個人に生活習慣があるように、企業組織にも生活習慣に似た運営習慣があります。
生活習慣病という名前のとおり、習慣は体質づくりに大きく役立っています。
強さを必要としない生活を続けていれば、体は必ず弱くなってきます。
企業の運営習慣も、自力をできるだけ出さずに他力の利用を真っ先に考え続けていれば、体質は必ず弱ります。
世界のS社の衰退など、よくない例はあちこちにあります。
個人の場合にはパタンと倒れるか病がズルズル長引くかの差はあれ、影響はごく近い範囲にしか及びませんが、企業の場合には、親会社の体質劣化はそこの従業員はもとより、子会社、協力会社の存立にかかわり、そこで働く人、その家族にまでと、影響範囲はとてつもなく大きく広がります。
企業運営の悪習慣のひとつに「値切り」というのがあります。
資材購買時の値切り度を経営努力に算定するという、浅知恵の見本のような習慣です。
購買決済責任者は、値切りが行われていれば担当者が努力しているものと認めてしまいます。数字が残って認めさえすればそこで話は終わりなので、値切りの経緯や真偽などは問いません。
悪癖もカビが生えてくると、何でもかでも5%値引きさせようなどと、購買担当部署の管理目標に掲げるアホな行為も平然と行われます。
この4月は、そういう無能な企業には成績を残すよくない機会になります。
消費税の上がった分だけ値引きの対象にしようと、今から考えているかもしれません。
そんな無努力の捏造業績は、運営習慣病となり、めぐりめぐって関連企業全体の、立地地域の、国全体の体質をボロボロと弱くしていきます。
大企業は、不当な支払い制限を自粛するよう、こういう場合こそ経済団体から強烈な呼びかけを期待するところです。
「当然払うべきものを値切ってはいけません」