B2B、B2C、O2Oなどといった用語がありますが、V2Xの「2」は、英語の「to」を意味しています。即ち、Vehicle(車)を意味する「V」から幅広い対象物を意味する「X」へという意味です。Vehicle to Everythingとも呼ばれます。
具体的には、「車車間通信」や「路車間通信」といった車と車、道路(信号機や標識)の他、車と情報ネットワーク、歩行者などが相互に通信する仕組みのことです。特に、情報ネットワーク(携帯電話網)とセルラー方式でつながる場合は「セルラーV2X」とも呼ばれます。図を参照。
現在の交通システムは、人間(ドライバー)が信号機や標識などを目で見て判断するように出来上がっていると言われています。しかし、AIを搭載してドライバーを不要とする自動運転などでは、目に当たるカメラやレーダーからの情報だけでは不十分で、その他の情報を通信機能を利用して得ることが有効と考えられています。そのような考えから、安全性の確保などのために通信機能を利用して車とその周囲とが通信して情報収集や交換を行う仕組みが注目されてきています。
例えば、信号機が赤の時、カメラで得られる色の情報に比べ、信号機と通信する場合には「赤」という情報以外にあと何秒で「青」に変わるかなどの情報も得られることになり、効率や安全性が増す可能性があります。
自動運転向け通信技術であるV2X技術は自動運転で必要となる技術であるとともに人間が運転する場合においても有効となりそうで、今後、急速に普及していきそうです。「NTTドコモ」、半導体メーカーの「ルネサスエレクトロニクス」、その他、この分野へ参入する企業も登場しています。