この種の花には、托粉活動にきっちりとした戦略を取るものが多いという。
花粉の位置が深いために、奥へ奥へと誘い込まれる内に、入り口がにわかに閉じるというのである。
強い芳香がそれを補佐する。
托粉される側は、それこそ戦略の虜である。
粉まみれになって喜び勇み、飛び回り、飛び移り、受粉のミッションを確実にこなすことになる。
上等な戦略とは、そういうものであると、孫子もうなるのである。
「じんちょう」か、「ちんちょう」かは、分かれるところであるが、どちらにしても、「しんちょう」な戦略を取る花なのである。