気になるキーワードや製品のコレクション(IT編)

メルマガ、新聞、雑誌などに登場する(増田悦夫の)気になるキーワード、製品を取り上げ、ITの進展をフォローします。

"ダークパターン"とは

2025-02-01 23:21:57 | セキュリティ技術・サービス・脅威

ユーザーを騙し人々の判断を誤らせるインターフェースと定義されるようですが、具体的には、スマートフォン(スマホ)のアプリやECサイトなどの操作画面で、ユーザーを騙したり、勘違いさせるようなデザインを指しているようです。

海外においてECサイトの設計で問題視されるようになったのを受け、我が国でも2022年頃から注目されているようです(※3)。必須であると偽って会員登録させたり、重要な情報を視覚的に不鮮明に表示したり、試行期間終了後明確な同意なしに契約を自動更新したり、虚偽または誤解を招くような「お客様の声」を掲載したり、カウントダウンタイマーの使用や在庫僅少の表示により商品購入のプレッシャーをかけたりなど色々な事例が知られています。

OECD(経済協力開発機構)の2022年10月26日付けレポートでは、ダークパターンを次のような7つの類型に整理しています(※1、※2):① 行為の強制(Forced Action)、②インターフェース干渉(Interface Interference)、③ 執拗な繰り返し(Nagging)、④妨害(Obstruction)、⑤ こっそり(Sneaking)、⑥社会的証明(Social Proof)、⑦緊急性(Urgency)。

なお、社会心理学に関する書籍(※0)には、消費者への警鐘として、例えば数量の制限や最終期限を付けることによる「希少性」の強調など、消費者を商品購入に誘導するようなテクニックなどが紹介されているようです。

スマホアプリやECサイトの操作画面上でダークパターンを使用する企業は多く、それを無くすのが難しそうな中、被害を抑えるようにするための取り組みも最近広がりつつあるようです。民間レベルでは、2024年9月27日に、一般社団法人「ダークパターン対策協会」が設立されていますし(※4)、政府においても「消費者基本計画」(注:2025年3月までに閣議決定予定)の素案に実効的な対応の必要性が明記されています(※5)。また、現状においてダークパターンの取り締まりに、特定商取引法、景品表示法、消費者安全法、独占禁止法、個人情報保護法といった既存法律が活用できそうです。

<参考となる文献等>

※0 ロバート・B・チャルディーニ/著(社会行動研究会/監訳)『影響力の武器 人を動かす七つの原理 新版』、誠信書房、2023年11月。注)目次は以下:

  第1章 影響力の武器―説得の(強力な)七つ道具
  第2章 返報性―昔からある「ギブ・アンド・テイク」だが…
  第3章 好意―優しそうな顔をした泥棒
  第4章 社会的証明―真実は私たちに
  第5章 権威―導かれる服従
  第6章 希少性―わずかなものについての法則
  第7章 コミットメントと一貫性―心に棲む小鬼
  第8章 一体性―「私たち」とは共有された「私」のこと
  第9章 手っ取り早い影響力―自動化された時代の原始的な承諾

※1 Dark commercial patterns、OECD Digital Economy Papers、2022. 10. 26、https://www.oecd.org/en/publications/dark-commercial-patterns_44f5e846-en.html

※2 長谷川 敦士:消費者を欺くダークパタンとは、国民生活 2024.3

※3 カウントダウンのわな…買い物サイトのダークパターン、読売新聞オンライン 2022/7/26

※4 プレスリリース(2024.10.2)のページは、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000150490.html

※5 消費者基本計画(素案)第1章 1.項、2024.11.11、https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2024/446/doc/20241111_shiryou1-2.pdf(内閣府)


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« "Bard(バード)(グーグル)... | トップ | "AGI(人工汎用知能)"とは »
最新の画像もっと見る

セキュリティ技術・サービス・脅威」カテゴリの最新記事