古い形のものは、どこか懐かしさを覚える。
しかし、くもの巣が張っていては、近づけていく顔の動きにもブレーキがかかり、懐かしさも遠ざかる。
くもの巣を払えば、懐かしさも取り戻せるのに、なぜかそれをしたがらない。
くもの巣の張ったようなものを、そのままだいじにしておくのは、あまり姿を見られなくなったくもに、懐古感が移っているのだろうか。
XX主義と呼ばれるあのことにも、近頃はくもの巣が張って、肝心なところが見えにくくなってきている。
くもの巣を払えば、ものごともはっきり見えてくるのに、なぜかそれをしたがらない。
古く見えるくもの巣が、実はそこにあるものの中では、いちばん新しいのだった。