わらしべ長者は、藁にアブをくくりつけたが、僕だったらトンボをくくりつけるたぶん。
なんとなくあぶはち取らずで終わりそうだから。
おまけにトンボは勝ち虫といわれる縁起物だ。
田舎のおふくろは、トンボを指の先に止まらせる離れ業のできるひとである。
先日ボーとしていたら、僕の禿げ頭にあろうことかトンボが止まった。
何と勘違いしたのか、今だに謎であるが、くくりつけるよりこっちがずっといいとしばらくとまらせておいた。
いつか、藁しべ長者や勝ち組になるかも知れないと期待は高まるものの、すでに傘寿を超えたおふくろをみていると、そうでもないかもしれないとも思いながら、しばらくトンボの足先の心地を禿げ頭でじかに感じて楽しんだ、夏の午後でありました。