「蜜柑」
子供が、高い所に実った
蜜柑を取ってくれとせがむ
見上げれば、今朝の柔らかい
春の朝焼けを手に取って
おにぎりのように丸めた蜜柑が
靴べらの様な葉っぱの間に見える
ごめん、僕に手が届く場所にはない
世界で一番、背の高い人でも届かない
けれど、子供は聞き訳もなく
棒でも使えばいいと、一丁前のことを言う
それだけ、春の日差しの
柔らかな皿の上にのった蜜柑は
何よりも美味しそうな、ご馳走に見えるのだ
降り注ぐ陽ざしから、酸味と甘さの
成分を絶妙に、じっくりと抽出して
閉じ込めた、丸み
しかし、気づきもしなかった、僕は
そんな木の上の蜜柑の存在に
手の届かない所には、目を向けようとはしない
知らんふりをする、気弱さの
いつの間にか、自分になっている
子供が、高い所に実った
蜜柑を取ってくれとせがむ
見上げれば、今朝の柔らかい
春の朝焼けを手に取って
おにぎりのように丸めた蜜柑が
靴べらの様な葉っぱの間に見える
ごめん、僕に手が届く場所にはない
世界で一番、背の高い人でも届かない
けれど、子供は聞き訳もなく
棒でも使えばいいと、一丁前のことを言う
それだけ、春の日差しの
柔らかな皿の上にのった蜜柑は
何よりも美味しそうな、ご馳走に見えるのだ
降り注ぐ陽ざしから、酸味と甘さの
成分を絶妙に、じっくりと抽出して
閉じ込めた、丸み
しかし、気づきもしなかった、僕は
そんな木の上の蜜柑の存在に
手の届かない所には、目を向けようとはしない
知らんふりをする、気弱さの
いつの間にか、自分になっている