背負い投げ、決まったときには、まこと見事です。
本田選手を評して「相手を背負って戦えるプレイヤー」と言った人がいます。
ザッケローニ監督です。
そういう目で見ると、サッカーというのは、背後から追ってくる大勢の相手との競技です。
似たものに、ラグビー、アメフト、バスケット、ホッケー、ハンドボール、まだありそうです。
競技には、相手と正面に向き合うものと、相手を背後において逃げるものと、ふたとおりあるのに気づきました。
まだありました。ときには前にいたり、横に並んだり、後ろから追ってきたり、相手の位置が定まらない競技もあります。
しかし、こういう見方には、もっともらしさといいかげんさが織り交ざっています。
いいかげんなのは、追われる競技と言っても、大勢の追う側のプレーヤーを、話の外においていることです。
競技は人間を鍛えます。
競技に経験の全くない人は、困難に立ち向かったり、難局をしのいだり、時を待つのに耐え忍んだりする力が多分弱いでしょう。
おかしなことに、日本語の発音では、「追う」と「負う」は同じです。
「追う」と「負う」では、どちらがプレーヤーに力をつけるでしょうか。
いちばんダメなのは「追う」格好だけしてちょろちょろ走り回っている人でした。