風のささやき 俳句のblog

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詩や短歌も掲載しています

風呂吹や父異郷から戻り来て 【季語:風呂吹】

2019年12月14日 | 俳句:冬 人事
仕事でカンボジアに出かけていた父が
一週間ぶりに帰って来ました

きっと和風の料理が食べたいだろうなと思い
その日の夜の献立を考えながら
買物をしていたのですが

大根が目についたので
一品は風呂吹大根を作ろうと思い立ちました

早い時間から圧力鍋も使って
仕込んだせいでしょうか
美味しくできたようで
評判も良かったのでホッと一安心

久しぶりの和食だったので
なおさらだったと思うのですが

ゆるむ紐直す要なし雪囲い 【季語:雪囲い】

2019年02月16日 | 俳句:冬 人事
大分前のことですが
秋田を訪ねた際に
雪の少なさにビックリしました
正月に来た時よりも
雪が少ない感じでした

前の年には
すでに一度
屋根の雪下ろしを
終えていたとのことです

滞在中は太陽の光りが
降り注ぐ時間があり
子供を連れて日光浴をさせていたのですが

家々の庭の雪囲いが
肩透かしを食らったように
手持ち無沙汰に見え
気のゆるみからか
結びつけている紐も緩んだように見えました

このまま行ったら
紐の緩みも直す必要は
ないのだろうなと思っていました

赤き灯が滲み出すまで雪下し 【季語:雪下し】

2018年01月20日 | 俳句:冬 人事
微力ながら雪下しを手伝いました
初めての経験と言う事で
我ながら効率が悪かったのですが
気分だけは一生懸命でした

さらさらの雪なのですが
運んでいると思った以上に重く
寒いはずなのにじんわりと汗ばんで来ます

段々と調子が出てきて
もう暗くなるからととめられたのですが
雪かきを続けていると
遠くに赤い街灯が一つ点るのが見えました

また降り止まない雪に滲み
どこかぼやけた街灯

それを見ていたら寂しい気分を覚えて
家に入ろうと作業の手を止めました

赤子泣く声も聞けずに風邪籠り 【季語:風邪籠り】

2018年01月06日 | 俳句:冬 人事

お腹の風邪をひいてしまい
外に出るのも億劫な状態で過ごしました

秋田にいる子供たちに
会いに出かける予定だったのですが
うつしてはまずいと
出かけることを断念しました

むかむかとする胃に苦しめられながら
布団で寝ていたのですが
子供たちのいない部屋は
あまりにも物静かに思えて

時としてイライラさせられる
その泣き声を聞きたいと思いました


鬼の面怖き方買う福は内 【季語:福は内】

2017年02月04日 | 俳句:冬 人事
節分になりスーパーに行くと
節分用の豆と鬼のお面とが売っていました

節分用の豆も何種類かあり
鬼の面は幾つか選べたりします

ここ数年は豆まきをした覚えもないのですが
そのお面につられ
思わず豆を買いました
それもちょっと鬼らしい
怖い表情をしたものを

こんな顔の鬼を追い出せば
家の中には福が残るかなと
そんなことを思っていました

赤子抱き膨らみきった冬着かな 【季語:冬着】

2016年11月26日 | 俳句:冬 人事
僕の目の前を
少し年をとられた女性が歩いていました
ゆっくりとしたその歩調に
僕はさっさと横を通り過ぎようとしたのですが

その女性の白い冬着が
胸のところで随分と膨らんでいます

何だろうと思い
思わず覗き込むと
そこには小さな赤ん坊の姿

きっと寒くないようにと
冬着の中に収めていたのでしょう
その心地よさに赤ん坊は少し眠気眼をしていました

その女性の歩みが
ゆっくりだったわけを了解していた
冬の午後でした

忘れ得ぬことを語らい年忘 【季語:年忘】

2015年12月27日 | 俳句:冬 人事

足早に一年は過ぎ
今年は何をしただろうと思い返すと
何もなし遂げておらず
心が寒くなるばかりです

それでも印象に残る言葉や
場面は胸にあって
年忘れの合間に顔をのぞかせます

そんな出来事を友人に話し聞かせて
今年を終わらせます

今年の忘れられないことは
以前の忘れられないことを上書きして
そんな忘れてゆくだけの生に
少し寂しさを感じました

(Haiku)
Year-end gathering,
Bittersweet memories linger,
Farewell’s gentle cheer.