洗面台の蛇口のしまり具合が悪くなったのでパッキンを取替えた。
水栓の頭の化粧板が、ねじ込みになっていると、はずす方法を見つけやすいのだが、この水栓は、化粧板がはめ込み式なので、薄い頭のドライバーでこじ開けなければならない。
化粧版をはずすとプラス頭のネジが見える。
外側ハンドル部は、このネジで止まっている。
さて、これをはずすのが大変だった。
ネジの中心線上の空間が開放状態で邪魔物がなければ、さび付いてないネジなら、ドライバーの選定を誤らない限り、まず簡単にはずすことができる
ところが、狭いところに備え付けにする器具には、デザイナーのスキマ対応感覚が、幅だけでなく奥行き方向にも、高さ方向にもと、三次元に働いている。
こういうもにには、どこかにむりやりデザインのしわ寄せが入り込んでいる。
この洗面台は、ミラーボックスの下の棚の部分と、水栓との間隔が85ミリしかない。
これだけ空いていれば、水栓をひねるのには何の差しさわりもない。
メンテは日常生活の一部でなく相互依存の適用範囲に属し、特殊な工具を取り揃えて持っている専門家の領分だとしてしまうと、こういうモノが出来上がる。
こんな場合を予想して柄のごく短いドライバーを持ってはいるが、それでも長さは115ミリある。
85ミリの空間では、斜めにあてがうことしかできない。
もう一つ短い柄をはめ込んで使うドライバーを持っていたので、そのプラスチック製の柄をのこぎりで切り取ってみたが、先端の寸法が小さいので力が入らない。
小さいドライバーで何度も回しそこなうと、頭の溝が壊れるというネジにとっては最悪の結果を招くのでさっさとあきらめる。
最後の手は、柄のないドライバーを使うこと。
85ミリドライバーには、差し替え用の先端金具がいくつか付いている。
この中からねじ頭に合いそうなものを選んでやってみることにした。
柄のないドライバーをネジ頭に押し付けておいて、プライヤーでねじってみる。
回った! やれやれ。
ドライバーには、柄が必要でないばかりか、邪魔になることもあったのだ。