これからのデジタルカメラの方向を考える独り言
あんまり、カメラのメカに関して議論したくないのですが、カメラメーカーに2つお願いがあるので書きます。
その1、これは前から言っているのですが、ペンタックスさんに、200mm limitedを作ってもらいたい。軽くて性能のいい望遠単焦点レンズがどうしても欲しいのです。単純に★DA200mmは重たすぎるのですよ。
その2、陶芸教室の新年会で、カメラのプロダクトデザインをしている女性と話しているときに、これからのカメラに関しての話となりました。当方の主張として、カメラとタブレットとロボットの3つのコラボレーションがキーワードだと言いました。
<写真>でなんだろうと素人なりに考えます。真実を写すと書きます。カメラが出来た時に絵画にくらべると真実を写すと思ったのでしょう。写真には<説明/報道写真>と<絵画的写真>の2つのベクトルがあると思っています。その混じりあいで出来ています。写真はその発祥からいって、<説明/報道>の要素からはじまり、この要素の割合が大きい。写真でいくら絵画的に優れていたからといって、それに2億円払う人はいません。絵画なら何億円でも払う人がいるのです。どう転んでも絵画的要素で写真は絵画にかないません。一方、<説明/報道写真>的要素では圧倒的に写真が有利です。連写、高感度、望遠に広角など、人の目に見えないことまで出来ます。ですから、カメラを語る人達は、人の目で出来ないことをメカに期待して、メカの話ばかりするわけです。必要もないのに、最高速が何百キロといって喜ぶ車ファンと同じです。<説明/報道写真>が現状、写真でお金を得る商業的(プロ)の主たる領域であり、商品写真やモデルの写真は絵画的要素というより、どちらかというと説明要素に分類されると思います。ですから、カメラメーカーの追いかける主体は<説明/報道的>要素です。特に日本は。絵画的要素は金にならないので、アマのオジサン(当方もここにいます)が好む一つの領域となっています。プロ用カメラの大御所であるニコンがD3をD3xとD3sに分けたのはその2つの要素に分化させようとしたのでしょう(なんでまたD4に統合したのでしょうか。そのうちまた分化させるのでしょうか)。ペンタックスは645Dに代表されるように、<絵画的写真>にふっています。すくなくとも<説明/報道的>要素でニコン、キャノンに対抗しようという意図をもっていません。
ところが、カメラがデジタル化されて、<絵画的写真>の要素が新たな次元に入ったと思うのです。当方が写真に興味を持ったのはデジタル化されて、<絵画的写真>の要素が発展する可能性を見たのです。無論<説明/報道写真>の要素もデジタル化により進展する可能性があり、現在カメラメーカーはそれを追っているのですが、<絵画的写真>もこれまで以上に壁を打ち破るチャンスが訪れたと思っているのです。いまは到底2億円を稼げる写真は無いかもしれないが、将来は2億円を稼ぐ写真ができてもおかしくないという可能性が見えるのです。その第一ステップとして図のような装置を作ってください。
デジタル一眼レフを使った、絵画を画く装置を作ってほしいのです。書く人は一日座って、タブレットに絵を描くのです。アマでいわば日曜画家です。プロの画家は何度も何度も現場に通って、何度も何度も素描をして、何か月、何年もかかって一つの絵をかくのです、だから何億円の価値が生まれるのです。現在は何か月、何年かけるのはむりですが、現場で一日かけて写真を作るという方向がデジタルで生まれようとしているのです。タブレットは全ての機能が集中されて、CGも出来れば、ロボットを操作して、カメラの向きや、ズームや撮影条件をコントロールできるのです。現場でこれをやれるのです。ペンタックス645Dがその入り口を作った。一つの写真を撮るのに時間単位が必要であり、絵画的要素を追求した。それなのになぜ、不必要用部分を切り落としただけで、必要な要素を拡大追求しないのか。ペンタックスもニコンもなぜカメラに必要な全てを受け持たせようとするのか。小さなボディーに詰め込んだって無理です。多くの部分をタブレットに分担させるべきです。一番怠慢なのは三脚です。三脚はなんにも進歩していない。三脚はカメラ、タブレットをむすぶ拠点にならなければ。ある程度の大きさを確保できるのですから、いまのカメラの電子部分やマイクロモーター部分をもっと受け持てるのです。
スタジオの商業写真はこれに近いことやっているのでしょうが、スタジオからそれを持ち出せるようにしなければならない。写真はスタジオだけで撮る話ではないからです。少なくとも電子部分はタブレットで軽くなりました。カメラと三脚を足した重量を、カメラから三脚に一部移すことによって、カメラ自体の重量の肥大化を抑えようとしているのです。カメラの機能の一部が三脚に移れば、三脚がもっと進展して、総重量低減が行われ、コンパクトになる方向が加速するでしょう。トータルとして、機能は上昇する枠が広がり、且つコンパクトになれる。三脚を使う必要のない時と使う必要のある時を分離できれば、カメラはもっと身軽になるのです。
これは、なにか、結局、ペンタックスとニコンにお願いしていることです。この部分はキャノンには期待していないのです。<説明/報道的>から発生したメカ要素をうまく追求して、プロと素人、双方をうまく取こんだのはキャノンです。キャノンが絵画的要素を満足出来るか出来ないか私は知りません。少なくとも、キャノンが追いかけているのは、これまでの写真がもっている方向そのものをメカ的に追及していると見えるのです。キャノンが自慢しているのは、羽ばたいている鳥が綺麗に撮れるというのが第一の主張です。2つのベクトルの比率を変えようとしているわけではないのです。素直にこれまでの方向を追求しています。これはこれで否定してはいません。私はデジタルが新たに生み出した絵画的要素のフロンティアを追求することをペンタックスさんやニコンさんにお願いしているのです。
訂正(2012-4-27) 写真が最も高く売れたケースで3億円を越したことがあるとネットにでていました。日本人でも1億円くらいで写真を売っている方がいるそうです。写真に何億も出す人はいないだろうというのはあやまりでした。しかし、当方の話の骨子はかわらないと思います。