コンプライアンスというカナ語があります。
直訳すれば「法令遵守」と、都合のよい名訳を公開しているサイトもあります。
「遵守」はわかりますが、「法令」の意味はどこにもないでしょう。
応諾、追従、迎合性という訳語があって、書かれている順にだんだんよくない意味になっていきます。
融通無碍、全く柔順であることぐらいならまあまあですか、要求次第でどうにでもなることとなっては、おだやかではありません。
なぜこんな言葉をありがたがって使うのでしょうか。
いま、日本語界の弱点は翻訳力にあるようです。
言い換え書き換えだけでは優れた翻訳になりません。
巧い訳語が見つからないと、カナに書き換えて、都合よく解釈できる言葉にしてしまうのは悪訳です。
文言と熟語、両方の翻訳を研究する学科が、文学部にあってもよさそうに思いますが、いかがでしょうか。