嘗て津津浦浦、ジャズ喫茶がある街で、この”african piano"が流れない日はない、とまで言われた人気盤。「アフリカの苦悩をピアノに叩きつけて・・・・・」と言うキャッチコピーが付けられるほどの異色作で録音は1969年10月22日、コペンハーゲンのカフェ・モンマルトルでのライヴ。
先日、DU(名古屋)へ行った際、ヒット作なので出玉も多く、値段違い(680円~)で3枚もあり、780円(国内盤)ものを拾ってきました。
1973年に国内盤がリリースされ、ジャズ喫茶の激戦地、東京ではいつもどこかで流れていたそうです。ただ、偶々なのか、自分は地元で一度も聴いた経験がなく、辛うじてFMのジャズ番組で一、二度?ほど聴いた位で、どんな感じなのかサッパリ記憶がありません。
左手のシンプルなリフ・フレーズに、あぁ、これか、と記憶が朧気に戻りました。
ある時は童謡のような可愛いらしさ、ある時は落雷のような激しさ~C・テイラーばりのアヴァンギャルド・タッチ、ある時はF・レッド擬きの旅情風等々、ソロ・ピアノの退屈感を与えない建付けがしっかりなされ、鍵盤を打つタッチも緩まない。もう、パーフェクトですね。
ジャス喫茶のような閉鎖された薄暗い穴倉で、この手のpを聴かされたら、そりゃあ、催眠状態になるのも無理ないかもしれないなぁ(笑)。色々な仕掛けがシナリオ通り整然と運んでいくライヴ演奏、左手のスタティックな、右手のダイナミックな世界はまるで一種の儀式を思わせる。ただ、冷静に二、三回聴くと、意地悪かもしれないが、これ全てスコアに落とし込んでいるのではないか?と疑問が徐々に膨らんでくる。
余計なことだけれど、知らずに聴いて、果たして多くの方々のレヴュー、コメントに見られる「アフリカの大地」を直ぐに連想できるだろうか ? 行った経験が無いのに・・・・・、50年以上も前のアフリカってもっと渾沌としたイメージしか湧かないけどなぁ~
そのギャップが人々を惹き付けたのかもしれない。ミステリアスなカヴァも効果的、並みの作品ではない事は確かです。
ダラー・ブランドのpはレコードよりライヴで実際に観て、聴いた方が実像、魅力をつかみやすいタイプだろう。