jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

ある日のレコード店巡り & ジャズ喫茶「ユリ」

2024-11-21 | ジャズ・etc

晩秋だと言うのに「夏」の名残りといきなりの「冬」が行き交う今日この頃、久し振りに繁華街へ。地下鉄東山線「新栄町」で降り「栄」に。

一軒目はザ昭和の匂いをモロに放出する雑居ビル2Fの「ラジオデイズレコード」。日曜日(17日)の午後なのか、狭い一室に十人以上の客が犇めいている。窓が開けられているのも当然ですね。ジャズ・レコードだけではなくクラッシックを始め、ロック等々があり、ジャズを見ているのは5~6人かな。客に応対する店主の声も若々しく張りがあります。

 

選んだ一枚は”THE WRIGHT APPROACH / DEMPSEY WRIGHT”。無名に近いライトがマイナー・レーベル、ANDEXに吹き込んだ(1958年)の初リーダー作(唯一?)で「幻の名盤読本」にリスト・アップされている。所有盤は再発国内盤(Mono盤)で、今回、オリジナルのStereo盤を。サイドはR・カムカ、V・フェルドマン、B・タッカー、S・レヴィ、編曲はB・ホフマンとリーダーより格上ばかりですね。そんな連中に囲まれシングル・トーンで大らかに弾くライトのgが渋い味を出し、カムカのtsも良く歌っている。

 

            

 

広小路通りを栄方面へてくてくと。「ディスクユニオン」です。2、3枚ありましたが決心がつかず。

 

 

栄の中日ビル2Fの「フェイス・レコード」

 

     

前からLPで欲しかった”THE PARIS CONCERT Edition One / BILL EVANS”。やや割高感を憶えましたが、一度、見送ると縁遠くなるのがこの世界。パリのエスパス・カルダン劇場の備え付けのハンブルグ・スタンウェイの音の良さにエヴァンスは大いに感激したそうです。手持ちのCDより、グッと音が良く、この手の演奏はやはりレコードで聴きたいですね。

    

            

 

〆はTV塔の直ぐ横、「ユリ」。

行燈に明りが点いた。猫の額のようなカウンター席の端に辛うじて一つだけ空いていました。この満席状態なら上等です。日曜日はいつもこの有様。

Marantzでドライヴされ、ご機嫌に鳴るALTEC、負けじとばかり会話を弾ませるギャル達、休む暇なく飯を作る調理音、渾然一体となったこの騒がしさは何なんだ。でも、居心地は悪くない。選ばれた円盤は”JUTTA HIPP WITH ZOOT SIMS”、”THE SOUL SOCIETY /  SAM JONES、"GREEN DOLPHIN STREET / BILL EVANS”と王道一本みち。

 

 

     

自分が知る限り、日本で一番うるさく、一番若い女性客が多く、一番ジャズを聴いていない(8割方)ジャズ喫茶。名古屋の新(珍)名所の一つ(笑)。メシが美味くボリュームも半端じゃない!


不遇の ・・・・・SHURE V15/TYPEⅣ & THE KERRY DANCERS / JOHNNY GRIFFIN

2024-11-12 | お遊びオーディオ

 

TYPEⅢとⅤを持てば必要十分とずっと思っていたが、心の何処かで「不遇」と呼ばれるⅣが気になっていた。「不遇」とは価値、才能、実力等々が相当にあるのに、何故か世間で認められない状態(地位、境遇)を示すとなれば、谷間にひっそり咲く花かどうか、自分で確かめるのも一手かな。

先日、ガラス越しで目の前に(シェル付きで)。1週間経ち、ルーペを持参して出掛けると、まだ残っていた(笑)。要所をチェックすると驚いたことにボディにかすり傷一つなく、ブラシ、スタイラス・チップも未使用に近いNM 状態でした。使用期間が短かく保管状態が良かったのだろう。他に気が付いた所はシェルとの取り付け方が自分とは違うやり方で綺麗だった。自分はボルトをカートリッジ側から差し込みシェル側でナットで締める方法ですが、その逆でちょっと面倒ですが、ボルトの余りが見えなくて見栄えが良く、仕上がり感も完璧です。

 

シャンパン・ゴールドのシェルは何メーカーか分かりませんが、恐らくMg素材で造り自体もしっかりしている。こちらも傷一つありません。リード・ワイヤーはFRのOFCリッツ線ですね。余計な色付けが無く安心感あるタイプです。現時点で手を入れる所はどこもありません。

さぁ、音出しを。音が馴染んでくるまでちょっと時間が掛りましたが、納得がいく音が出てきました。高域に独特の光沢感を持つⅢ、緻密な質感を持つⅤのような一言で言い表せるキャラは直ぐ思い浮かばず、そこが「不遇」に結びついているのだろう。ただ、V15シリーズのレベルをキープしているので、何かしら手を加えれば好結果が期待できます。シェル付きで推定市場価格をかなり下回っており、随分、お買い得でした。

 

音出しに選んだ一枚は敢えて大の苦手のグリフィンを。あの、忙しく、猪突猛進していくプレイを聴くと3分ともたない。

けれど、ここでのグリフィンはまるで別人だ。その訳は、曲目をフォークソング、ブルースとバラードに絞り、各曲の演奏時間をほとんど5分以内にしている点とpにB・ハリスを配し、無用なブローイングを避けたところでしよう。中でも”Black Is The Color”、”251/2 Daze”、”Oh Now I See”での深みのあるソロは今までのグリフィンのイメージとまったく違います。18番と言える”Hush-A-Bye”のうす味のグリフィン節も心地よい。ラスト・ナンバー”Ballad For Monsieur”はリトル・ジャイアントと異名を取る男の隠れたデリカシーな一面を浮き彫りにしている。

ただ、コアなグリフィン・ファンは本作を認めず「ウケ狙い」としてネガティヴな評価をしている。色々な聴き方を楽しめる一枚ですね。

 

グリフィンの出色のソロ以上に驚くのが、tsの「音」のリアリティ。バラード曲”Oh Now I See’では、最低音まで、締まった「音」が実に生々しい。エンジニア、RAY FOWLERの手腕、恐るべし。


実力派B級トランペッター ・・・・・BILL HARDMAN / QUINTET”SAYING SOMETHING”& POLITELY

2024-11-04 | ジャズ・tp

 

右が初リーダー作”QUINTET/SAYING SOMETHING”(SAVOY 1961年録音)、左が1981年に録音された”POLITELY”(MUSE)。両作の間に20年の差があるが、リズム感に多少の違いは有れど一般的な聴き方では時代の差を感じない。フォー・ビートの流れが絶え間なく続いている訳だが、60年代後半から70年代にかけて多くのハード・バッパー達が生き場所を失ったのも事実。ただ、70年代後半から、ハード・バップ再興の機運が高まり、B・ハードマンも爛熟期にリーダー作がSAVOY1枚だったのに対し、80年前後にはMUSEに3枚も録音している。

ハードマンは50年代に、ブレイキーのJ・Mの一員になっているが、一時的、代打要員的な使われ方をされたのか、実力の割に評価、人気は上がらなかった。また、初リーダー作に聴く気も失せる阿保らしいカヴァが使われる不運に泣いた。けれど、TOPの”Capers”(tb奏者、T・マッキントッシュ作)は一度聴いたら、忘れられほどノスタルジックなメロディを歌心たっぷりにtpを鳴らすハードマン一世一代の名演です。他の曲も彼の実力を十二分に表している。

左の”POLITELY”のカヴァはSAVOY盤と対照的ですね。同世代のハード・バッパー達の多くが失墜していった中、キリッとした顔付きと身なりから推察すると、それなりに恵まれた環境下にいるのだろう。つまり、それだけ実力があった裏返しと言える。ただ、本アルバムも不幸の目に遭った。犯人は録音の名手、V・ゲルダー。ハードマンのtp、クックのtsが薄く、紙ぽく耳障りな音になっている。これでは本作の出来映えを云々する以前の問題です。録音とマスタリング(刻印有)を担当したゲルダーの「弘法にも筆の誤り」です。

                             

                                     

 

なお、必殺の名曲、”Capers”はこの”THE CUP BEARERS / BLUE MITCHELL”(RIVERSIDE)にも収録されている。

 

この作品にはもう一曲、C・ウォルトン作の哀愁に満ちた名曲、”Turquoise”も収録されている。


足は大事です ・・・・・ ONE FOOT, TWO FEET IN THE GUTTER / DAVE BAILEY

2024-10-29 | ジャズ・ds

 

先日、下肢(右足)静脈瘤の手術を受けました。下肢の静脈には足先へ血液が逆流しないように弁が付いていますが、弁が壊れ血液の逆流がおこり、足に血液が停滞し、その圧力で静脈が拡張したり、蛇行したりしてコブ(瘤)ができ、これが静脈瘤です。以前から気にしていましたが先送りのままでした。最近、20~30分ほど歩いたり、立ったりしていると足が怠くなり、休憩しないと先に進まない状態になり、手術する決心を。内容は血管内焼灼術(細いファイバーを静脈の中に通し、レーザーカテーテルで血管の内側から焼く治療法) + 表在静脈瘤切除(表面から目立つ静脈瘤を切開して切除)で手術自体は比較的楽で、ものの30分ほどで終わりました。

手術後は弾性ストッキングを二週間、着用します。このストッキングを装着するのにチョットしたコツを要しましたが、順調に回復しているとの経過診察でしたので通常モードに戻ります。ヤレヤレ。

そこで、D・BAILEYのアルバムを2枚。通のジャズ・ファン達から良い評判を受けています。でも、誰も「名盤」とは言わないところがミソ。ベイリーが狙った「聴けば分かる」なんでしょう。

 

個人的には”TWO FEET IN THE GUTTER”の方が好みです。

理由の一つは、選曲の良さです。B・タッカーのヒット・ナンバー”Comin' Home Baby”、F・フォスターの有名な”Shiny Stockings”の出来がご機嫌です。二つ目は、実力派B級トランペッター、B・ハードマンの好演ぶりです。中でも”Shiny Stockings’での腰を据え、フレーズを繋いでいくブルース・フィーリングを聴くと、ホント嬉しくなります。

もし、自分がジャズ・バー(喫茶)を開いたとするならば、毎日のオープニング・レコードは本作のA面、クロージングはB面にするかもしれません(笑)。


堅物から脱皮 ・・・・・LOVE DANCE / WOODY SHAW

2024-10-20 | Portrait of Woody Shaw

 

 

前作”MOONTRANE”でそれなりの手応えを得たショーが約1年後(1975年)、フロント陣、リズム陣を拡充し、アルバムの完成度、充実度を一段も二段も高めた快作。

当時、若手売出し中のB・ハーパー、J・ボナーの参加も話題となり、フラワー・プリントのジャツと併せマクビーの強烈なキック感溢れるベース・ラインで導かれるトップのタイトル曲が時代性をより鮮明に打ち出している。色彩感に満ちたリズム隊と分厚いサウンドを造りだすホーン陣との絡みが魅力的なメロディに乗って実に心地よい。作曲したボナーのフレッシュなピアノ・ソロの後、しっかりと地に着いた気負いのないショーのtpが滑り出す。成長具合が手に取るように解ります。煽るような黒いハーパーのテナー・ソロも聴きものだが、最大の聴きものは、やはりフィナーレに掛けてタイトルを象徴するが如き軽やかに舞うショーのソロです。

他の4曲も上々の出来で、中でもB面トップの‘SUNBATH’がご機嫌。アレンジを担当しているS・ターレのbass tromboneが効果的でコントロールの利いたショーのソロがほんと、カッコイイ。続くボナーのpもグーです。また、アンプを通したマクビーのベース・ソロも時代性を考えれば否定的には及びません。

ポテンシャルの高さを克明に刻んだ一枚。夢にまで見た「春」(メジャー・レーベル契約)が叶うまで、あと僅か二年の距離に縮めた。