大谷局長は、「今の議論は、社会保障審議会医療部会で約1年間、現状の医療体制についてどんな問題があるかを議論してきた。その結果、ある程度、医療の機能分化が必要だとされ、今の議論に至っている。1年間の議論を振り出しに戻す必要はないという前提でやっている。我々が医療法改正を検討しているのは、段階世代が後期高齢者に入る時代が迫っているため。今の医療資源を踏まえ、効率的な医療提供体制を早く組んでいかなければいけないという危機感を持っている。地域住民が自分たちのエリアの状況を把握するのが難しい状況にあり、その解決のために今の議論をしている。一歩前進させたいという現状認識からやっている」と述べ、議論を前に進めることを求めた。

 「最初から機能分化が必要ない、では議論にならず」、日病副会長

 中川氏と日本病院会副会長の相沢孝夫氏との間では、以下のような議論が展開された(下記はやり取りの抜粋)。

相沢氏:急性期病床群(仮称)などの機能分化が必要かという議論がまず必要。その後に、認定か登録制度という話をすべき。今の急性期医療は診療報酬で規定されている。10年前と比較するとかなり機能分化が進んだ。しかし、今後の少子高齢社会で、このまま診療報酬で進めるのかいいのか、社会の変化に対応できるのか。私はどこかで法的なものでやっていく必要性があると考えている。これまでは、診療報酬という経済的な誘導で進めてきたため、正しい機能分化になっているのかは疑問。ただし、一方で、基準を決めて線引きして機能分化を進める方法で、果たしてうまく行くのかについても多少疑問がある。

中川氏:大筋としては理解できる。しかし、診療報酬で誘導することが、100%問題なのか。また厚労省案には、「都道府県は、確認した医療機能の情報を活用し、地域の特性を踏まえたビジョン(地域医療計画等)を描き、医療機関自身はこのビジョンを経営戦略の指標として活用していくことが可能」としている。事務局の説明に矛盾がある。

相沢氏:一般病床にはいろいろな機能があり、それで地域の医療が成り立っている。もし法律で急性期医療を規定すると言った時に、省令でその基準は変えられると思っている。どんな分け方がいいかは分からないが、一般病床がこれまでのように、「ごちゃごちゃ」としているのはよくない。そこでいかに線引きするかだが、これまで医療を担っている病院が困らないようにする。そのためには法律にどう書くかがカギになる。初めから機能分化をしないと言うと、議論が止まってしまう。この辺りはコンセンサスを得ることが必要ではないか。ある程度、機能分化を図っていく中で、どう線引きするかを提示してもらうことで、具体的な議論が進む。日本の急性期医療に関する実態については、はっきりとしたデータがない。こうしたデータを十分に集めて明らかにしていくのであれば、今の議論でいい。最初から機能分化が必要ないというと議論にならない。

中川氏:急性期病床群(仮称)を位置付けるべきではない、と思っている。それを言った瞬間に議論は終わるのだろう。そこで百歩譲って、議論するならどう位置付けるかを議論するために、本検討会の設置を了承した

 さらに、急性期医療に関する実態をはじめ、各種データを収集して分析し、議論を進めるべきという話などが展開された。しかし、例えば、平均在院日数をはじめ、何が急性期医療に関する指標になり得るのか、といった難しさもあり、一口にデータを収集・分析すると言っても容易ではない。そのほかの委員とも中川氏は意見を交わしたが、「社会保障・税一体改革の絵に突き進むように見えてならない」という思いが中川氏の心底にあるからか、議論は膠着状態から脱するには至らなかった。

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病床の議論をするまえに医療をどう作るのか議論してほしい。

 

確かに様々な患者さん、さまざまな病床、さまざまなニーズがあると思うのですが、病床の使い道を議論する前にどういう医療提供体制を作るのかを議論してほしいように思う。急性期病床を各病院に作るのか。

 

僕の頭に描いているものをうまく説明できないのですが、まずはこの資料の中で気になるところを抜粋します。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000028pje-att/2r98520000028pnv.pdf

地域において均衡のとれた機能分化を推進するための制度(別紙①)
① 医療機関が自ら担う医療機能や今後の方向性を自主的に選択し、都道府県に申し出ることを通じて、その機能について確認を促す仕組み(登録など)を設ける(別紙②)。
② 都道府県は、確認した医療機能の情報を活用して地域の特性を踏まえたビジョン(地域医療計画等)を描き、医療機関自身はこのビジョンを経営戦略の指標として活用していくことが可能。これらを通じて、地域において均衡のとれた機能分化を推進し、地域医療の充実を図る。
③ 住民や患者にとっては、その情報等をもとに各医療機関の機能を適切に理解しつつ利用していくことにつながる。

 

都道府県は、確認した医療機能の情報を活用して地域の特性を踏まえたビジョン(地域医療計画等)を描く

医療機関はこのビジョンを経営戦略の指標として活用(自院の医療機能の自主的選択へ)

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多分ですけど、この考え方で行くと地域医療を複数の病院で分担することになります。僕はその考え自体には賛成です。そうでなくては恐らくこの先持たないでしょう。機能と医師をそれぞれに応じて集中させ、効率運用する(医療資材なども含めて運用)ことと引き換えに、すべての病院群は赤字になるような病院があれば相互に補完し合う必要があるのではないかとも思います。

 

それがもしどこかの病院がそれに甘んじて、働かなくなるようなことがあれば…とは思いますが、我々医療提供者の今の数ではそのようなことは不可能だと思うし、そんな医療従事者はいらないから追い出せばよい。追い出されれば(もしくは俗にいうリピーター医師は)、次の病院ではきちんと働かざるを得ないでしょう。リピーター医師と書きましたが、同じ診療科の人間が集中していたら、確実に指導する人間はいると思いますが・・・。

あとは予防医療などの取り組みや家庭医との連携など、先に考えるべきものがあるように思います

 

全体像が見えていないのに各論に入っていることがおかしいように思います

 

あと、少し書いていらっしゃいますけど「がちがち」に決めすぎると応用性がなくなりますよ。僕は決めるときに枠しか決めていません。計画をきちんとしすぎると、計画の修正が増えすぎると思うので、大きな枠組みを作ってから微調整する方が好きです。

ま、これは僕の考えですけど。

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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旭中央病院の危機:これからどちらに動いていくのか

2012-04-23 17:54:48 | 医療

こんばんは

 

昨日まで出張しておりました。2日間、かなり寝不足だったので仮眠をとったら12時間経過していました。

ちなみに今日はそういう理由もあり代休です。というか体調を崩したらしく、頭痛もひどいのですけど。

 

ようやく頭痛がおさまり、すこし動き出したところです。

 

さて、今日はまず千葉県東部の基幹病院の一つ、旭中央病院の記事を紹介します。

 

旭中央病院、救急を制限/内科医減が深刻

http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000001204210002

2012年04月22日

 県東部の中核病院、国保旭中央病院が4月から、救急の受け入れを制限している。内科医が大幅に減ったことが原因で、外来の診療にも影響を及ぼし始めている。同病院は受診者数を減らすため、「病状が安定したら近くの医院で受診を」と呼び掛けている。
 同病院によると、病院全体の常勤医師数(研修医を含む)は、昨年度の253人から239人に減った。深刻なのは、59人から50人になった内科。救急現場で働き盛りとなる免許取得6年目前後の医師が抜け、補充できなかった
 救急にあてる医師が足りないため、脳卒中患者については、東金市や山武市、茨城県からの救急車の受け入れ制限を決め、4月から実施している。同病院で年間に受け入れる救急車(約6千台)のうち、両市の患者数は12%、茨城県からは11%になる。
 両市の患者は原則、千葉市内の病院に搬送されるという。同病院は「医師の補充を急いでいるが、短期的な解決はできない。このままでは圏域の医療を守れなくなるので制限せざるをえなかった」という。
 内科の中の一部の診療科では、入院や外来診療にも影響が出かねない状況だ。
 呼吸器内科は現在2人の専門医が外来診療をしているが、うち1人は今夏に退職を決めている。同病院の肺がん患者の新規患者数は県内で3番目に多く、医師1人あたりでは最多。すでに新規患者の一部は千葉市内の病院を紹介している。
 新人医師からは、定数を大幅に上回る臨床研修の希望がある。だが「指導役の中堅医師が少なくなれば、研修希望も減る。そうなると病院自体の魅力が下がり、さらに人が減る悪循環になる」(指導医の1人)という懸念も出ている。
 同病院は、生命に危険が及ぶような重篤な患者を扱う3次救急を担う。入院が必要なけがや病気への対応が本来の役割だが、軽症者の対応にも追われている
 1日の外来患者数はここ数年、3100~3250人に上る。患者数を減らすため、紹介状がない受診を後回しにしたり、薬だけの通院をなくそうと処方箋(・・せん)の日数を延ばしたりした。
 だが、地域の高齢化率の上昇などもあり、効果は上がっていない。同病院広報部は「どうしてもここで診てほしい、という人を拒めない」と悩む。
 同病院に負担がかかる一因は、県東部の医療機関の縮小だ。
 隣接する銚子市の市立総合病院は2008年9月、医師不足や市の財政難などを理由に休止。10年5月に診療を再開したものの、手術や入院は大幅に制限されたままだ。
 本来、山武市や東金市の保健医療圏域は、旭市がある香取海匝圏域とは別。しかし、現在両市では救急機能がある基幹病院が弱体化しており、そちらからの患者流入も止まらない。
 一方、基幹病院としての義務は高まる一方だ。09年からは県の委託で、救急車の搬送先が見つからない場合、必ず受け入れる役目を負った。当初の年間受け入れ件数は200台だったが昨年は600台になった
 同病院の伊良部徳次副院長は「患者さんには申し訳ないが、安定した状態になった方は地域の医療機関への通院に切り替え、緊急性が高い方を優先させてもらいたい」と話す。(重政紀元)

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ということで、千葉県西部の基幹病院の一つ旭中央病院が危機に瀕しています。

 

以前、銚子市立総合病院の件でも「旭中央病院との連携」に関して書きましたが、このままいくと連携どころか周辺地域の医療がすべて一気に雪崩を打つようにつぶれるかもしれません。

だって、今まで救急なども集中してきた最後の砦が「悪循環」になりかけている。それを止めることは・・・ここに医師が集中する以上に患者が集中したことを考慮し、柏原病院やその他の地域のように「医師も人間であり、家族もいて、疲れもする」ということを理解していただくほかはないだろうと思っています。

 

本気で旭中央病院に「最後の砦」としての機能を義務づけたいのであれば、それ以外の仕事はできるだけ免除できるようにしないと…と思う。

 

旭中央病院はよい病院だと思っていたので、そこが「悪循環に陥る」ようになるのは悲しいことです。

 

ここからどっちに動くか。旭中央病院の危機を知り、地域がそれをどうにかしようとして動けば「今まで以上に良い病院」になるかもしれません。しかし、このまま放置するのであれば悪いうわさはますます広がり、医師離れも加速して地域ごとドミノ倒し状に崩壊するのではないでしょうか。

 

そんなことを思ったりしています。

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山中教授にミレニアム賞 iPS細胞開発

2012-04-21 20:00:00 | 医療

また、予約投稿です

 

 フィンランド政府などが出資するフィンランド技術アカデミー(本部・ヘルシンキ)は19日、優れた技術者に与える2012年のミレニアム技術賞を、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の生みの親、山中伸弥・京都大教授(49)ら2人に贈ると発表した。

 もう1人はコンピューターの無償基本ソフト(OS)「リナックス」を開発した、フィンランド出身のリーナス・トーバルズ氏(42)。授賞式は6月13日にヘルシンキで開かれ、賞金100万ユーロ(約1億600万円)以上が贈られる。

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素晴らしいことですよね。医学だけでなくあらゆる分野の中から、日本人の医療従事者が選ばれたことは本当に素晴らしいことだと思います。

僕も将来、こういう風に多くの人に貢献するような仕事がしたいものです。

 

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TPP反対集会:あたらしい道はないのかな?

2012-04-20 20:03:25 | 医療

予約投稿です

 

 日本医師会(日医)などでつくる国民医療推進協議会は18日、環太平洋連携協定(TPP)の参加に反対する集会を開き、「わが国の医療が営利産業化し、受けられる医療に格差が生じる社会になる。国民皆保険の崩壊へと導く交渉参加に断固反対する」との決議を採択した。

 集会には与野党の国会議員や医師ら約800人が参加。日医の横倉義武会長は、野田佳彦首相が今月末に予定する訪米でオバマ米大統領とTPP交渉参加について話し合うことを踏まえ、「交渉が始まったら(米国型の医療制度の導入を迫られる)危険性が非常に高い」との懸念を表明、政府の対応を批判した。

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TPPに関しては本当によくわからないのですよね。情報が錯そうしすぎ。

 

前も書きましたが、賛成派と反対派の代表格である古賀先生と中野先生とで話し合ってほしい。そこでいろいろ話が出て、二人がお互いをわかりあって新しい考え方になっていけばなぁと思う。

 

以前から書いていますが、全員がメリットを得ることができるようにうまく利用できればいいと思っています。

 

どんなものも賛成する人、反対する人がいると思うのですが…見方によるのだと思いますので、国民全体にそれぞれの見方を示したうえで(その過程で)新しい方向性を見つけてほしい。

 

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医学部新設反対の動き

2012-04-20 20:00:00 | 医療

こんばんは

 

今日から出張で不在ですが、その間の記事を予約投稿させていただきます。それ故、コメントの返信は帰ってきてからさせていただきます。

 

記事の紹介からです

 

県医師会長、知事の医学部新設構想を批判 神奈川

 黒岩祐治知事が打ち出した医学部新設の構想。県医師会の大久保吉修会長(76)は18日、朝日新聞の取材に対し、「知事の言う国際的な人材を育成する医学部では、医師不足の対策にならない」と反対の立場を表明した。

 県が17日に発表した構想では、横浜・川崎市臨海部の「ライフイノベーション国際戦略総合特区」にキャンパスを置く予定で、「国際的な医療人材の育成・交流」の拠点にするとしている。

 この構想に対し、大久保会長は「根拠や中身がはっきりせず、実現性があるようには見えない」と批判。「卒業生が海外に行ってしまえば、県の医師不足対策にはならないのではないか」と話した。その上で、「医学部をいったんつくると、なくすわけにはいかない。定員増で対応すべきだ」と訴えた。

 また、県医師会のメンバーも委員に加わって構想の素案を作ったプロジェクトチームの最終報告書の内容を変えた手法についても問題視。「チームで議論した意味がない。知事のパフォーマンスとしか思えない」と話した。

 報告書では、新設の課題にも触れた両論併記だった。医師会には、発表の直前に「知事の強い意向で、表現を変えたい」と県幹部から通告があったという。

 医師会は19日、理事会を開いて今後の対応を検討する。(佐藤陽)

〈キーワード〉医学部新設の動き

 医師の供給過剰を防ぐため、文部科学省は大臣告示で医学部の新設を認めておらず、1981年の琉球大以降、新設はない。医師不足を受け、黒岩知事は昨年末、新潟県知事らとともに、国に新設を認めるよう要望。宮城県では、東北福祉大が仙台厚生病院と連携して新設の準備を進めている。新潟県でも地元医師会は、新設に反対している。

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被災3県医大が医学部新設けん制する要望書
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/37063.html?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter

 東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島3県の医科大学長、大学医学部長らは19日、平野博文文部科学相と面会し、医学部の新設は「被災地の地域医療崩壊をもたらす」として、慎重な対応を求める要望書を提出した。全国各地での医学部新設の動きをけん制したものだ。

 要望書は、岩手医科大の小川彰学長、東北大の大内憲明医学部長、福島県立医科大の菊地臣一学長の3人が連名で提出したもので、医学部が新設されれば、病院勤務医を教員に振り替える必要があり、3県の医師不足を加速させるとの危惧を表明した。一方で、現状の医師不足は、2008年度以降の医学部定員増により、将来は解消が見込まれると指摘。同年度に入学した人が卒業する14年度以降、医師数は増加に転じ、17年には必要医師数が充足するとの見通しを示している。

 その上で、医師不足対策に最も重要なのは、地域間・診療科間の偏在解消だとして、偏在解消による被災3県への支援を求めている。
 さらに、被災3県の医学部は、必要であればさらなる入学定員増も考慮するとした。既存の医学部の定員増であれば、病院医師減少への影響が最低限に抑えられ、医師が過剰となった時の定員削減も容易だと指摘している。

 同日に記者会見した岩手医科大の小川学長は、「どこに医学部が新設されたとしても、被災県の医師が教員として引き抜かれれば、ぎりぎりの状態でやっている被災地の医療が壊れる」と訴えた。
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それぞれの考えで医学部新設に反対されていますが、特に被災地3県の知事の意見はそうも考えられるだろうなぁと思います。
 
僕もその可能性はあると思いますし、今の段階では「医局の待遇改善」「教育体制強化」から「定員増」でまず対応と思っています。
 
ただ、国際医療福祉大学は自分たちで自己完結する予定なのであれば、そこはよいのではないかとも思っています。

 

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医局に帰る医師は横ばい:変なプレッシャーをかける前に自分たちが変わるべきでは?

2012-04-19 23:23:49 | 医療

出張前にいろいろ書きます

 

 
 全国医学部長病院長会議は19日、2009年の医師国家試験合格者のうち、初期臨床研修を修了し、11年度に大学病院の後期臨床研修に進んだ割合(帰学率)が52.9%で、10年度の51.7%からほぼ横ばいだったとの調査結果を明らかにした。現行の臨床研修制度を導入する前は、7割を超える医師が大学に残留していたが、導入後の帰学率は5割台で低迷しており、同会議の森山寛会長(東京慈恵会医科大附属病院長)らは、十分な教育を受けていない医師の増加を懸念している。

 同会議の「地域医療に関する専門委員会」は、77大学を対象に帰学率を調査した。
 森山会長は、帰学率の低迷を問題視し、「(後期研修先が)小さい病院だと、どうしてもスキルアップしていかないのではないかと心配している。大学病院に長くいろとは言わないが、どこかで1回通った方が、大人数でいろんな科のことを学べ、視野が広がる」述べた。
 吉村博邦顧問(北里大名誉教授)は、給与だけで研修先を選ぶ医師がいると指摘。「しっかりと後期研修できる環境ですることが重要。大学だけがよいとは思わないが、このままでは、きちっと研修を受けていない医師が増えてくる可能性がある。本当はそれを把握して、ちゃんと後期研修を受けさせるシステムをつくることが大事」と述べた。

 森山会長は、低迷する帰学率を上げる方策として、大学病院の充実した教育面の情報を各病院のホームページなどを通じて公表することや、給与の改善を挙げた。

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確かに指摘されている通り、待遇だけで研修先を決めている人もいると思う。まぁ、そのような人間は大学病院に行ったから十分な研修ができるとは思えないですが。

 

ただ、大学病院に行けば視野が広がるかと言えば、そうでもないのではないかと思う。どうしてもその医局のやり方、考え方になってしまい「視野が狭まる」ように思う。ある友人は「僕のいるところは○○大学の医局しかないので、医局同士の縄張り争いもないから調整とかは楽だよ」と言っていた。

 

本来は大学によってやり方が違うのを互いに学び合い、より良い「第3案」を作り続けていくのが最良だと思っている。仮に同じ情報があったとしても、地域や人物、そこで使用できる機材…さまざまな要素で同じやり方にはなっていかないと思う。

 

研究を見せ合えとは思わないが、臨床というものは情報を共有して、患者さんのため、国民のために尽くすべきだと(研修医のころから)思っている

むかし、CBか何か雑誌の取材に答えたころもそう考えていたが、今も考えは変わらない。僕は臨床に関しては情報を共有、医局の横断化を目指すべきだと思う。その調整を行う組織は必要かもしれないが・・・

 

僕はもし各医局が横で連携して、大学病院の医局に所属していたらさまざまな大学に1年ないし2年、人事交流という名目で人を派遣し合い、そこからより良い臨床手法を作り出すようになれば、専門分野で頑張ろうと思っている人間は必ず帰ってくると思いますけどね。

 

僕なら帰りますものw

 

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岩田先生の意見:「抗がん剤は効かない」に関して

2012-04-19 22:54:01 | 医療

こんばんは

 

今、帰ってきました。とりあえず、明日から出張でしばらく不在にするのと、明日も早いのでいくつか紹介記事だけ書かせてください。

Twitterを始めてから、いろいろな情報が入ってくるようになりましたが、岩田健太郎先生が近藤誠医師の「抗がん剤は効かない」に関して意見を述べられています

http://georgebest1969.typepad.jp/blog/

僕は一昨年でしたでしょうか、患者さんから近藤誠医師の本を持ち出されて、いろいろなことを言われた経験があります。

それに抗癌剤を使用する医師ですので、状況状況によっては有効な手段となりうることは知っています

 

 

また、時代は変わっている。分子標的薬が次々と出てきているので、固形がんでも高い有効性を示すものは多々あると思います

 

先日コメントをくださっていたiwanakaさんのお母様は肺腺癌によるがん性髄膜炎ということでしたが、タルセバが効果を示しているようです。少なくとも以前であれば延命すら難しかったのではないでしょうか。

 

岩田先生のBlogを読ませていただいて、感銘を受けたので紹介させていただきます。

 

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アイテムフェア(結婚式)とタキシード選び

2012-04-19 08:25:31 | 医療

おはようございます

 

今日はお休みをいただいて、結婚式のアイテムフェアに行ってきます

まぁ、選ぶのは奥さんに任せたいところですが・・・最終的に「いいと思うよ」というのが大事と・・・(笑

 

タキシードは奥さんのドレスが決まったので、こちらも選びに行きます。

 

ということで、もうしばらくしたら行ってきます

 

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再生医療の可能性;新たな可能性が増えるのはいいことです

2012-04-18 20:49:41 | 医療

さて、つづけます

 毛の根元にある2種類の幹細胞を採取して培養し、合わせて移植する方法で毛髪をほぼ完全に再生する技術が開発された。東京理科大と昭和大、北里大の研究チームが17日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。マウスの実験で移植した毛が周期的に生え替わったほか、男性型脱毛症患者の幹細胞などをマウス皮下に移植し、毛を生やすことにも成功した。
 男性型脱毛症は現在、毛が残った頭皮を一部切り取り、小分けにして毛がない部分に移植する治療が行われている。新技術と組み合わせれば、毛の本数を増やし、密度を高めて頭髪全体を再生できると期待される。
 東京理科大の辻孝教授は大塚化学の子会社「オーガンテクノロジーズ」(東京都千代田区)、男性型脱毛症治療の第一人者である北里大の佐藤明男特任教授らと臨床応用を目指している。 
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 生まれつき重い心臓病を持つ子どもへの心臓の幹細胞移植に、岡山大学病院新医療研究開発センターの王英正教授(心筋再生医学)らのグループが成功した。

 既に6人で心臓機能の向上を確認、5月にも厚生労働省に高度医療の承認を求めて申請する。子どもの心臓移植が進まない中、新しい治療法として注目される。

 全身へ血液を送る左心室が小さい「左心低形成症候群」が対象で、患者の心臓から幹細胞を取り出して培養後、カテーテルで戻して心筋を増強する。自分の細胞を使うため、心臓移植のような拒絶反応もなく、手術の負担も軽いとされる。

 王教授らは、2010~11年、中国地方在住の女児(当時1歳)に、18歳未満の子どもとしては初めて治療を実施、11年5月の検査で、心臓のポンプ機能が約10%アップしたことを確認した。

 その後、同じ病気の子ども6人(5か月~3歳10か月)に実施。このうち、手術後3か月が経過した5人への超音波検査で、血液を送り出す心臓のポンプ機能が最大23%向上し、心筋が増えたことを確認した。

 王教授らは学内の倫理委員会に諮った後、7人目の結果が出る5月中旬にも厚労省に申請。認められ次第、2年かけて乳幼児40人に幹細胞移植を行う計画だ。
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 有毒なアンモニアを生まれつき肝臓で分解できない重い肝臓病の新生児に対して、さまざまな細胞に成長できる胚性幹細胞(ES細胞)を使って治療する臨床研究を、国立成育医療研究センターの梅沢明弘再生医療センター長らが計画していることが18日、分かった。

 動物実験で安全性や効果を確かめ、数年後に治療を始めたいとしている。実施されれば、ES細胞を使った国内初の臨床研究になるとみられる。

 計画中の治療は、ES細胞からつくった肝臓の細胞をへそから注入するもので、肝臓移植ができるようになるまでの間、症状の悪化を防ぐのが目的だ。

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どの治療も臨床を通じて多くの患者さんに貢献していくのでしょうね。
 
素晴らしい話だと思います。ES細胞での肝臓の補充、心臓幹細胞移植は「生死」にかかわる疾患の患者さん・家族に将来の可能性を広げるものです。こういう発見が次々と行われていけばいいですよね。
 

ただし、臨床に直結する研究(Translatinal research)は医師が患者さんを実際に見て考えて出てくるのだと思っています。実際の患者さんたちを知っているから、研究をして患者さんの治療に直結していくのだと思います。
 
ただ、今の医師数では今後どうなっていくのか。昨日も東大や京大など主要な大学の論文に関して記事が出ていましたよね。

論文引用数、東大は世界16位 京大34位 阪大44位

 米国の学術情報サービス会社トムソン・ロイターは17日、論文の引用回数をもとにした世界の研究機関ランキングを発表した。4899機関中、東京大は16位。昨年の13位、一昨年の11位からさらに後退した。

 調査は2001年以降の引用数を集計した。ほかに100位以内に入ったのは京都大(34位)、大阪大(44位)、科学技術振興機構(61位)、東北大(69位)。上位となった分野別では、材料科学=東北大3位▽物理学=東大3位▽化学=京大4位▽生物学・生化学=東大3位▽免疫学=阪大4位などだった。

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今後どうなっていくのでしょうね。

 

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