雨上がりの陽光に光る屋根を眺めるのは心地よいものです。
上から見下ろしたとき、美しいのはやはり瓦屋根です。
夜店の金魚すくいの水槽に似た平べったい四角な箱を、数多く隙間なく並べて載せた屋根は、どこか殺伐とした感じがします。
むかしの屋根の材料には、雨に流されないかと心配な草と土、風で飛んでしまいそうな鮭の皮、足の踏み場に困るのではないかと思う牡蠣殻など、いろいろなものが使われていたそうです。
屋根職人という特殊技能をもった人も少なくなり、台風で屋根を飛ばされてもなかなか直りません。
ふだん仕事が極端に少なく、一度にドカッと仕事を頼まれても手に負えない、そんなことを専業にはできないからです。
高いところが好きな人は、ルーファー(Roofer)と呼ばれるそうですが、そのルーファーが、屋根を作ったり直したりするのでなく、屋根を渡り歩く曲芸を動画にして人に見せる仕事ができています。
屋根が元来の目的以外に別の役割を持ち、その役割を演ずる人たちもルーファーと呼ばれるようになりました。
その生業の価値は何なのでしょう。
生産性がはゼロに近くても、命がけですることに見入る人が覚える、なにがしかの感動が価値なのでしょうか。
ひやひやを好まない人は「命がけ? ヤーネ」と言うでしょう。