・・・・・・あわぞうの覗き穴・・・・・・

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口車は行方を確かめにくい

2014年03月25日 | つぶやきの壺焼

日本語の多くは、複数の読み取り方を持っています。
「お」という接頭辞も、尊敬語、丁寧語、謙譲語、虚飾語、軽侮語などさまざまに使われます。
お名前、お弁当、お使い、お洋服、お受験とあらためて並べてみると、個々の言葉が分類と一対一で対応しないこともあります。
分類自体が厳密な定義を持たず、融通無碍だからです。
発信と受信で意味が変わることもあります。この変身が、便利な場合もあれば品格を落とす場合もあります。

「武士に二言はない」という昔の言い回しは、違う言葉を言わないだけでなく、別の意味に変えないということだったと思っています。
「そういう意味で言ったのではない」などと言い逃れはしないとしたものでしょう。

武士がいなくなって、日本語はあやしさの度合いが強くなりました。
二言三言、これは「にごんさんごん」と読んで欲しい、一言に二意三意のつもりの未熟語なのですが、ほとんどの方は「ふたことみこと」と読んでしまうでしょう。
「ふたことみこと」はうるさいと思っても、「にごんさんごん」はおなじみになっていて、おなじみさんには名前はいらないのかもしれません。
「にごんさんごん」があたり前になると、口車という言葉も、乗せて騙すというその特殊性が失われます。口車は行方不明になりそうです。いや、口車はもともと行先不明なのでした。


行先がはっきり確かめられないことと言えば、リサイクルというグルグル回りも、「にごんさんごん」のお仲間さんではないかと思えてきます。
カナ文字で書かれた日本語には「にごんさんごん」にしやすい性格があるようです。
アイデンティティ、コミュニティ、グローバル、エコ、みなそれらしい気がしています。リサイクルもそのお仲間でしょう。

リサイクルという「名目」でゴミを分別させ、「再生資源回収事業者認定」を受けた事業者が収集し、「リサイクル化証明書」を出して、実際の処理はそのまま焼却という話もあります。
排出物が固体から気体に変わってしまえば、量の対比は不可能ですから確かめようがありません。

 しまいには けむになっても リサイクル

そういえば「煙に巻く」という言葉も、近ごろあまり聞かれなくなりました。

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