・・・・・・あわぞうの覗き穴・・・・・・

気が向いたときに、覗いてご覧ください。
何が見えるかは、覗く方々のお眼め次第です。

狼藉

2012年03月06日 | つぶやきの壺焼

狼は、寝るために敷く草をでたらめに置くだろうと人間が勝手に考え、狼藉という言葉が生まれた。

置かれたものが草でなく、花になると落花狼藉。
狼藉が乱雑になった状態の表現だとすると、散りながらどこかに飛んでいってしまう桜の花びらは、どこかぴたっとこない。
風で一度に散っていく、まだ落ちる先に届いていない有様のほうが、この言葉に当てはまる。

椿の花などはむやみに落ちるから、まさに落花狼藉である。
椿の仲間のこの花が落ちても、一つだけでは狼藉に見えない。
狼藉という状態をつくる、つまり狼藉を働くには、数を必要とする。徒党を組まなければ狼藉に至らない。

講談に出てくる、武士が襲われたときの「狼藉者め」というせりふは、相手が大勢だから当てはまるので、ぱらぱらと取り囲まれたぐらいでそうつぶやけば、酔眼で二重三重に見えているところを見破られてしまう。

はじめ狼藉に及んだ者が、相手の勢いに慄くあまり、反対に相手を狼藉者呼ばわりすることもある。
自分たちで踏み潰しておいて、相手がやったことにしてそれを永く言い伝えるという非道なことも起こりうる。
何かといえば引き合いに出される事件には、そういうものが多い。
話がもともと引き合いに出すために作られているのだから、目的どおりに何度も繰り返される。
そういうのは、狼藉でなくなんと呼ぶのだろうか。