・・・来年の今月今夜。・・再来年の今月今夜。・・・再々来年の今月今夜・・・。
きっとぼくの涙でこの金色の月を曇らせてみせる・・・。
・・・・貫一さん!・・・・お宮!・・・・。・・・でんな。
・・・それは、金色夜叉 でっしゃろ。 こ ん じ き や しゃ。
ちゃいますがな。金色菩薩。 こんじきぼさつ。
やっしゃ! ぼさっつ としてないで聞きましょか!
・・・・ほんまかいな。・・。
近江の国は、大津の在所。
三井寺山内は 1千年の歴史を持つ 円満院門跡 で鎮座する仏像。
朝。一番。一般参代の前。わずかな可視光線でも金色に光る。
・・・ほう! わずかな 可視光線 でも 金色に光るんでっか!
悲壮の作家 小林多喜二さんの作品のように しぶいでんなぁ。
それ・・ 蟹工船やろ。かにこうせん。ちゃんと聞きなはれ。わずかなのは 可視光線。それとあなたの脳味噌!たのむでほんま。 ・・それから しぶいとかではなく 荘厳なんですわ。これが。
・・・・しかしなんでんなぁ。なんで仏さんの前に出ると わてら荘厳さを感じるのでっしゃろ?
あんさん。わてら此方の岸にいますやろ。仏さんは彼方の岸におりますやろ。わてらあちらの岸のことは分かりませんよってにな。分からんことに対して荘厳になるんやと 思いまっせ。
・・・・なるほどなぁ。 わからんこと ぎょうさんありますわな。
ほんならあれでっか?暑さ寒さも彼岸まで。いいまっしゃろ。彼方の岸にいったら、暑さ寒さなくなるんでっか?
そうかもしれんなぁ・・・・・。
・・・・でも暑さも寒さもなくなったら 面知ろうおまへんな。
・・・・・。
なんか間違えているこの二人・・・・。
暑さ寒さも彼岸まで。
関西ではお水取りも終わり 寒さが暑さに変わるだろう。
めぐる季節と共に 此方の岸では日々新たな出来事が起こる。
金色菩薩との えにしを結んだあと 空は真っ青に澄み渡っていた。
思い出と未来。此方の岸と彼方の岸。
さぁ。生きますか。
ごちゃごちゃな現実を整理するひと時。
与えてくれたのは 旅するこの身と菩薩さん。
その風景。
日日是好日。