風のささやき 俳句のblog

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詩や短歌も掲載しています

寒き朝あてにならないあと5分 【季語:寒き朝】

2023年12月09日 | 俳句:冬 時候

冬になってますます
子供たちが朝、布団の中から出てきません

部活の朝練があるので6時半に起こしてと言われて
こちらも遅れてはいけないと
必死に声をかけるのですが
あと5分といった後、しばらく起きてこないので
また声をかけに行く繰り返しです

眠いし、寒いしで
布団から思い切って起きる気持ちにならないことは
自分も良く分かっているのですが
こちらだけ、慌てた気分で
子供たちが呑気に起きてこないと
それはそれで頭にも来ます


いつもより子の手は温し寒き朝 【季語:寒き朝】

2023年12月02日 | 俳句:冬 時候

三男と手を繋ぎ家を出たのですが
その日は寒い風が吹いていたせいか
三男の手がいつもよりも暖かく感じられました

自分も体温は低いほうではないのですが
子供の体は新陳代謝が活発だからでしょうか
三男の手はとても温かく感じられます

小さなカイロを手に握り締めているようで
別れ際には、その手を離したくはなくて
少しぐずぐずとした自分でした


ほどけ行く飛行機雲あり小春空 【季語:小春空】

2023年11月25日 | 俳句:冬 時候

海外から帰り着いたお昼時は
思った以上に温かで
肌に沁み込むような寒さをイメージしていたのですが
良い意味で肩透かしにあいました

飛行場からバスに乗り込んだのですが
車窓から見る冬の空には
二本の飛行機雲が並列で線をなし

その地上に向かっている方は
解けて行くような広がりを見せていたのですが

まるで何かの物体が
白い筋を引きながら空から墜落して
地上近くで破裂し砕けたような
そんな姿でした

そんな痕跡も飲み込んで
何事もなかったように消していく
静かな冬空がそこにありました


節分の月や鬼らは何処迷う 【季語:節分】

2023年02月04日 | 俳句:冬 時候
節分が平日ということもあり
特に恵方巻を食べることもなく
子供たちからはつまらなかったと
文句を言われました

10時頃には帰って来たのですが
家の中はいつもの散らかった状態
片付けをして、洗濯をして
洗濯が終わる頃には11時を過ぎていました

とりあえずバスタオルだけでも
外に干しておこうかと
ベランダに出ると空には明るい月

それに照らされた街角を眺めていると
家を追い出された鬼たちの姿が想像されて
何処を迷っているのかなと
視線を彷徨わせたりしていました

 # 2020 冬に

亡き母の夢まだ凍むや目覚め時 【季語:凍む】

2022年02月26日 | 俳句:冬 時候

時々 亡くなった
母の夢を見ます

心温まる夢のときもあるのですが
その日は母が離れてゆく夢

冬の朝のこと
起きると体も震える感じでした

もう随分とたつのですが
今でも亡き人の喪失感に
心寒く感じます

(Haiku)
Numbed by winter’s chill,
Mother’s dream, sorrow’s embrace,
Waken, heart in pain.


春近し山で座したる眩しさは 【季語:春近し】

2022年02月05日 | 俳句:冬 時候

子供たちが小さな頃
一緒に高尾山に登りました

リフトからちょっと歩いた所の
ベンチに座り
喉が渇いたというので
ジュースを飲ませ
リフトに乗る前に買った
ポップコーンを食べさせました

最初のうちは僕の横に
子供の一人が座っていたのですが
太陽の陽射しを直接受ける側のせいか
眩しいといって席を移動しました

子供なのにだらしないと思いつつ
確かに以前よりも強くなってきた
陽射しを感じていました


待つ風に身は縮むなり寒の闇 【季語:寒の闇】

2022年01月29日 | 俳句:冬 時候

年も明けてから陽射しが
少しずつ強くなってきていることを
肌で感じられるようになってきましたが

まだまだ風は冷たく
朝夕はコートのボタンもしっかりと止めて
俯き加減に道を歩いています

その夜も一日の仕事を終えて表に出ると
待ち構えていたように風が襲いかかり
身震いを感じるような冷たさに
まだ冬であることを実感しました


冬至なり葉は足元にカサリかな 【季語:冬至】

2021年12月25日 | 俳句:冬 時候
冬至の日
スーパーでは柚子風呂用に
柚子が目立つところに並んでいました

季節を感じられていいなと
手に取り眺めたのですが
どうせ子供たちと入るお風呂ですので
ゆっくりと柚子の香りを
楽しめそうにはなく諦めました

この時期
街路樹も丸裸のものが多く
枯葉も乾いてカサカサとしています

時々自分の足に踏まれる
不注意な枯葉がいるのですが
木から離れて大分たつのでしょう
乾いた音をして壊れてしまいます
こうして少しずつ
枯葉は姿を消していくのでしょう

枯葉のカサカサという音を聞いたら
お湯の温もりが恋しくなり
またお風呂のことを思っていました

冬日さす墓地の御霊のなお燃えて 【季語:冬日】

2021年12月18日 | 俳句:冬 時候
朝電車に乗っていたら
車窓から墓地が見えました

自分の目線の上にある
小高い丘のようになった場所に
作られた墓地でした

その墓地全体が冬の朝の陽射しを受けて
燃え立つように見えていました

普段は静けさを感じるばかりの墓地ですが
紅に彩られたその場所では
眠っていた命が呼び起こされて
動き始めようとしているかのように見え
とても不思議な光景に感じられました

僕は後ろに遠ざかってゆく
生気を帯びた墓地を目で追っていました