この所、エヴァンスのレコードを聴く頻度が増えている。特に理由はなく、何故かエヴァンスのpが耳に心地よく響く。ただ、70年代以降のエヴァンスに自分はやや冷ややかなので、自然とそれ以前の作品ばかりである。その中で、本作は今までは殆ど聴いた記憶がなく、多くの方?と同様、クラッシックとの融合、オケ付き、そして気色の悪いイラストが原因です。巷では賛否両論に分れ、しかも、存在自体が話題に登ることもまずない。
バイアス抜きで聴いたところ、これが実に良いんだなぁ。甘からず辛からず絶妙なバランスをキープするオガーマンの編曲、テイラーのツボを押さえたアルバム作りの巧さ、二つのレールに乗り、1ミリたりとも脱線しないリリカルなエヴァンスのp、誤解を恐れず言えば、語弊が有るやもしれませんが、最上級のイージー・リスニング・ジャズの一枚、一遍に愛聴盤の軒下に移りました。
エヴァンスの名盤として「泣く子も黙る名盤群」の一員に加わる事はないけれど、異色作として距離を置いたままでは勿体無い。
なお、「音」に関しては、所有盤は3rdプレスなので割引しなければいけないが、1stプレス盤ならエヴァンスのRVG録音(1965年)を危惧する必要はないと思います。オガーマンが描くフレームの中でエヴァンスのp(トリオ)がくっきりと浮かび上がっている。
エヴァンスを聴くなら、一年の中でこの新緑の時期がピッタリかもしれませんね。