さやかなる音聴きに来ぬ秋の川
秋に冷ややかに澄んだ水が流れていく川をいう。
晴れた日には秋の日差しが水底まで届き、魚影や落葉の影をくっきりと見せる。
渓谷ではひんやりとした水が急ぐなど、いずれも秋らしい風景である。
秋の川にやってきた。
澄んだ川の音を聴くためである。
秋川の橋の眺めを好みけり
さやかなる音聴きに来ぬ秋の川
秋に冷ややかに澄んだ水が流れていく川をいう。
晴れた日には秋の日差しが水底まで届き、魚影や落葉の影をくっきりと見せる。
渓谷ではひんやりとした水が急ぐなど、いずれも秋らしい風景である。
秋の川にやってきた。
澄んだ川の音を聴くためである。
秋川の橋の眺めを好みけり
大木の猿の腰掛分厚かり
担子菌類ヒダナシタケ目サルノコシカケ亜目の木質多年生のきのこの総称。
傘や柄はなく、朽木や古木に水平に生え、半円形や棚状に生長する。
年を経ると径一メートルにもなる種もある。
霊芝と呼ばれ、漢方薬に用いられるほか、細工物にされたりする。
大木の幹の途中に猿の腰掛が生えていた。
それは大木にふさわしく、分厚かった。
江戸よりの用水近し猿茸(ましらたけ)
合歓は実に母子話の弾みゐて
合歓木(ねむのき)はマメ科の落葉高木。
山野に自生し、庭木ともされる。
夏に咲いた花柄に、秋に莢果をつけて熟す。
実は地味で、晩秋に莢の中の実がこぼれ落ちる。
川沿いの道に合歓の実が生っていた。
向こうから母と娘が話しながらやってきた。
楽しそうに話が弾んでいた。
合歓の実や走り始めし部活の子
その下の歩道歩きぬ破芭蕉
秋になり、風雨で葉が破れた芭蕉をいう。
夏に広げられた緑の葉は、やがて裂け、破れして痛ましい姿となる。
その侘びた趣を賞して季語となった。
農家の一角に道にまで出た破芭蕉が見られた。
その下の歩道を芭蕉を見上げながら歩いて行った。
破芭蕉農家の納屋の丸見えに
無花果の高きに生りて香りけり
クワ科の落葉小高木。
西南アジア原産。
日本には江戸時代初期に渡来した。
秋に果実が熟す。
食用にされているのは実のように見える花嚢といわれる部分で、小さな花が集まったもの。
生食のほか、煮たりジャムにしたりする。
乾燥させたものは保存食にもなる。
無花果が背丈よりも高いところに生っていた。
そこから甘い香りが漂っていた。
無花果にここ数年は縁なかり