左から”ROLL CALL / HANK MOBLEY”(4058、 1960.Nov.13)、
”GOIN’ UP / FREDDIE HUBBARD”(4056、 1960.Nov.6)、
”UNDERCURRENT / KENNY DREW”(4059 、1960.Dec.11)
三作の共通点は ハバード(tp)、モブレー(ts)というフロント2管のクインテットで録音はほぼ一ヶ月の間、No.も4057のひと番を外しただけの三連荘。
ジャズ・マスコミが作ったモブレーの通称「三部作」に対し、こちらはライオンが初めからハッキリと制作意図した三部作。狙いはデビューしたばかりで未知の器量に溢れるハバードとピークを迎え、恐らくマイルスのグループに参加が決まった?モブレーのプレゼンだったのは明らかですね。
ただ、”GOIN’ UP”は何故かデビュー作”OPEN SESAME”の陰に隠れ、”UNDERCURRENT”もあの「幻の名盤読本」の本稿ではなく巻末のレコード専門店のクイズの中で紹介され「裏・幻の名盤」扱いとなり、後年のヨーロッパ盤のイメージも強く、知名度、人気度は”ROLL CALL”に及ばない。
けれど、内容は甲乙付け難い名演揃いです。
リズム・セクションの人選は一流所、有望株を巧みに配し変化を持たせつつ、曲構成を”ROLL CALL”、”UNDERCURRENT”は全てリーダーのオリジナルで固め、二人の作曲能力を抜かりなく打ち出し、”GOIN’ UP”ではドーハムの代表作2曲を取り入れてハバードの経験の浅さをカヴァしている。
好みの順でいくと、
初心者の頃、初めて聴き朗々と鳴り響くtpに脳天をぶち抜かれた”GOIN’ UP”が一番、二人の息が段々と上手く噛み合い、特にA面の曲が良い”UNDERCURRENT”、そして、”ROLL CALL”かな。
”GOIN’ UP”のオリジナル盤はずっと縁が無く、今でも欲しい一枚です。
兎に角、ハード・バップの神髄、それも50年代ではなく60年代の熱いいぶきを全身に浴びるには最上のもの。
バード、モーガンではなくハバード一人に絞ったライオンの慧眼が光り、10年後、見事に証明されている。