咲いた花なら、散るのが定め。
草臥れるし。萎えるし。黄昏るし。見目も良くはない。
それを、かわいそうだとか、きたないとか、むししようとか、そんなふうに思う輩は、役割の何たるかをわかっちゃあいない。
遺伝子は、新しい乗り物に乗り換えながら、命をつなぐ。
生きとし生けるものは、一時の役割でしかない現実から逃れる術は無い。
何かを残そうが残せまいが、全てのものに平等に役割は与えられ、その美しきものの可能性をこの世にしらしめる。
役割を終えたものに、慈しみと謙譲の美学を見ないものは、己の役割の絶頂の美しさに気づかない。
綺麗なものを見逃していれば、その枯れつつある姿でしか判断できなくなるのだ。
と。教えてくれているようだ。
まだこの花も役割を、終えてはいない。