「現代の人道の天空は、富と権力を得んと争う莫大な努力によって全く粉砕させられている。
世は利己、俗悪の闇に迷っている。知識は心にやましいことをして得られ、仁は実利のために行われている。
東西両洋は、立ち騒ぐ二竜のごとく、人生の宝玉を得ようとすれどそのかいもない。
われわれは大権化(だいごんげ)の出現を待つ。
まぁ、茶でも一口すすろうではないか。
明るい午後の日は竹林にはえ、泉水はうれしげな音を立て、松籟(しょうらい)はわが茶釜に聞こえている。
はかないことを夢に見て、美しいとりとめのないことをあれやこれやとかんがえようではないか。」
-1906年出版「茶の本」岡倉覚三著より、抜粋-
時は移れどさりぬるを。か。
喫茶去(きっさこ)に思いを寄せて。
茶でもすすろうか。