jazz and freedom and avenger

JAZZを聴きながら勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

不良中年、ハチの一刺し ・・・・・・ VALLEY LAND / WALTER BISHOP Jr.

2017-12-17 | ジャズ・p

 

 

先日、出かけついでに名古屋TV塔近くの「ユリ」へ。ひょっとして日本一?忙しいジャズ喫茶かも。もっとも大半はジャズを聴きに来ているワケではない。

ある人の強~い押しで、今や「ピアノ・トリオの名盤」入りした'SPEAK LOW’が流れた。

 

所有するTRIO盤はpの音が歪み、つぶれている箇所もある。ディスク・ダビングされたものと言われている。なるほど、マスター・テープの状態が芳しくなかったかもしれませんね、2曲目など五月蠅くて聴けたものではない。その後、CDも聴いたが、更に悪く聴こえ、それ以来縁遠くなっていた。

帰宅して秘密兵器、SHURE M44G・N44-1+HSR-AG で。

その前に気になる点が、

本作はMONO盤となっていますが、所謂「再発MONO盤」、つまりステレオ・カッター・ヘッドで切ったものの可能性が高く、N44-1が完全モノラル溝・オンリーだったら一応NGです。

詳しいことは分かりませんが、リリース時期からして盤の溝はステレオと同じ、44G・N44-1もステレオOKではないかと勝手に推測して、とにかく針を降ろしてみた。OK(多分)でしたが、さすがに「奇跡」は起きませんでした(推測が間違っているのかも)。

ただ、pの音の密度が上り全体に厚みが加わった事で、pの音割れがかなり隠れ、それなりに聴けるようになったのはGooかな?

高音質と謳われるLP、CDが再リリースされているようですが、買い替える気がなく、オリちゃんは雲の上だしなぁ~ 恐らく、一生、本作の真髄に触れることはないでしょう。

 

持ち上げられた挙句、「凡庸に成り下がった」と断罪されたW・ビショップjr.が1974年にMUSEに録音したのがコレ。

安レコ箱の主になりそうなカヴァですが、もし、ブラインド・ホールドで聴かされたら、ほとんどの人が困惑するだろう。

 

 

TOPの'Invitation’のイントロなんかカッコ良過ぎるし、展開も鮮やか。ゴルソンの名曲'Killer Joe’にしても然り。

とにかく、派手目ですが型に嵌らずやりたいように演っている所が聴きもの。 プロデューサーは'SPEAK LOW’と縁のあるFRED NORSWORTHYという所も興味深い。

「凡庸」ではこんなピアノは弾けないし、不良中年をなめたらいけません(笑)。

ただ、pがキラキラ過ぎる録音に好みが分かれそう。もし真面だったら、なかなか面白い存在の一枚。


進化を超えた変貌 ・・・・・ HIGH IN THE SKY / HAMPTON HAWES

2017-11-04 | ジャズ・p

 

'TRIO Vol.1’、満場一致のホーズの名盤。

初めて聴いたとき、ビバップ色がやや濃いTOPの'I Got Rhythm’に古めかしさを感じたが、聴くほどにホーズのピアニストとしての力量が格調高く詰め込まれている事に気が付いた。

長いブランクから立ち直り、欧州ツアー中(1968年)、ドイツでレコーディングされた'HAMP'S PIANO’(SABA・MPS)は人気の一枚で、その後、フランス・パリで録音された'SPANISH STEPS’(BLACK LION)は彼自身、ツアー中のベスト作と語るほどホーズの情念が迸っている。

 

今回UPした'HIGH IN THE SKY’

1970年、LAでマイナー・レーベル「VAULT」に吹き込まれた一作。

 

 

モード色が漂うピアノが響き出し、バカラックのヒット・チューン'Look Of Love’のメロディが・・・・・・・

ちょっと意地悪く粋なジャズ喫茶、バーのマスターなら暫くカヴァを飾らず、「これって誰かな?」と客が落ち着かずソワソワしている様子を楽しむかもしれない。2曲目'Evening Trane’が終わった辺りでやっとカヴァを。一斉に客の眼が注がれ、唖然と。

でも、それだけで終わらない。B面に移り、11分を越すタイトル・ナンバーに卒倒するかも(笑)。

 HAWES、渾身の、そして畢生の名演。これを聴かずしてホーズは語れない。

 

 

 

ホーズのジャズ・ピアニストとしての力量に改めて感服する。

本作をHAWESのベスト作と言ったら笑われるかな?

1977年5月22日、脳出血でこの世を去っている。享年、わずか48、若すぎる!惜しい!

 

 なお、TRIO、Vol.1のカヴァは再発もの(1970年頃)で、オリジナルとは色が違います。 


WHISPER NOT / WYNTON KELLY ・・・・・ 自分なりの決着

2017-10-22 | ジャズ・p

 

 

 

昔々、カヴァの雰囲気だけで手に入れたもの。オリジナルがあの「脚立」とはまだ知らなかった時期に。

A面のバランスの悪さと不純物が混ざったような「音」にだんだん不快指数が上る。3曲目の'Dark Eyes’でケリーのpの音圧がダウンする辺りで辛抱し切れず針をUPしてしまい、長い間、死蔵状態だった。

DL-102の取説を読み直していると、オッ、MonoだけでなくStereo盤(モノ出力)もOKと。ふと、この'Whisper Not’を思い出し、淡い期待が・・・・・・・

モノなので左右のアンバランスが解消され、また、厚みが増した音に「濁り」がうまくカムフラージュされ、十分聴ける音に変身し、裏技成功というワケですね。でも、'Dark Eyes’でのpの音圧ダウンは何ともならない(笑)。

ものの本によると再発ORPHEUM盤もオリジナル・スタンパーを使用しているとの事。ただ、本盤は62年にリマスターとクレジットされているのでちょっと違うかもしれないし、この時に疑似ステレオ化された可能性が高い。オリジナルの「脚立」にはステレオ盤はなかったと思うけれど・・・・・

 

  

実は、この「音」に違和感を持ち、70年代初めマイルストーン・レーベルで再発されたMono国内盤を聴いたけれど、元々?やや甲高い音質を修正しようとしたせいか、逆にWet過ぎる生気のない音質に変わり果てていた。

オリジナル盤を聴かずして本作を云々するのは如何なものか、と思うけど、推測するとやや問題を含んだ「音」(A面)には違いなさそうですね。

制作者側の「売り」はA面のハズで、B面の方が好きと言うファンが多いのもここに起因しているかも。

確かに、A面とB面では音質が異なり、

B面はP.J.ジョーンズ抜きのトリオ演奏ですが、pとbのポジションが左右逆になっている。疑似ステにわざわざそんな変化球を?(笑)、それとも本当にステレオ録音で遅刻したジョーンズが加わりマイク・ポジションを変更したのだろうか?

いずれにしても、些か強めの中高音が耳にカキーンとくる部分もあるが、混濁感がなくクリーンなのでストレスを感じない。

勿論、DL-102でOKですが、シュアーのV15タイプⅤで聴くと、これが疑似ステ(?)とは思えないほどGooなんです。

名曲'Don't Explain'でのリリカルなプレイでは、ケリーのデリケートなppタッチに加え、細やかな指捌きがまるで映像のように眼の前に浮かんでくる。

  

 

素性の良さは解っていたけれど、初めてV15タイプⅤの真価を知らされた思いです。 

 

 

 

「脚立」のカヴァ・センスはどうしても受け入れ難く、長年のモヤモヤが自分なりに決着したので、オリジナルを追う事はもうないでしょう。

それにしても、A面はDL-102(Mono)、B面はV15タイプⅤ(Stereo)と二本も使わせるとは「ふてぇ~野郎」ですね(笑)。でも、これで死蔵脱出ですから。

 

ま、どうでもいいような話だけど、全ては偶然見つけたY字型リード線から始まった。 


RED IN BLUESVILLE / RED GARLAND

2017-10-15 | ジャズ・p

 

 

 

深い眠りから不意に呼び起こされたDL-102は初め機嫌が悪かったが、徐々に直ってきた。

 

好きなカヴァの一枚。

ガーランドには、BNでお馴染みのR・マイルスがデザインした'GROOVY’という秀逸なカヴァがあります。

一方、本作はエズモンド・エドワーズが担当。エドワーズはフォトグラファー、プロデューサー、そしてレコーディング・エンジニァとして多くの名作に携わっている。

一例(フォト)では、W・ヤングの'FOR LADY’、コルトレーンの'COLTRANE’(Prestige)、ドーハムの'QUIET KENNY’、マイルスの'WORKIN´’他・・・・・・等々。

青のモノトーン摺りはBNぽいけど、この妙なひねりを入れないストレートな表現が何ともノスタルジックでGooです。

 

針を降ろすといきなり威勢のいいジャブが飛び出してくる。さすが元プロ・ボクサー、もうガーランドの独壇場という感じです 。S・ジョーンズのbがゴリゴリと追い、A・テイラーのブラシが奥目ながら小気味よくリアルに響く。

2曲目、ゆったりとしたテンポの'See See Rider’でいつものガーランド・ワールドが広がります。これだね。

DL-102はMC型カートリッジですが出力が3mVと高く、MMポジションにダイレクト接続がOK、インピーダンスが240Ωと変則ですが特別問題ありません。

再生周波数は50Hz~10kHzと高域がストンと落ち、常用しているA・テクニカのモノ・カートリッジが20kHzまで伸び、やや華やかなトーン・キャラに対し、「質実剛健」と言えそうですね。遠近法を使った絵画を観ているような「奥行き感」がしっかり出てくるので50年代のジャズLP(モノラル)にピッタリかも。

オーディオ的デリカシーさを求める場合、増幅が少ないライン・トランスを一段入れるとぐっと良くなる、という街の噂もあります。ただ適したモデルは少ないようです。

 

全編を通し、張りのあるガーランドのp、ジョーンズの骨太のb、ツボを心得たテイラーのブラシ・ワーク、ありふれた常套句しか思い浮かばいけれど、余計な講釈を垂れるまでもありません。うぅ~ん、演奏もDL-102も上等だねぇ~

 

 

 

 

1959年4月17日、ゲルダー・スタジオで録音。自信に満ちたプレイを聴かせる。


ダントツの名演 ‘Satin Doll’ ・・・・・ OSCAR PETERSON / THE WAY I REALLY PLAY

2017-04-21 | ジャズ・p

 

 

 

エリントン・ナンバーで最も知られ、人気がある曲と言えば、多分、「サテン・ドール」ではないでしょうか。

ピアノ・トリオで一番好きな演奏がO・ピーターソンの本盤。

テーマを微妙にフェイクしながら、タメを利かしに利かし、寄せては引き、引いては寄せる波の如く聴き手の関心を一瞬たりとも離さず、徐々にクライマックスに追い込み、余韻を残しながらエンディングに入るくストーリー、本当にニクイなぁ。

9分を越す長い演奏で、まるでオーケストラでも聴いているような錯覚に陥る。 お見事!

一人大きな拍手を送る人は、恐らくMPS社長ブルナーシュワーでしょう。

続く、‘Love Is Here To Stay’もこれまた素晴らしい。メロディ・ラインが凄く美しい。

 

他では、ガーランドの‘AT THE PRELUDE'が有名ですが、少し前のスタジオ録音がこの’SATIN DOLL’。

長らく「お蔵入り」のままでしたが、後年、同じセッション未発表2曲と‘AT THE PULERUD'の未発表曲2曲と共にリリースされた。こちらも9分を越し、お馴染みのガーランド節が楽しめます。ただ、ちょっと間延び気味かな。

 

                        

 

こちらは晩年期パウエルの人気作、‘IN PARIS’

テーマ処理がややまとも過ぎかな?それより背後のセンスのないドラミングが煩わしく、パウエルの良さがかき消されている。どうしてこんなにドスン、ドタンと叩くのだろう。その上、リム・ショットまで放たれては。

本作では‘I Can't Get Started’が絶品ですね。

「言い出しかねて」は大きな誤訳と言われるが、パウエルの手に掛かると「大名訳」に。

盛りは過ぎたと言えども、その気品高さに「お手上げ」です。触れると壊れそうな儚さに言葉が詰り、自分だけと思うけれどパウエルの「凄み」を憶える。

 

  

 

話を戻すと、

「偉大なる大衆作家」と有難いような有り難くないような称号を受けたピーターソンだけれど、本作の「サテン・ドール」に、モダン・ピアノのだれ一人、足元にも・・・・・・・・・・・・・

パウエルとは真逆かもしれないが、ピーターソンの「凄み」も本物ですね。        


Splendour in the grass ・・・・・ 草原の輝き & GRAND ENCOUNTER / JOHN LEWIS

2017-04-03 | ジャズ・p

What though the radiance which was once so bright

Be now for ever taken from my sight,

   Though nothing can bring back the hour

Of splendour in the grass, of glory in the flower;

We will grieve not, rather find

Strength in what remains behind;

 

 

高校時代、文化祭で一本の洋画が上映された。

 

ナタリー・ウッドとウォーレン・ベイティ(ビューティ)主演の「草原の輝き」。

同じハイスクール時代を背景に、時にはリアリスティクに、時にはワーズワースの詩を織り交ぜながら、大人達に翻弄された二人の過酷とも思える青春、人生模様を描いたこの映画に脳天をぶち抜かれた。

それまで映画と言えば娯楽ものとばかり思っていたけれど、人に感動、感銘も与えるものだ、と初めて知った。

精神的に立ち直ったウッドが、土と汗にまみれるかっての恋人、ベイティに会いに行くラスト・シーンは映画史上、最高の一つでしょう。

 

全く関係はないけれど、このカヴァを見ると、いつも、‘Splendour in the grass’、そしてナタリーを思い出す。

ホント、綺麗でしたね。

 

GRAND ENCOUNTER  2°EAST-3°WEST (WORLD PACIFIC PJ 1217)

 

長年、この盤はオリジナルと思い込んでいましたが、ある時、ネットでこのカヴァが少し違う事に気が付いた。オリジナルはPERCY HEATHの下にPACIFIC JAZZ 1217が刷られている。

一時、WORLD FACIFICに変更していた時に再発されたものです。No.は同じですがラベルにはTWO DEGREES ・・・・・・・・・・・・、バック・カヴァも2°EAST - 3°WESTと。オリジナルはどうなんでしょう?

「大いなる邂逅」と訳されていますが、内容とカヴァ、タイトル、全然、マッチしていないなぁ(笑)。でもいい作品です。

「音」がいい、というより好きな「音」。ややエコーを掛け円やかで芯があり、「古き佳き時代」を彷彿させます。

TOP曲でルイスのpの後、パーキンスのtsがすっと入る辺り、ゾクゾクっとします。畢生の名ソロですね。

‘Love Me or Leave Me’、なるほど。またラスト・シーンを思い出してしまう。

 

 

かって眩しいほど煌めいた栄光も

今や目の前から永遠に消え去り

光り輝く草原、華麗に咲く花、もうあの頃は戻ってこないけれど 

嘆き悲しむより、見い出そう

残されたものに「力強さ」を

 

もうセンスがないなぁ(涙)。


今年の初レコは ・・・・・ OPEN, TO LOVE / PAUL BLEY

2017-01-07 | ジャズ・p

 

年初めのレコ探しは楽しい半面、ちょっと悩ましい。

ブログupとなれば、尚更。普段着で都心に出掛けるようなチョイスは拙いし、かといって構え過ぎても重い。

新春のイメージを ・・・・・・

思い浮かんだのが、初酒に飲んだ「霄」、澄み渡った大空のような「透明感」。

選んだ一枚。一年前の1月3日、プレイは「霄」へ飛び立っている。

 

 

              

 

 

ブレイを語る時、「C・テイラーに続くフリー・ジャズ ピアニスト」という枕詞が習慣になったせいで、初めはちょっと近寄り難い存在かも。でも、ある程度、間口が広がり奥行きも深まると、避けて通れない、という特殊な立ち位置には違いない。

ブレイはオーソドックスなスタイル(Debut盤、EmArcy盤)から始まり、徐々にフリー化したピアニスト。ロリンズの‘MEETS HAWK’(63年・RCA)に参加、共に来日(63年9月)もしている。インタヴューで「金を稼ぐためにこのバンドにいる」なんてしゃあしゃあと答え、不幸な生い立ちからか、まるで「この世の中、きれい事ではすまないぜ」と開き直っているように聞こえる。

本当かどうか分かりませんが、マイルスとロリンズに声を掛けられ、迷っている間にマイルスはハンコックと契約したため、ロリンズのバンドに入ったとか。歴史に「If」は付きもの、逆だったならば・・・・・・・想像するだけで面白いですね。 

それは兎も角、1964年の「10月革命」に名を連ね、JCOAの前身となるJCG(ジャズ・コンポーザーズ・ギルド)に参加、一気に左傾化していく。

 

そのブレイが、ピアノ・ソロ ブーム(だから、初めは乗り気でなかった、と本人は述べているけど)の中、「満を持して」の如く吹き込んだアルバム。1972年 オスロで録音。音を積極的に埋めるのではなく、消極的にちりばめる「ブレイの体臭」、「ブレイの美学」が些かも希釈されることなく刻まれている。ソロだがモノトーンではない。

この作品が成功している要因の一つは全曲、ポール、カーラ、そしてA・ピーコックのオリジナルで固め、ほぼ同じスローなテンポで通し、妙に緩急を付けたり、リズムに変化を持たせなかった所と思う。

 

「官能」、「エロティシズム」を感ずるというコメントを多く見受けますが、どうでしょうか。不幸にしてそうした感受性を持ち合わせていないなぁ~。女性関係に妄想を逞しくした後付けでは?

ま、B-2、仄かなブルース・フィーリングにゴスペル・タッチをスパイシーにブレンドしたブレイのオリジナル‘Harlem’では、エロっぽさ、いえいえ、・・・・・・・良いですよ、この曲。

 

所有する盤はECM原盤ではなく米POLYDOR盤ですが、不思議に「音のクオリティ」が良い。もともと明晰なピアノ・タッチに磨きが更に掛かっている。でも、決して研ぎ澄まされてはいない。


US THREE / HORACE PARLAN ・・・・・ そうかなぁ~

2016-12-14 | ジャズ・p

 

 

昔から玄人、素人、ともに大絶賛している一枚。

最近、2ndプレスでも高額で取引されたとして、コレクターの間で話題になっている。その内、早々に完オリが出てくるでしょう。恐らく、諭吉が30枚を超えるだろう。市場とはそういうものだと思う。

自分には無縁の世界ですが、なかなか夢があって面白い。

所有する盤は勿論、国内プレスで、一度、聴いただけでそのまま、再度、聴き直しましたが、「大絶賛」がさっぱり分からない。オリジナル盤を聴いてないからさ・・・・・と言われそうですが、オリジナル盤を聴いている人は、ほんの一握りの人達なので条件はほぼ一緒と思う。コレクターの価値観は必ずしも実体と一致しないので、一般ジャズ・ファンは惑わされないようにしたい。

 

話は変わりますが、人間の行動は他人ではなかなか理解できない身近な事例を。

ゴルフ仲間の話。

夫婦二人になった機会に「ダウン・サイジング」を図ると言い、大きな屋敷から高級マンション(新築)に移り変わったけれど、約半分になったスペースが狭く、断捨離しても物の置き場がなく、別にマンションの一室を借りるハメに、しかも、集合住宅の生活環境に馴染めず、半年足らずで中古の一軒家を買い、現在、リフォーム中です。その上、転居と同時にレクサスの大型SUVに乗り換えた所、小柄な奥さんから、「乗降がしんどい」とクレーム(笑)が入り、2週間でディラーに引き取って貰い、元のセダンを引き戻したそうです。ロスが150万とか。

 

もう一人は、奥さんの強いリクエストでランクルに乗り換えた。車庫がある裏庭に通ずる道幅はせいぜい2.5mと狭く、切り返しをしないと表道路から侵入出来ず、車庫もVWのゴルフが入っていた小振りで、巾はともかく、高さの余裕は僅か数センチしかない。出入りが面倒なので、本格的な出動は、半年で数回とか。でも、こちらは直ぐ手放すのは勿体ないので、普段の足用として新たにパサートを購入している。

傍から見ると、そんなこと分かり切っているのに、と思うのだが・・・・・・・・・ それが、なかなか・・・・・・・

ただ、二人共、「まずかった」と思っていない所が良い。

 

‘US TREE’の2ndに大枚をはたく行動とゴルフ仲間の行動に何かしら共通点があるような気がします。

他人には分からなくてもいい「夢」があるのでしょう。


畢生の名演・・・・・ UNITY / LARRY YOUNG

2016-06-29 | ジャズ・p

 

 

本作はジャズ・オルガンのイメージを一新させたヤングのBN二作目。

一作目‘INTO SOMETHIN'’はdsは同じE・ジョーンズだが、演奏スタイルもコンセプトも180°違うG・グリーンとS・リバースという布陣。この手法はライオンがよく使う手ですが、両者の間で立ち往生しているヤングの姿が浮かび上がり、残念ながら習作のレベルを越えていない。 

 

約一年後の1965年(11月10日)、当時、H・シルバー・クインテットのフロントを飾っていたショー(tp)とヘンダーソン(ts)を据え、今度はよほどイキが合ったのだろう、心地良いテンションの中、伸び伸びとイメージ通りのプレイを聴かせています。

ただ、その心地良さは従来のジャズ・スタイルからの安心感(暖流)とこの後の変遷(寒流)が混ざり合う抜き差しならぬ状況を孕んでいる。

オルガンが売りとするアーシー、ブルージーさを徹底的に排除し、コアだけをドリップした洗練されたサウンドは正にミラクルとしか言いようがありません。

「ジャズ・オルガンの名盤」、「BN屈指の傑作」等々、いろいろ賛辞を重ねても本作を語り尽くすことは容易でない。

 

PS.拙HP ‘BLUE SPIRITS’を更新しました。


FREDDIE REDD ・・・凛としたLyricism ‘Farewell to Sweden’

2016-06-17 | ジャズ・p

 

 

昨日は朝から雨、となるとピアノ・トリオでも。

取り出したのはJOHN TAYLORの‘DECIPHER’ (MPS)、スピード感溢れるバリバリのモード・ピアノの傑作ですね。それからコリアの‘A.R.C.’(ECM)、かなりフリー色が濃い意欲作。

続けてこの2枚を聴くと、ちょっと耳がしんどくなる。

次はガーランド? ケリー? クラーク? 何となく違うなぁ、フラナガンかな ・・・・・・・

そうや、選んだのはもう一枚の、裏「オバー・シーズ」 、‘FREDDIE REDD IN SWEDEN’。

 

1956年、ロルフ・エリクソンのメンバーとしてスウェーデンを巡演中、メトロノームに吹き込んだ音源で、当時3枚のEP盤でリリースされたものを30cmLPにまとめたもの(国内盤)。

パーソネルは、

FREDDIE REDD (p) TOMMY POTTER (b) JOE HARRIS (ds)

B面の二曲目、‘Farewell To Sweden’、いいですね。よほどスウェーデンでの居心地が良かったのでしょうか、離れる最後にこの一曲だけ録音している。去りがたい思いを気高く情感を籠めたその語り口はパウエル譲りなのでしょう。

また、恐らく現場で即興的に作曲したと思われるラストの‘Studio Blues’はアフター・アワーズの香りとブルース・フィーリングがもう堪りませんね。

 

この二枚も好きなアルバム。

SAN FRANCISCO SUITE (RIVERSIDE 1957年)

 フロントのみ‘freddy’となっているが ・・・・・・ 聴くほどに味が。

 

 

UNDER PARIS SKIES (FUTURA 1971年)

 B-2の‘You’が聴きもの。

 

 

エモーショナルなピアノですね。