小さな旅、大きな旅の写真物語(Virtual trips/travels)

京都や東京を本拠地として、自然の中や町を歩きながら、撮った写真をどんどん掲載します。いっしょに歩いているように。

レンズ沼のレンズ沼たる所以  4種のZeiss 18mm広角レンズを比較

2017-03-11 21:17:37 | 日記
レンズ沼のレンズ沼たる所以  4種のZeiss 18mm広角レンズを比較

2017-3-7 新宿御苑

最近念願のZeiss Batis 18mmを中古で購入。まだまだ値下がり率は微々たるものだが。それでも15万円台で入手。Sony alpha7RII 2台体制をとる当方にとって、18mmは当方のメインであるマクロレンズと対になる重要なポジションにある。

早速、手持ちの18mm (APS-Cでは12mmに相当)レンズ4本を比較してみた。Sony FE 16-35mmはこれ等の中で唯一ズームレンズだが、これもZeiss設計のレンズである。よって4種のZeiss 18mmの比較となります。

使用カメラ:フルサイズはSony alpha7RII、APS-CはFujifilm X-T10。

レンズは以下の通り。Zeiss Distagon 18mm はニコンマウントであるからKipon NIK-R/Mでライカマウントとして、さらにVoigtiandar VM-E Close Focus Adaptorでソニーマウントとした。後者はClose Focusが組み込まれているので最短撮影距離が0.3mの場合と、0.15mの場合2種で撮影した。0.15Mの接写というのが当方にとって、極めて重要である。その他のレンズも常に最短撮影距離で撮影した。

掲載する写真はJPEG画像をほぼ同じ花の大きさにトリミング拡大し、その他の修正は一切行っていない。Sony FE 16-35mmは18mmの場合のみならず16mmの場合も比較した。




Sony alpha7RII + Zeiss Batis 18mm F2.8 , 1/2500


Sony alpha7RII + Zeiss Batis 18mm F9, 1/500


Sony alpha7RII + Zeiss Distagon 18mm FZ (Cosina) F3.5, 1/3200


Sony alpha7RII + Zeiss Distagon 18mm FZ (Cosina) F9, 1/500


Sony alpha7RII + Zeiss Distagon 18mm FZ (Cosina) +Kipon NIK-R/M + Voigtlandar VM-E Close Focus Adaptor F3.5, 1/3200


Sony alpha7RII + Zeiss Distagon 18mm FZ (Cosina) +Kipon NIK-R/M + Voigtlandar VM-E Close Focus Adaptor F9, 1/500


Sony alpha7RII + SonyVario-Tessar T* FE 16-35mm 18mm F4, 1/2000


Sony alpha7RII + Sony Vario-Tessar T* FE 16-35mm 18mm F9, 1/500


Sony alpha7RII + Sony Vario-Tessar T* FE 16-35mm 16mm F4, 1/2000


Sony alpha7RII + Sony Vario-Tessar T* FE 16-35mm 16mm F9. 1/500


Fujifilm -T10 + Zeiss touit 12mm F3.2, 1/2000


Fujifilm -T10 + Zeiss touit 12mm F9, 1/500

画面を見ても大差ないと思われるに違いなので説明しておきます。
1、 Zeiss Distagon 18mmはもともと1966年の設計。当方はZeiss Distagon 18mm と10年以上付き合っている。50年前の設計であるが、今でもこの4種のなかで最も解像が優れていると思っている。このレンズで撮った絵を拡大してゆくと、レンズより先にセンサーのドットが崩れてしまう。しかしながら、当方が感じる欠点は光が多い時の色は抜群なのだが、光が無い曇りではダルな色彩になる豹変的性格にある。いつでも安定したフルサイズ18mmレンズがどうしても必要だ。ニコンマウント用レンズなので、Close Focus Adaptorをかますと最短撮影距離を15cmまで持って行けるところが、他の追従を許さない。
2、 APS-C用Zeiss touit 12mm は実質18mmで、4年前に発売された新しい設計のZeissレンズである。 Fujifilmカメラと組み合わせると抜群の色と解像を示す。なぜかSonyカメラよりFujifilmカメラに相性がいい。最短撮影距離が18cmであり、驚異的レンズと思っている。
3、 Sony FE16-35mmは2年ちょっと前にSonyから発売されたが、設計はツアイスである。当時はSony α7カメラに対応する広角レンズはこれしかなかったので仕方なく買ったのだが、Zeiss Distagon 18mmの持つ解像やビビッドな色気が消えたしまった。広角側はちょこちょこ写角なぞ変えたって、大差ない。ズームなぞ必要ないのである。
4、 Zeiss Batis 18mmは昨年発売された、Sony α7カメラ専用のレンズである。その形からいって、おそらくtouit 12mmの設計の延長上にあると考えられる。よって、Zeiss Batis 18mmにtouit 12mmのような解像と色気を期待したのだ。


Sony alpha7RII + Zeiss Batis 18mm F2.8 , 1/1000


Sony alpha7RII + Zeiss Distagon 18mm FZ (Cosina) F3.5, 1/1000


Sony alpha7RII + Zeiss Distagon 18mm FZ (Cosina) F9, 1/500


Sony alpha7RII + Zeiss Distagon 18mm FZ (Cosina) +Kipon NIK-R/M + Voigtlandar VM-E Close Focus Adaptor F3.5, 1/3200


Sony alpha7RII + Zeiss Distagon 18mm FZ (Cosina) +Kipon NIK-R/M + Voigtlandar VM-E Close Focus Adaptor F9, 1/500


Sony alpha7RII + Sony Vario-Tessar T* FE 16-35mm 18mm F4, 1/1000


Sony alpha7RII + Sony Vario-Tessar T* FE 16-35mm 18mm F9, 1/500


Fujifilm -T10 + Zeiss touit 12mm F2.8, 1/12500


Fujifilm -T10 + Zeiss touit 12mm F9, 1/500

ここから先は、Fujifilm -T10 + Zeiss touit 12mmにSony alpha7RII + Zeiss Batis 18mmがどこまで追いつくかを試している。変な話で、APS-Cにフルサイズが追いつくかと言っているのである。


Sony alpha7RII + Zeiss Batis 18mm


Fujifilm X-T10 + Zeiss touit 12mm


Sony alpha7RII + Zeiss Batis 18mm


Fujifilm X-T10 + Zeiss touit 12mm


Sony alpha7RII + Zeiss Batis 18mm


Fujifilm X-T10 + Zeiss touit 12mm


Sony alpha7RII + Zeiss Batis 18mm  寒桜


Fujifilm X-T10 + Zeiss touit 12mm


Sony alpha7RII + Zeiss Batis 18mm


Fujifilm X-T10 + Zeiss touit 12mm

結論として
1、Zeiss Batis 18mmはSony Vario-Tessar T* FE 16-35mmが失ったZeissの解像と色気を取り戻しており、使える。
2、Sony alpha7RII + Zeiss Batis 18mmはFujifilm X-T10 + Zeiss touit 12mmに比して、どっしりとした落ち着きがあり、フルサイズの貫禄はやはりある。価格から言って当たり前かもしれないが、Fujifilm X-T10に比してSony alpha7RIIのメカはずっと使いやすい。
3、Zeiss Distagon 18mm FZ (Cosina) +Kipon NIK-R/M + Voigtlandar VM-E Close Focus Adaptorによる15cmまでの接近撮影は唯一無二のメリットであり、Batis 18mmを買ってもDistagon 18mmを売るわけにはいかない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

CP+2017レポート 中判カメラ3種 VS フルサイズ・Sony α7RII その3

2017-03-04 19:52:40 | 日記
CP+2017レポート 中判カメラ3種 VS フルサイズ・Sony α7RII その3

これまで、デジタル中判カメラといえば、Pentax 645D から始まってPentax 645Zへ進化したPentax 645中判カメラしかありませんでした。Pentax 645Zは死ぬまでには一度は使ってみたいカメラです/でした?



<その2>に書いたように、フィルム時代から現在にいたるまで風景写真のフォトコンはPentax 645フィルムカメラが席捲しています。このファンの要望に応えて、ビジネスにならないという社内の反対勢力を押し切ってデジタルカメラPentax 645D/Zが誕生し、よくやってくれたと世の中は大いに歓迎したのです。CP+でPentax 645D/Zのプレゼンを聞いて、その力にいつも感心していました。 

一眼レフで本体が1.5kgありますから、マクロレンズをつけると2.3kgになります。その重さゆえに、年とともに夢はどんどん遠ざかっていったのです。

  ところが、昨年末にハッセルブラッド、今年になって富士フィルムがデジタル・ミラーレス。中判カメラをあいついで発売しました。富士フィルム+マクロレンズで1.8kg、ハッセルブラッド+マクロレンズで1.3kg。なんとか1.5kg前後に納まってきました。あこがれてきたPentax 645か、新鋭ミラーレスか、そりゃ皆さんドキドキしますよ。



本体のRICOHの業績は苦しく、絶対的優位を保ってきたPentax645Zも追い上げられて、今年はPentaxの苦難の年になりそうです。  このプレゼンで、Pentax 645Zは必死の反撃を試みています。 Pentax 645Zはミラーがある一眼レフ、富士フィルムとハッセルブラッドはミラーレス。この大きな相違点が論点です。







HASEO氏はドレスの布(実際は紙だそうです)を揺らして、1ショット(連射なし)一発で写真を撮るそうです。ミラーで実体を見ながら、ベストタイミングを一発で捉えることの重要性を力説していました。 中判カメラは3台とも2~3コマ/秒ですから、連写もくそもあったもんじゃない、一発勝負は当然です。 

このプレゼンを聞いたとき、当方もミラーレス中判を選択する不安を強く感じたのです。なぜなら、ミラーレス(Sony alpha7RII)/マクロ撮影でアリを撮っていた時に、アリのスピードに全くついて行けない。ミラーレスのシャッター・タイムラグのためにアリをフォーカスしながら撮ることは至難の業だったのです。鳥撮りでないネーチャー・フォトにおいてもミラーレスでつらい時があるのです。

つぎはハッセルブラッドです。こちらはもともと中判フィルムカメラの名門で、これを持っているアマチュアは、このカメラに高額の投資をする決断が出来たというだけで尊敬されるのでした。



しかしながら、ハッセルブラッドのブースは小さなものでした。プレゼン内容もだた触らせるだけで、ハッセルブラッドの新製品、中判ミラーレスX1Dの売り込み内容がちっとも伝わってきませんでした。
手に取った感触、覗いた感触いずれも魅かれるところはありませんでした。プレゼンがプアーですから、しょうがない。実体はわかりません。昨年のソニーNEX-7をベースとしたハッセルブラッドのLunarの時はもっと一生懸命だったのですが今年の中判ミラーレスX1Dは勢いが大幅ダウンです。バカ高いLunar、実態は日本で生産ということで、結局売れたようには見えません。今度も100万円近いX1D、実態は日本で生産。Lunarよりはましでしょうが、ハッセルブラッドのデジタル移行が成功するか否かはスレスレの線でしょう。


ハッセルブラッドX1D


目の前に、Fujifilm GFX 50S, Pentax 645Z, HasselbladX1Dの3台が並べられ、好きなのを一台持って行っていいといわれたらどうしましょう。まずHasselbladX1Dが落ちて、Fujifilm GFX 50S, Pentax 645Zは結構迷って、結局Fujifilm GFX 50Sを持って行くかな??

さて、Sony alpha7RIIの話に移ります。CP+2017ではソニーのブースは一番大きい。キヤノンが一回り小さく、ニコンと富士フィルムが2/3, リコー/ペンタックス、オリンパス、パナソニックが半分弱という勢力分布となっています。今のところは、ソニーの躍進とニコン、リコー/ペンタックスの衰退が明白になりました。
たまたまソニーの下記トークにぶち当たって、足を止めました。






柏倉氏が夏は西表島、冬は北海道、大雪山・野付半島などでSony alpha7RII, alpha7SII, 6500の3台をもって撮影、打田氏がその撮影風景をコマーシャル動画としたものです。



レンズはFE 70-200mm F2.8 GM OSS SEL70200GMとFE 24-70mm F2.8 GM SEL2470GMが中心。 この最新レンズはF2.8ですから20万円以上する憧れのレンズです。







柏倉氏のスチール写真において、高感度特性に重点をおいたSony alpha7SIIを使ったのはこれと2枚だけでした。絶賛していますが、使う場面はSony alpha7RIIに比して、1/10以下であることが実体と思われます。そりゃそうですよね、夜を好んで撮る人はマイナーですよ。当方もハブのいる沖縄で夜撮るのはいやですよ。
Sony alpha7SIIが活躍するのは圧倒的に打田氏の動画。動画に長時間露光というのは無いから、Sony alpha7SIIのほうが使い勝手がいい、よってこれが動画のメインとなる。 というか、この地の果ての環境でコマーシャル動画を撮るのは、Sony alpha7SII/Sony alpha7RIIがあって初めてできる。





ここまでが西表島。



-30℃、大雪山でのSony alpha7RIIによる撮影。





北海道、野付半島でのSony alpha7RIIによる撮影。



野付半島でのSony α6500による撮影。

以下、打田氏のコマーシャル動画。









当方、動画に関してはさっぱりわかりませんが、打田氏はS-Logを絶賛していました。S-Log使用時は、撮影後にグレーディングを行うことで、それぞれのシーンに合わせた自由度の高い映像表現が可能になります。左がグレーディング前、右が後です。



柏倉氏はヒトの入りもむことが困難な場所に体当たりでどんどん入り込んでゆく、ネーチャーフォトグラファーとして、その厳しい態度は好感が持てる。ちょっと売れてくると、車で乗り付け、アシスタントを大勢使って撮影し、受けを狙った適当な味付けをして作品を出すプロ写真家の<ユルイ世界>が写真界でもてはやされる。これが当方が写真が嫌いな理由である。アートの世界は、自分の中に湧いてくる表したい何ものかを追いかけて、一生まだまだダメだ、まだまだダメだといって死ぬまで追い続けるものなのだ。
柏倉氏が極限に挑むことができるのはSony alpha7RIIがあるからである。 逆に言えば、Sony alpha7RIIが出来て、新たに生まれた可能性を、自分の目的に向かって極限まで追いかけているということだ。

なぜ、ソニーがストイックな柏倉氏をプレゼンターとし、富士フィルムが<ユルイ>プレゼンターを使ったのか。これはいまの写真界自体が<ユルイ世界>に立脚しており、富士フィルムは過去のフイルム時代からの流れから、この今のユルイ写真界に中心にいるのに対して、新参者ソニーはそういうしがらみがない、必死に過去と未来を追っているからと思う。
さて、中判カメラ3者とSony alpha7RIIの位置関係は、<中判カメラは買いか>という命題の答えは?
中判カメラはやはりFujifilm GFX 50Sが買いだろう。その階調の高さを生かす撮り方をしなければ。スタジオ撮影、人物特に女性、花などを中心に攻めるなら、Sony alpha7RIIに比して中判の多少の階調の高さは意味あるものになる。Fujifilmはフィルム時代のメンバーがカメラの色彩の最終調整を行っているそうだ。Fujifilm GFX 50SはFujifilm X-T2と同じ色彩が出せたといっている。そのFujifilmの色に魅かれて買うのも意味あるかもしれない。風景写真や旅行写真に中判カメラを担いでゆくのは特別な場合であり、 通常はむしろ高画質でありながら高い機動性を持つSony alpha7RIIを使うべきだろう。絶景といわれるみんなが集まる場面に車で乗り付けて中判カメラで撮るという、清一色的カメラワークを当方は好まない。自然のなかではあくまで動き回まわって、誰も撮ったことのないシーンを探すのがネーチャー・フォトであると信じる。但し、プロフェッショナルなコマーシャル・フォトは別だ。スタジオであろうが、フィールドであろうが、万難を排して少しでもいい絵を作る機材を使うのが当然だ。
と考えてくると、当然ソニーは黙っていないだろう。スタジオ撮影でSony alpha7RIIよりFujifilm GFX 50Sが選ばれることは間違いない。遅かれ早かれソニーは中判カメラを出してくる。ソニーはFujifilm GFX 50Sを越さねばならない。ソニーは今はニコン/キヤノンの一眼レフを超すことを第一目標としているが、すでに中判カメラの開発に入っているだろう。その双方がドッキングした時にα9中判カメラが誕生する。それはいつか? 今年の暮れか、来年の初めか? SonyがRicohの苦戦に付け込んで、Pentaxを抱き込んで、Pentaxの中判カメラ・ノウハウを手に入れるかもしれない。 
結論は、お金もないことだし、ソニー中判カメラの噂がはっきり見えてくるまで、しばらく待つことにしましょう。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

CP+2017レポート 中判カメラ3種 VS フルサイズ・Sony α7RII その2

2017-03-01 20:47:39 | 日記
富士フィルムの新製品、中判カメラFujifilm GFX 50Sに関する3つのトークを聞くために、土曜に続いて、日曜もパシフィコ横浜CP+へ出かけました。 3つのうち中村さんのトークはおおいに参考になりました。彼は完全にスタジオ撮影。
以下の写真は全てFujifilm X-T10 + Zeiss touit 32mmでプレゼンスライドを撮影したものです







この2つの写真はFujifilm GFX 50Sではなく、別の中判カメラの作品ですが、この写真が中判カメラのメリットを的確に現しています。 巨大なパネルに引き伸ばしても破たんしない高画素数と、それより重要なのは階調にあるといいます。階調が多ければ多いほど、色や明るさの変化をなめらかなグラデーションで表現でき、自然に近い描画ができる。なぜセンサーサイズが大きくなるほど階調表現レベルが高くなるのかは良くわからないのだが、とにかくグラデーションがきれいになるので、生っぽくなる。当方には本物以上の生っぽい色気が出てくるように見える。





この2枚は、左が中判, Fujifilm GFX 50Sで右がAPS-C, Fujifilm X-T2。この写真を見ると、ボケの出方は当然違うが、生っぽさの違いはわずかである。プレゼンターもむしろFujifilm X-T2の表現にビックリであると言っていました。









中村氏は花と水の組み合わせに挑戦している。水盤の上に花を置いたり、水滴をうまく使ったり。複数の色でライティングすることによる水滴を魅力的に見せたり。正に、波や水鏡を追っている当方の琴線に触れる方向であった。

結局、Fujifilm GFX 50S 中判とAPS-Cの差を明確に示すサンプルは出てこなかったが、大事なのは使っている人の総合的感触で、それを証明する一枚の写真を提示するのは容易なことでない。当方もレンズの特徴の違いを表すブログ用写真を選び出すのに苦労している。長期に触っていると、その違いというのが明確にわかってくるのである。これだけシビヤーに画像を追いかけている中村氏の結論を当方は信じてしまう。とにかく、<階調>という言葉に引き込まれてゆく。
さてほかの2名のトークはどうだったのか?



この方は大変人気があるらしく、トークが始まるだいぶ前から席は満員。トークがはじまる寸前まで空席がめだった中村氏とは大違いであった。内容はニュージーランドの旅で、このトークの寸前に帰国したそうである。







いい写真を3枚だけ選んで載せます。この写真を見る限り文句をいう点はありませんが、トーク全体は、何がFujifilm GFX 50Sのメリットかちっともわからなかった。単なるニュージーランドの観光写真。上の写真で、岩陰に鳥を入れるのに苦労した、年取って目が悪くなったと言っていたが、この中判カメラはミラーレスだから、チャッタータイムラグが大きいためで、年のせいではない。どうやら、この方、メカは全然わかっていないようだ。まあ、Fujifilm GFX 50Sを持って行くところに行けば、きれいな写真が撮れるということは理解した。




次は萩原氏。<風景写真>の編集長であったということで、彼の写真方向は見なくてもわかる。







これもいい写真だけ3枚選択しました。写真に文句をつける点はありませんが、なぜかほとんどの写真が、絞りをぎりぎりまで絞って、スローシャッターを切っていることが引っ掛かりました。水面とか雪をスローシャッターで表現したいことはわかるのですが、なんで他の写真全部そうなのか? 焦点深度の浅い中判カメラをピシッと見せるために、絞り込んでパンフォーカス、オンリーとしたのか。そりゃあんまりバカじゃない。

この方のトークからもFujifilm GFX 50Sのメリットが読み取れません。もともと風景写真は中判ペンタックス645フィルムカメラが席捲してきました。デジタルよりフィルムの方がいいと言われ続けてきた中でのFujifilm GFX 50Sの位置が不明。いくら口で、これからの風景写真はFujifilm GFX 50Sが主軸となるだろうと言われても信用できません。





梅の花を撮っていたら、メジロが写っていること気づいて、これをトリミング拡大。 この鳥の撮り方が意味ある撮り方になるだろうとおっしゃる。 何かすべてが軽い。 中村氏の自分の目標をどこまでも追いかける姿勢に対して、他の2者の姿勢はなんとも<ゆるい>。 この<ゆるさ>が一般のカメラファンには受けるのか? 後で述べるソニーのトーク、柏倉氏のシビヤーさに比してこの<ゆるさ>、 一般受けをねらう富士フィルムとストイックなソニーのスタンスの違いが見える。 富士フィルムの展示会における当方の違和感は、富士フィルムのもともと持っているこれまでの写真に対する古い考えに起因する。当方には<アートとしてはなんとゆるい世界なのか>としてしか映らない。


Fujifilm GFX 50S

富士フィルムの持つフイルム時代の写真感。そのオールドな写真感に対する違和感とは別に、富士フィルムのカメラFujifilm GFX 50Sは信頼できる。なんとも地味な外見ではあるが、持った感じはシックリとし、撮れるカメラという感触をひしひし感じている。この富士フィルムに併存するオールド・フィルム屋の残影とカメラ技術者のチャレンジの2面性がなぜ起きるのかは最後にまた議論しましょう。


他の中判カメラとフルサイズSony alpha7RIIに関しては<その3>をご期待ください。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする