1959年録音の未発表作品。
昔からこの国内盤(VICTOR)のエヴァンスのタッチと音が好き。MONO盤なのにモノ針よりステレオ針の方が自分の好みに合っている。
何が何でもMONO盤にはモノ針というワケでもなさそう。それが当てはまるのは、モノラル・カッター・ヘッドで切られた純正モノラル盤ではないかな。
C・ベイカーのリーダー・セッションでフラストレーションが溜まった?エヴァンスが残業してレコーディングしたものとも言われ、確かにLP一枚分に満たない曲数からしてそうした憶測も成り立ちます。
ただ、エヴァンス自身はかなり気合が入っているけれど、フィリーはともかくチェンバースは録音のせいか、「残業なんかイヤだよ~ もう帰ろ~」といま一つ気が乗っていない。サブ・タイトルにチェンバースがクレジットされていないのは偶然か?しかし、それが逆にエヴァンスのノリの良さを浮き彫りにしている。
TOPの'You And The Night And The Music’はTVのタバコCMに使われた事もあり、人気が有りますが、自分はいつもB-1'How Am I To Know?’に耳が行く。
'EVERYBODY DIGS’の'Minority’に似た男気溢れる硬質でクールなプレイが堪らない。エヴァンスの魅力を「リリシズム」と一言で済ませるのは簡単だが、本質は対極的な「ハード・ボイルド」と理解している。
ポテンシャルを生かしきれないままだったSHURE Me97HEにこのリード線を。
純度8Nという先入観なしに透明感を増した音が飛び出し、オーバーな表現かもしれないが、一瞬、レコードを間違えたのかな? ここまで音を変えてしまうのは如何なものか、と。
でも、これがMe97HEのポテンシャルの高さとポジティブに解釈すべきでしょう。
なんでもトライしてみるもんだ。
エヴァンスの「水晶」のような音に溺れる。