♪ 春は名のみの風の寒さや
吹きさらしの駅のホームは寒い。
いったん上がってまた階段の途中まで引き返す。
向こう側の壁に目をやると、いくつもの直線の交錯が目に付く。
後から付けた手すりもあるから、作った人にこのことの意識はなかった。
何の変哲もないこういうものが、どこか面白い。
意味を持たせて見せてやろうと作ったものには、どこか嫌味が出るから、こんな感じは出ない。
こんなもの、どこが面白いのか。
説明すれば面白さはたちまち雲散霧消。
どこがが言えなければ、なぜそう思ったか。
追い討ちへの返事「そうでも思わなければ、こんな寒いところにじっと立ってはいられない」