春近し林の中に日の届き
春がすぐそこまで来ていることをいう。
寒い冬も終わりに近くなり、寒さの緩む日もあり、日の光にも春の気配が漂う。
同種の季語に「春待つ」があるが、こちらは主観的で、春を待ちわびる気持ちが強い。
林の中に日差しが届いていた。
春が近いことが感じられた。
犬二匹連るるをみなや春隣
春近し林の中に日の届き
春がすぐそこまで来ていることをいう。
寒い冬も終わりに近くなり、寒さの緩む日もあり、日の光にも春の気配が漂う。
同種の季語に「春待つ」があるが、こちらは主観的で、春を待ちわびる気持ちが強い。
林の中に日差しが届いていた。
春が近いことが感じられた。
犬二匹連るるをみなや春隣
寒梅や女子大生の出入り門
寒中に咲く梅をいう。
花の少ない時期だけに、寒梅を見ると春が近いことが感じられる。
塀の上に寒梅が咲いていた。
そこは女子大生が出入りする門の近くであった。
寒梅や歩くといふは生くること
桑枯れて畑の夕日を集めけり
冬の枯れ果てた桑をいう。
養蚕地の桑畑は、冬になると北風により葉をことごとく落として裸木になる。
桑の枯れつくした姿は寒々としている。
畑の真ん中に桑の木が枯れていた。
枯桑は畑への夕日を集めているようであった。
枯桑や養蚕すでになけれども
若きらの話し声する寒暮かな
寒の内の夕方をいう。
日が落ちるとともに急に冷え込み、家々の灯がともり、星が瞬き始める。
冬の暮と同義だが、言葉の響きがより硬く感じられる。
寒暮の道を歩いていると若い人たちとすれ違った。
彼らの話し声が聞えた。
少年ら寒暮の川に遊びをり
散策の一歩一歩や冬木立
冬に群がって生えている木をいう。
立ち並んで葉の落ちた寒々とした冬木の群れである。
道沿いに立ち並んだり、ひとかたまりをなした、枝の間に空が透けて見えるような木々の群れをいう。
散策は一歩一歩の積み重ね。
歩いていると冬木立があった。
冬木立は一本一本が凛として生きていた。
夕富士の透けて見えけり冬木立